伽羅

その妙なる香気から香木の最高位とされています。伽羅は沈香と同様の過程でつくられますが、木質・香気や油質の違いによって沈香と区別されているようです。ベトナムの限られた地域からのみ採取されるもので、産出量が非常に少ないため古来より貴重な香木として尊ばれてきました。
香木が取れるインドや東南アジアでは日本と異なり一般市民レベルでも香木に対する想いが高いといいます。年々裕福になりつつあるそれらの国でも香木を購入する人たちが増え、近年では良質の伽羅はますます入手が難しくなっているようです。

もともと良質の天然香木は市場価格が時価で100gでも○十万~○百万円もする天井知らずな値段です。








絵唐津草花文香炉

一見すると湯呑みですが違います。


江戸時代17世紀前期の絵唐津の香炉です。

丸筒に竹節状の大小の帯を巻いたようにロクロで成型されています。その上の鉄釉による草文と垣文の描線が魅力といわれているそうです。長石釉の表面に貫入が出ています。





≪絵唐津≫

唐津焼を代表する技法で、素地に鬼板(含鉄土石の一種。釉薬や顔料として用いられる)で文様を描き、長石釉木灰釉を施釉し焼成します。絵の文様は草・木・花・鳥・人物など多様なものを指や筆で伸び伸びとしたタッチで描かれます。


「鉄砂を絵具とする絵唐津」

鉄砂(酸化鉄)で文様を描く方法は、朝鮮の李朝鉄砂が伝えられた岸岳時代からのようです。
佐賀県史跡「岸岳古窯址」






佐賀県史跡「岸岳古窯址」


唐津では黒錆といい、瀬戸では鬼板と名づけているそうです。鉄を含んだ岩石をよく砕き、すり潰して水で溶かし絵具とします。紅殻と同じようなものということです。毛筆・刷毛・布・指など文様を描くのですが毛筆には赤毛の日本犬のたてがみがよいとされているようです。

 絵唐津は、ほとんど釉の下に描かれるが、飯洞甕下窯、道納屋谷窯のように釉の上から描いたものもあります。

 絵唐津の釉は長石釉だが、例外として道納屋谷、大川原窯などの一部の作品に見られる藁灰をかけたものがあります。これが斑絵唐津である。この他に鉄砂で刷毛目をした黒刷毛目の沓茶碗や沓鉢、大鉢などもあります。甕屋の谷、多久高麗谷、内田皿屋などの諸窯のものがそうです。

 絵唐津は茶碗・壺・水指・茶入・香炉香合・花生・大皿・皿・鉢・徳利・向付・盃など、あらゆるものに描かれています。


「銅粉(しんちゅう粉)を絵具とする絵唐津」

慶長の役後、朝鮮の陶工によって伝えられた陶技で、李朝辰砂が日本化されたものである。まだ磁器が発見されていない頃で、半磁器の白土を刷毛で塗り、銅粉で絵唐津風の文様を描いたものです。当初は李朝辰砂と同じ赤い発色を狙ったものであるが、紫や黒に発色させるも成功せず、17世紀中期以降は鉄の茶色と、銅の緑色の唐津二彩に発展しました。銅は還元炎のときには赤く、酸化炎では緑色に発色する。釉は長石釉のみ使用しています。代表的な窯は椎ノ峯、寺の谷御家田などの窯で、茶碗、皿、鉢などがあります。


絵唐津草文皿
 絵唐津草文皿(えがらつそうもんざら)