2021(令和3)年5月にリニューアルオープンした西武園(せいぶえん)ゆうえんち(埼玉県所沢市)へ、遅ればせながらやっと遊びに行きました。
西武園ゆうえんちは我が家からも比較的近いので、子どもたちが小さいころは遊園地に加えて夏のプールや、男の子の好きな戦隊もののショーなどを見にときどき来ていたけれど、その後はすっかりご無沙汰していたのですが、2年ほど前に“昭和レトロ”をテーマにリニューアルオープンしたと知り、いつか行きたいとず~っと思っていました。
「昭和の熱気を遊びつくそう」という楽しそうなテレビコマーシャルを見ていたら、映画『ALWAYS~三丁目の夕日』も思い出して、まさに“ドンピシャ・昭和世代”のわたしたちはもう懐かしくて懐かしくて、夫とふたりつぎつぎと、ああだったね、こうだったよね~と子どものころの思い出ばなしに花が咲きます。
そんなわけで冬晴れの一日、昭和生まれのじーとばーは胸ふくらませ、ワクワクしながら念願の西武園ゆうえんちへやって来ました。エントランスには一目見るだに懐かしい路面電車・・・長崎ではチンチン電車っていいます・・・が停まっています。
ここがゆうえんちの入場ゲート。便利なものでチケットは“アソビュー”というサイトで日付指定の事前購入ができるので、当日は開園と同時にスマートフォンのQRコードをかざすだけ混雑しないし非接触だしありがたいことです。昭和の時代には想像すらできなかったことですが~。
入場ゲートを入るとそこはもう、ほら、あのころの懐かしい“アーケード”“アーケード”が英語の“arcade”だと知ったのはずいぶん後のことですが、わたしが子どものころの昭和30~40年代、地元のアーケードは街でいちばん賑やかなところで、デパートを中心にいろいろな店が軒を連ね、アーケードにあるお店というだけで子ども心にも何だかちょっとハイカラな気がしていたし、買い物をしなくても、ウィンドーに飾られた商品をながめるだけでもウキウキしていた覚えがあります。
そんな“夕日の丘商店街”のアーケードの入口には“夕日の丘商店街前派出所”があるのですが、中をのぞいてももぬけの殻。駐在さんはパトロール中かと思いきや、朝一番から商店街の入口で”チンドンバンド”と一緒に歌って踊って安全運動展開中のようです。
商店街の最初にあるお店は、子どもたちの憩いの場の“駄菓子屋夢見堂(ゆめみどう)”。店内には懐かしい駄菓子やオリジナルのおみやげが所狭しと並び、レトロな巻き上げ式のオーニングの下では注文してから炙ってくれる手焼きせんべいやカップに入ったわたあめなども売っています。また店頭には大人気アトラクション“ふしぎ駄菓子屋銭天堂(ぜにてんどう)ザ・リアル”の販売所兼交換所もあるので、webチケットをお持ちでしたら先にここに寄るといいようです。
駄菓子屋夢見堂の隣は“カラクリヤ”というおもちゃ屋さん。ガラス越しですが、中にはビー玉、メンコ、紙ふうせんにしゃぼん玉、竹トンボ、キューピー人形などなど、子どものころに遊んでいた昭和の時代のおもちゃがいっぱいです。一番懐かしかったのが、何という名前だったか1~15までの数字の書かれた正方形の駒をスライドしながら並べていくパズルで、真剣に「これ欲しい」と思いましたが、ここのおもちゃは販売していないようでした。
駄菓子屋夢見堂の向かいは、オート三輪のダイハツ・ミゼットが目印の“龜山新聞舗(かめやましんぶんほ)”。たしかこの車、映画『ALWAYS~三丁目の夕日』でも鈴木オートの社長さんが乗っていましたね。新聞屋さんは閉まっていますが、ここでは店頭に置いてある“夕日の丘新聞”を必ずもらってくださいね。
今もらえるのは1950(昭和25)年1月25日(水曜日)付の夕日の丘新聞第9号。裏面は号外になっています。おもしろそうな記事の中身から広告の端に至るまで、とにかくこだわって丁寧に作りこまれているのがよくわかる紙面です。
内側には園内マップやお買い物通信、食事処の紹介など役立つ記事が満載なので、園内散策のパンフレット代わりにもなります。
龜山新聞舗の隣は“萬屋(よろずや)雑貨店”。キャラクターグッズや文房具などのほか、おみやげ用のお菓子も揃っていて実際に購入することができます。萬屋という名前もですが、看板の文字がここだけ右横書きになっているので、創業はかなり古い老舗かと思われます。
後ろから元気な声が聞こえるな~と思って振り返ると、あらまぁ、いまどきこんなに大きなホットカーラーを頭いっぱいに巻きつけたひといると思わず笑っちゃいそうな出立ちのおばちゃんがモコモコのカーディガンの首元に襟巻(えりまき)代わりの手拭いがチラ見えしているこのおばちゃん、後で知ったら夕日の丘商店街の名物おばちゃんこと“朝日湯の番台よし子さん”でした~。さっそく会えてうれしい。
萬屋雑貨店のお隣はたばこ屋の“やまとや”。自動販売機などない時代、街角には必ずこんなたばこ屋さんがありましたっけ。窓口の赤電話も、二階の軒先で揺れている取り込み忘れた靴下も、摺り硝子の引き戸も、ほんとこんなだったな~と懐かしさ満載です。
若かりしころはかなりのヘビースモーカーだった夫は、このずらりと並んだ博物館級の品揃えにしばし目が釘づけそうそう、これこれと一人で盛り上がってました~。
たばこ屋の隣はトリコロールカラーの“小林理容所(りようしょ)”。床屋(とこや)ではなく理容所というところもちょっとアカ抜けていますね。万国共通、床屋さんの目印のクルクルが止まっているなと思ったら、入口には『本日休業』の札がかかっていました。
路地をはさんだその先は鮮魚店の“魚勝(うおかつ)”。ワカメや貝類、アジの開きなどは手に取りやすい手前の平台に、ちょっとお高いウニや刺身はガラスケースに入っています。威勢のいい魚勝の大将の「触ってみる」に誘われてザルに乗ったお魚に指を出したら、そのほんものそっくりの感触に二度びっくり。
小林理容所の向かいには、確かにむかしのアーケードには必ずあった“夕日丘第一分団屯所(とんじょ)”まであります。火の用心も標語の立看板も、ほんとこのまま。近くには火を使うお店も多いし、建物が密集するアーケードには必須の防災拠点でしたよね。
つづいて何やら香ばしい匂いがただよってくるのは精肉店の“肉のおほみ”。お肉屋さんのコロッケやメンチカツってなんであんなに美味しいのと思うのは、きっと今もむかしも同じですよね。買い食いにはもってこいの揚げたてクロケット(コロッケ)とメンチカツ、もちろん店頭で売ってますよ~。
魚屋肉屋とくれば次はやっぱり八百屋でしょ、と思っていると案の定、あたりに響き渡る林檎とポンカンの叩き売りの声が聞こえています。遠巻きのお客さんたちをグイグイ巻き込みながら、つぎからつぎへと立て板に水の売り口上の主は、“青果八百八(やおはち)”のお兄さんです。
青果市場のセリから戻ったばかりのような出立ちで、叩き台をバンバン鳴らしながらしゃべり倒していたかと思うと、なんと林檎とポンカンでけん玉まで 芸達者な八百屋さんです。
八百屋の隣はアーケードには絶対なくてはならないおしゃれのお店、その名も“ナリキリ洋品店”。洋風の建物もショーウィンドウのディスプレイも、食べもの屋さんに比べると、どことなくハイセンスな雰囲気が漂っています。がま口ポーチやソックス、スカーフ、衣料品などを実際に販売もしています。
次はわたしのだ~い好きな赤いポストが目印の“夕日丘郵便局”。そうだ申し遅れましたが、西武園ゆうえんち内での支払いは、自動販売機とコインロッカー以外はすべて独自の通貨『西武園』を使うシステムになっています。その西武園通貨は「1日レヂャー切符」とセット販売もされていますし、西武園通貨のみを単品で購入したいときはこの郵便局の窓口で求めます。また事前購入のwebチケットに付属の西武園通貨の交換もここでしてもらえます。
実際のお札の写真を撮り忘れてしまったのでパンフレットですが、西武園通貨は百園札と拾園札の二種類で、2023年1月現在のレートは拾園=120円、百園=1,200円です。「1日レヂャー切符」と西武園通貨がセットになった「得1日レヂャーパック」には、西武園通貨200園(2,400円)分、300園(3,600円)分、450園(5,400円)分の3種類があり、西武園通貨を単品で購入するときより100~300円お得になっているそうです。西武園通貨は発行当日のみ有効で、残っても換金ができないので、最後に使い切れるよううまく計算しながら買い物をするのも、プチ海外旅行みたいで意外と楽しいです。
青果八百八の向かいにあるのは、ちょっと高級そうな店構えの江戸前鮨“禮鮨”。「れいずし」でいいのかな。鮨屋もアーケードには欠かせないお店のひとつですね。わたしが子どものころ、家族で行きつけの寿司屋は地元の駅前アーケードにあった“竹秀(たけひで)”という屋号のお店で、握りはもちろん美味しいのですが、わたしはランチセットのうどんと海苔巻き、稲荷がセットになった“盛り合わせ”が一番好きでした。
禮鮨の隣は“黒木屋豆腐店”。朝の早いおとうふ屋さんにはちゃんと電気が点いているのですが、店主が不在なのは「ただいま配達中」だからのようです。芸が細かい。
その隣はぱっと見診療所のようなつくりの“ワカバ藥局”。店頭のオレンジ色のゾウさんは「サトちゃん」っていってたような気がします。「ノーシン」は頭痛持ちの父の常備薬でしたし、母と祖母が飲んでいた「わかもと」は、粉っぽい錠剤が大きな茶色い瓶に入っていました。「仁丹(じんたん)」は、ときどき祖父が銀製の仁丹ケースから振り出してわたしにもくれるのですが、当時はスースーするだけで全然美味しくなかった覚えがあります。そして店内をのぞき込んでいたら、子どものころ、近所のかかりつけ医院の先生が往診に来たときに出してくれる、薬包紙に包まれた粉薬の匂いや味まで甦ってきました。
店頭に大きなカラーテレビがでんと置かれた“けやき電気商会”。当時は三種の神器といわれた「白黒テレビ」「電気洗濯機」「電気冷蔵庫」が、池田内閣の所得倍増計画によりカラーテレビやクーラー(まだエアコンではありません)などにおき変わっていった時代です。そういう意味では昭和30年代は、高度成長にあわせて家電ブームが到来した時期でもあり、もちろん今の家電量販店のようなものはなかったので、電気製品を買うときは、必ずこういう家に出入りの街の電気屋さんのお世話になっていたものです。ガラスに貼られた“叩くなテレビ”には吹き出しました。昭和世代なら、みな身に覚えがありますよね~。
またまた店先に香ばしいいい匂いを漂わせているのは、名物焼きだんごの“鶴龜堂(つるかめどう)”。茶色いほうが「所澤のせうゆ(しょうゆ)焼きだんご」、薄緑色のほうが「さやま茶だんご」で、西武園通貨で各一本40園です。ほかにも「くるみ入り江戸甘味噌だんご」や定番の「みたらしだんご」もありました。
歩き疲れてちょうどお腹が空いたな~と思っていると、商店街の真ん中に“喫茶・軽食 VICTORIA(ビクトリヤ)”があります。カフェではない、これぞ昭和の喫茶店というレトロ感がいいですね。ショーケースのサンプルからして郷愁を誘うものばかり。見ていたらむしょうに食べたくなって、お昼はここでいただくことにします。
カウンターにはピンク電話、店内のインテリアも“昭和の喫茶店”そのままです。そうそう、なぜだかこういう壁掛けミラーも必ずありましたね。
夫は「ハンバーグステイク デミグラスソース」(110西武園)、わたしはスパゲッティ・ナポレターナ(100西武園)を注文。どちらも見た目以上のボリュームで、お味も期待以上に美味しくてびっくり。肉々しいハンバーグはもちろんのこと、付け合わせのにんじんのグラッセが絶品で、ポテトフライはあつあつの揚げたてです。そしてもちもちした太麺のスパゲッティに入っているのは、今ではもう見ることのなくなった真っ赤なソーセージ。子どものころ、デパートの屋上のレストランで食べていた「洋食屋さんのナポリタン」を思い出します。
わたしたちはたまたま空いていてすぐに座れましたが、店内はあまり広くなく席数も少ないので、時分どきは行列必至の人気店のようです。食事を終えて外に出ると、平日にもかかわらずすでに10数人の列ができていて「45分待ち」の看板が出ていました。
ビクトリヤの隣は“中富(なかとみ)米店”。そういえばこういうお米屋さん、最近めっきり見かけなくなりましたね。肉屋魚屋八百屋はあっても、米など穀物だけを扱う「米穀店」はどんどん姿を消しているので、いつのまにか米はスーパーマーケットやホームセンターで買うのが当たり前になってしまいましたが、むかしは米屋さんが家まで配達してくれていましたね。
ビクトリヤの向かいは乾物を扱う“鹽田屋乾物店”です。「鹽」は「塩」の旧字体(常用漢字外)なので「しおたや」と読みます。店頭に吊るされている干物がどれもほんとうにリアルで、思わず触ってみたくなります。硝子戸の「削りたてかつおぶし」の貼り紙を見ていたら、わたしの実家では「かつおぶし」ではなく、削る前の節(ふし)は「かつぶし」、それを薄く掻いたものは「削りぶし」と呼びわけていたのを思い出しました。今になると、毎朝本節(ほんぶし)を鰹節削り器でコリコリと掻いて取った出汁に煮干しを入れてつくる味噌汁って、最高の贅沢だったのだなぁと思います。
次は商店街の中でも一番小さな店構えの“草笛レコード”。わたしが子どものころレコードは、アーケードの中の楽器屋さんに注文して買っていたので、こういうレコードだけのお店を見た記憶がないのですが、きっと東京の街にはあったのでしょうね。今や音楽はダウンロードの時代、レコードやカセットテープで育った昭和世代はCD、MDでさえも便利になったと思っていたのに、まさしく隔世の感あり・・・なんて感慨にひたっていたら、草笛レコードの前ではちょうど喫茶ビクトリヤの看板娘「かおるちゃんのウキウキリサイタル」が始まりました。歌手志望というだけあって、歌がとてもお上手です。
途中、横からすっと出てきた朝日湯の番台よし子さんなんと手にしたバケツと箒を駆使して、地面にかおるちゃんの似顔絵を描きはじめました。絵描き歌みたいにおしゃべりしながらあっという間にできあがり。よし子さん、すばらしい特技の持ち主ですね。
お隣のお菓子屋さん“棚牡丹堂(たなぼたんどう)”のお姉さんも、思わず店から出てきてよし子さんとかおるちゃんのパフォーマンスを見ています。「たなぼた」ならぬ棚牡丹堂(笑)、ここは和洋菓子のお店で、小腹が空いたときにぴったりなシベリア(20西武園)や銅鑼焼(どらやき)(30西武園)などを買うことができます。
つづいて“所澤の自轉車”屋さん。朝一番は店が閉まっていましたが、今見ると店頭には大人用から子ども用まで自転車がずらっと並んでいます。
その奥には“まるろくや”と大衆食堂の“助六屋(すけろくや)”。店名が似ているので姉妹店かもしれません。まるろくやは入れませんが、助六屋はビクトリヤと同じく実際に店内で食べられる食事処です。メニューはライスカレー(70西武圓)、ソースかつ飯(100西武圓)、ライスオムレツ(100西武圓)、丹心中華そば(80西武園)など定番のものが揃っていました。ビクトリヤが45分待ちだったとき助六屋は60分待ちだったので、この二軒で食事をするときは少し時間をずらしたほうがいいかもしれません。
ちょっと戻って自転車屋の向かいは“豊川(とよかわ)氷店”です。店頭では夏はかき氷、真冬の今は大きな豚饅頭(50西武園)を売っています。家庭用冷蔵庫が普及していなかった時代には氷屋さんもなくてはならないお店でしたね。
その隣は荒物屋の“金銀堂”。金物好きの夫はひとつひとつ丹念に品定めをしています。むかしは日々の掃除も掃除機ではなく、ハタキをかけてから棕櫚(しゅろ)の箒や雑巾でするのがふつうだったし、家の中で使う日用品は荒物屋さんへ行けばほぼ揃っていたのですね。冬の必需品の湯たんぽも、子どものころに使っていたのはあれと同じ金物で、朝ぬるくなった中のお湯を洗面器に開けると、金気臭いにおいがしていたものです。
金銀堂の隣は“相澤(あいざわ)寫眞館”。実際にカメラマンさんが撮影してくださる「モダン寫眞」は、背景が3種類から選べて1枚150西武園だそうです。
その奥の広場には縁日みたいな“ポン菓子屋さん”があります。中富米店のお米で作ってくれるようですが、立て看板を見ると「バクハツ時間」が決まっていて、この日は残念ながらタイミングが合わず、楽しいパフォーマンスを見ることもポン菓子(40西武園)を買うこともできませんでした。次の機会にはぜひ
商店街の奥の“夕日丘テレビ放送”の白黒テレビからは、実際の昭和30年代のニュースが流れていました。コマーシャルは懐かしいカステラ一番、電話は二番の文明堂豆劇場でしたよ。
商店街の一番奥にでんと構える銭湯“朝日湯”。名物おばちゃん番台よし子さんは、ここのおかみさんだったのですね~。
朝日湯の板塀には夕日の丘商店街の案内図もありました。
さて夕日の丘商店街のアーケードを抜けて、今度は外のエリアに行ってみます。遠くに見えるのは手塚治虫氏の漫画のキャラクターがアトラクションになった“レッツゴーレオランド”で、手前には射的やスマートボールなどの露店も出ています。
商店街の外へ出ると、以前の西武園遊園地の名残りがあちこちに見られます。通路の左手は手入れの行き届いたバラ園です。
次に向かったのは“ゴジラ・ザ・ミッション~巨大怪獣迫る危機からの脱出”です。どういうアトラクションなのか全くわからないまま、レオランドの脇の受付場所に行きました。案内スタッフさんによると、一度ミッションをスタートすると終わるまでに1時間くらいかかるとのこと。それを聞いてもよくわからないけれど、ここまで来たらやるしかない、とにかく行ってみます
受付でもらったゴジラ・ザ・ミッションの参加券(左)。
案内されて向かった丘の上には“特殊災害対策本部(特災対)”と書かれた巨大テントが。自衛隊好きにはたまらないシチュエーションにテンションUP。写真撮影はこのテントの中のモニターで動画が始まる前まで可能だそうです。
参加者は“特災対”の新人隊員となり、無線機を通じてつぎつぎと指示されるミッションを、西武園ゆうえんち全体を舞台に時間内に遂行しなければなりません。そのひとつひとつのミッションが、子供騙しの容易いものではなくて、わたしたちにとってはかなり難易度が高く、ほんとうに1時間みっちり考え、探し、歩き回りました。これ以上のネタバレはできませんが、とにかく楽しいミッションなので、ぜひ“ゴジラ・ザ・ライド”の前に行かれることをおすすめします。
やっとのことで“ゴジラ・ザ・ミッション”をクリアして時計を見るとちょうど午後12時。夕日の丘商店街のメインストリートでは“名物ブギウギ祭”がはじまったみたいです。夕日の丘の個性豊かな住人の皆さんが大集合して見せてくれるエンターテイメントショーです。
ブギウギ祭は見るだけではなく、お客さんも皆一緒に歌って踊って参加できるのが楽しいです。こういうときは恥ずかしがらずに楽しんだもん勝ちですよね。
ショーの最後は、魚屋さん八百屋さんがひとりひとりに手渡しで配ってくれた紙吹雪を、合図にあわせてみんなでふり撒いてクライマックス。一緒に歌って踊るのに忙しくて写真が撮れなかったので、上は西武園ゆうえんちのホームページよりお借りしました。
ブギウギ祭で盛り上がったあとは、大人気アトラクション“ふしぎ駄菓子屋 銭天堂ザ・リアル”に行きます。銭天堂は夕日の丘商店街のどこかにあるらしく場所も明かされていないので、多くを語ることはできませんが、ザ・リアルというだけあって、そのクオリティはなかなかのものです。上の写真は実際の銭天堂ではなく、店主の紅子(べにこ)さんと写真が撮れるフォトスポットです。
銭天堂ザ・リアルだけは「1日レヂャー切符」に含まれていないので、別に「銭天堂ザ・リアル ふしぎ駄菓子交換券」が必要です。交換券は大人も子どもも1枚110園(1,320円)でwebでも現地でも購入できますが、繁忙期などは事前にweb購入しておいたほうが確実です。このアトラクションもネタバレ厳禁なので詳しくは書けませんが、ここだけで完結するのではなく、謎解きをしながらその先の自らの運命を切り開いていく・・・というイメージです。ゴジラ・ザ・ミッションのように時間制限はないので、わたしたちは途中あちこちで寄り道をしながら、のんびり楽しみました。
そしてもうひとつ、無料で参加できる“銭天堂チャレンジラリー”もありました。店主の紅子さんからの依頼文を読み、たたりめ堂店主よどみさんからの挑戦状を解読しながら“あるもの”を見つけ出すストーリー形式のラリーです。ラリーで使う上のパンフレットは商店街の龜山新聞舗や駄菓子屋夢見堂前でもらえます。銭天堂のアニメを知らないわたしたちにはザ・リアルもチャレンジラリーもけっこう難しかったのですが、オリエンテーリングみたいで楽しく園内を歩きました。
ちょっと、いやかなり歩き疲れたので、次は座れるアトラクションへ行きます。この高い塔は西武園のランドマーク的な“富士見展望塔”。塔のぐるりを囲むドーナツ型のキャビンに乗って、地上から高さ約80mの最上部まで、360度回転しながら上昇していきます。
わ~ゆっくり回転しながら上ります。眼下に広がるのは多摩湖(村山貯水池)で、雲の向こうにはうっすらと富士山も望めます。
レオランドとプール、その向こうの半分ドーム状の建物は何だろうと思って地図を見ると、遊園地に隣接している西武園競輪場のようです。
レオランドの周りを10分かけてぐるりと一周する“レオとライヤの夕日列車”。乗っていると、ジャングルに住む動物たちのことばを翻訳してくれるバウリンガルみたいな機械を通して、みんなのおしゃべりが聞こえてきます。そしてちょっぴりストーリー仕立ての展開に・・・。
子どもと一緒はもちろん、大人だけで乗るのもいいものですね。遊園地に来た~って感じがします。夕日列車は途中何度か停車するので、そのときに写真を撮りたい方は2両目の前方あたりに座るとよさそうです。
そしてこれもぜひ乗りたかった“メリーゴーラウンド”。西武園のメリーゴーラウンドは馬や馬車だけでなく、とにかく動物の種類が多いのが特徴です。ほんとはわたし、緑色のカエルに乗りたかったのですが、うっかりスカートで来てしまったら高すぎて跨げなかったので、諦めてキリンにしました。ほかにもライオンやダチョウ、シカなどバラエティに富んだ動物たちが迎えてくれる本格的なメリーゴーラウンドです。
そしてそして、実はわたしがレオランドの中で一番楽しかった乗りものが、この“チャレンジトレイン 出発進行小さな運転士さん”です。
レオランド前の“軽食 ミルクホール”できなこ揚げパンを食べながら休憩しているとき、たまたま見つけた夕日の丘新聞の特集記事で、じぶんでトレインを運転できるアトラクションがあることを知り、さっそく行ってみることにしました。
なんと小さいながらも本当に動く電車の運転席に座り、レバーやスイッチを操作しながら自らの手で運行し、決められたダイヤ通りにすべてのポイントを通過して終点を目指すというまさに「チャレンジ・トレイン」なんですしかも運転技術を採点までしてくれるんですよわたしは100点満点中70点でしたが、ぜひリベンジしてもっと高得点を狙いたいです。上のセピア色の写真は西武園ゆうえんちのホームページよりお借りしました。
遊園地でリアルな電車の運転士体験ができるのはさすが西武鉄道グループならではのアトラクションだと思うのですが、園内最奥という立地の悪さからか、辺りに人っ子一人いないのがとても残念・・・。案内スタッフさんも手持ち無沙汰そうでした。絶叫系でも謎解き系でもないけれど、大人も子どももきっと期待以上に楽しめますので、西武園ゆうえんちへいらしたらぜひチャレンジしてみてくださいね。声を大にしておすすめします。
最後に、夕日の丘商店街を見下ろすように丘の上に建つ映画館“夕陽館”へ向かいます。「娯楽の殿堂夕陽館」・・・たしかにむかしは映画を見に行く、というと何だかとても特別感があったなぁ~と思います。わたしが生まれてはじめて映画館で見たのはミュージカル映画の『チキ・チキ・バン・バン』でした。
ここで楽しめるのは“ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦”というアトラクションなのですが、「ライド」から想像すると乗りものなのか。まさかのジェットコースター。でも映画館でジェットコースターに乗るのはピンとこないし・・・とか、あれこれ想像がふくらみます。
夕陽館の入口。名画座とは違う、ロードショウのかかるちょっと大きな映画館そのままの雰囲気です。
高級感漂うレッドカーペットに、弥が上にも期待が高まります。
壁に掛けられた映画のポスターがいかにもホンモノっぽいのですが、よ~く見るとどれも“似て非なる”ものばかり。出演俳優も映画のタイトルも、これだけの数を隅々までじっくり見ても、夫もわたしも一つも知っているのがないというのは不自然なので、どうもすべて架空の作品のようです。そう思って見ると、逆にその完成度再現度の高さに驚きです。
直前の前室で突如聞き覚えのある緊急放送が流れて来て、そこからゴジラ・ザ・ライドがスタートします。以降の体験は、もうとにかくすごいのひとことしか言えません。スリル満点、想像以上の迫力は、未だかつて経験したことのないものでした。内容的には前出の“ゴジラ・ザ・ミッション”の後日譚になるので、ぜひ「ミッション」「ライド」の順で行ってくださいね。上の写真は西武園ゆうえんちのホームページよりお借りしました。
そろそろ夕方なので、残った西武園通貨を使い切ろうと夕日の丘商店街に戻ったら、青果八百八のお兄さんが今度はほんとの「バナナの叩き売り」をやっています。二度目なので展開がわかっているのに、寄席と同じで何度見ても笑えますね。
氷屋さんの前で番台よし子さんの作品をもうひとつ発見ほんとにうまい。ところで今回わたしたちは、西武園通貨200園(2,400円)分がついた「得1日レヂャーパック」を一枚ずつ買ってきたのですが、西武園通貨400園の収支は以下のとおりです。
喫茶ビクトリヤ210園(スパゲッテイーナポレターナ100園+ハンバーグステイク110園)、魚勝のイカ焼き60園、チャレンジボール1回20園、ミルクホールのきなこ揚げパン20園、お土産の銭天堂プリントまんじゅう90園。西武園通貨が残っていたらほかにもほしいものはあったので、ひとり300園(3,600円)あれば理想的かと思います。銭天堂もあわせたチケット代はそれだけ見ると決して安くはありませんが、逆にそれさえあれば当日は他のお金を使わない(使えない)ので、一日楽しく遊んで食べて・・・と考えると高くはないと思いました。
昭和を知らない若いひとたちには目新しくて、当時を生きてきたわたしたちにはこの上なく懐かしい、ふしぎな魅力にあふれた西武園ゆうえんち。帰ってきてすぐにまた行きたくなっています。
yantaro