<お疲れ様でした。
それで、お兄様は、お一人暮らしだったとお聞きしていますが、
お連れ合いさんは、いらっしゃらない?>
「はー、お連れ合いさんは、いらない・・、
ちゃうわ、いられない、ちがう! いりません!
ちがうちがう! おりません!
なんか、きんちょーするわー、
調子くるってもて、
お姉さん、普通の言葉でしゃべってー。
関西弁でお願いします。」
<申し訳ありませんでした―。気を付けますね。>
「一人もんで、結婚したことが無かった人やねん、兄は。」
<そうでしたか。では、この度は、弟さんがご面倒をずっと看られてた?>
「いや、ほんまは、兄は、ワシと腹違いで、姉が同じ母親。
もうすぐ、来るわ。
それでも、皆、仲が悪い。
この兄も、身体の心配をしてやってるのに、家に寄せ付けへん。」
<また、なんでですかね。>
「お金のことやろと思う。親の財産管理をしてたからな。
ワシらを、ハイエナあつかいしてたから。」
<ご入院されずに、在宅で訪問看護をお願いしていたそうですね。>
「それそれ。何で他人を家に入れるのに、
ワシらは、入ったらあかんのか、やわ。」
<他にもご兄弟は?>
「おった。この人の他に3人。皆、順番に死んだ。
次はワシの番や。」
<いやいや、こればっかりは・・・。>
「と、思うやろ。でも、うちは大昔から、ほんまに年の順に死んでる。
逆に何かのたたりかと思うほどやで。
順番て、怖いでー。」
<・・・考えさせられますね。確かに。>
「まあ、それは、ええわ。
それよりな、その先祖さんの位牌やねんけど。
ワシの義理の連中のやけど。」
<はい。お位牌ね、黒塗りの位牌ですね。>
「そう、それ。この兄が、仏壇に、7つ位、入れてんねんわ。」
<7体もあるのですか。>
「そう、そやねん、兄もこんなことになったし、
それ、みんな処分してくれへんか。」
<処分・・、ご供養ですね。>
「高いか?処分する費用。」
(いや、費用うんぬんより、ええのですか?
先ず、お寺さんにおたましい抜きをしていただかんと。
お仏壇もそのままでは・・・。
それは、たたりとは、関係ないですか?
我々はお世話できますけど、
ゆっくり考えたほうが・・・。無理か。義理やし・・。
一応は説明させていただきますね。)

✿ 原因は・・それか。
「今日は、昨日に引き続いてお世話になりますね。」
「お疲れ様でございます。」
「あ、もう始まるね。」
「では、○○寺様のご入堂でございます。」
チーン、チーン♪
・・・・・・・、
「では、喪主さまより、ご順番にご焼香を・・」
「あ、大丈夫ですか?」
起立して、焼香に行こうとしたとたんに、
貧血か、倒れそうになる。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なん?お姉さん?」
「あかん、目の前が真っ黒になったわ。」
「疲れが出たんやで。貧血か?」
「・・・・お腹が・・すいてんねん。
昨日から、何も食べてないし・・。」
「・・・・・・びっくりするわ。
式が終わったら、食べさしたるから。
水でも飲んどき!」
ご家族だけのお式で良かったです。
お寺さま、お待たせいたしました。
