PC遠隔操作事件で被告がそれまでの無罪の主張を一転させ、「私が真犯人です」と弁護人に認めたことが2週間くらい前にニュースになりました。そして弁護人が記者会見をしました。

驚愕しました!アメリカでは考えられません。なんで弁護士が依頼者の自認をべらべらと記者会見で話すんですか?黙って法廷で方針転換すればいいだけの話じゃないですか?!弁護士倫理違反じゃないですか?

でもそういう意見は見かけませんでした。そのことにまたびっくり。

今日になってまたネットで調べましたが、やはり依頼人との会話を弁護士が記者会見することに対する疑問は日本社会にはないのですね?もう、あきれました。日本には弁護士依頼者間の秘匿特権と言う概念は定着しませんね。

たとえば、果物保護法があったとします。果物の中でもみかんは国民的食べ物であるが、寒さに弱いことなどから“果物保護法とは別途に“柑橘類を保護する法律を作ったとします。そういうことが第一条に書いてあるわけです。

“別途に”をseparately from にしようかseparating fromにしようか迷った上、後者にしました。何か変だとは思いましたが、優秀なエディターなら正しい単語を見つけて直してくれるだろうと期待しました。ところが、エディターは正しい単語を見つけることをせず、黄色いハイライトを思いっきりつけて「どういう意味ですか?」と聞いてきました。そこで説明をしました。エディターはseparating
from
は全く駄目でseparately fromのほうがマシだとした上で、それでも英語になっていないと言いました。そして、まったく元の言語と離れた説明を付け加えようとするので、しばらく話した後、「これは日本語なんだからきちんとした英語にならないこともある、ほっといて」と言いました。エディターがでも後で上の人がreviewするときに文句を付けてくるから困ると言うので、私は上の人の質問はすべて私が受けて立つのであなたは心配しなくてよろしいと言い、その場では決着がつきました。

ところが、チーフエディターもその他二人のreviewerも何も言わずにすんなり最終承認は出ました。日本語はそのまますんなり英語にならないと納得してくれたのか、私と言い争いをするのが嫌だったのかは不明のままです。。。


和英辞典で調べて使った単語がアメリカ人には通じなかった、一般に使われる表現ではなかった、ということは時々あります。辞書で調べたにもかかわらずエディターに「これどういう意味?」と聞かれると「はーー」と溜め息がでます。なんか、日本語を母国語とする人が英語圏で働くと言うのはたいへんなことだなとしみじみ感じます。

今週のそういう単語は「約款」。一番いいオンライン辞書とされている英辞郎にはadhesive terms and conditions〔私法上の契約において、企業側があらかじめ定型的に定めた契約書のこと〕とあり、それを使いました。エディターには通じませんでした。エディターが知らないだけじゃないのと思い、このフレーズをググって見ました。見事に何も出てきません。いろいろ英単語を工夫してググっていくと、それらしい英語にたどりつきました。それはadhesion contract。このフレーズで英辞郎をみると附合契約となっていました。ま、附合契約と約款は同じようなことを違う面から見た言葉だと思います。「約款にはxxと書かれていた」と書く場合、「adhesion contractにはxxと書かれていた」でいいわけです。こっちはエディターからokがでました。