運命に、宿命に負けないで!! 「希望という名の光」(2011.9.26記) | リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

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 達郎 続いてはその次に来ますのがタイトルソング“Ray Of Hope”、「希望という名の光」、昨年のシングルでございますが、映画『てぃだかんかん』のテーマ曲でございます。

 

 もともとは珊瑚の養殖を苦心してなさった方の実話の話ですがそこの夫婦愛を描いた映画であります。当時もその、リーマンショックから後のですね経済的な不況が日本を覆っておりましたので、この映画のスタッフもそうした世の中の沈んだ空気を映画で力づけようという製作意図で作られた映画です。私もそうした応援歌という形で「希望という名の光」を書きましたが、えー、今回の大震災の後にラジオステーションでこの「希望という名の光」が結構オンエアされまして、私もオンエアいたしましたけれども、当初発表したときとは若干違うニュアンスが曲に付いてきまして。

 

 歌というのは本当に不思議なもので、いったん世の中に出ますとですね、もう自分の手から離れましていろいろな人の思いというのが堆積されていくといいましょうか一種の共同意識が歌に込められていく結果ですね、作った人間すら想像し得なかった新しい響きというのがニュアンスというのがでるという不思議な一曲になりました。私の人生で一番極端な例が「クリスマス・イブ」という曲ですが歌というのは出た瞬間に人の手に渡る(と違った響きとニュアンスが伝わる)ということが痛感した一曲であります。


 えー、「希望という名の光」


 

  希望という名の光



 というわけで「希望という名の光」でございますが、前作『SONOLITE』から6年経ちました。その間に竹内まりやさんの『DENIM』というアルバムをやりまして、えー、それからツアーを2シーズンやりました。当初は昨年の9月に発売する予定で、そのときにはタイトルが違っておりました。『Woo Hoo』というタイトルになっておりました。えー、その時代も本当に不況でですね、僕の特にライブのお客さんはだいたいメインが40代の方々ですが、いちばんやっぱり40代の男性というのは中間管理職、リストラの対象とかですね、そうした仕事の不況をもろに被るという人たちなので、そういう方の空気を数年間強く感じておりましたので、そういうことを明るく笑いのめすようなアルバムにしたいなというものなので『Woo Hoo』というナンセンスなタイトルをつけました。アルバムカバーも今とは違っておりまして、まあ今回のアルバムカバーはあとで申し上げますが楽器をコラージュして作った手のジャケットなんですが、当初は人の顔だったんですが、もうちょっと笑い顔でコミカルな人の顔を楽器でコラージュしたんですが、今回の震災がありまして考えを変えまして、手に変えました。タイトルも『Ray Of Hope』に変えました。今回の災害が無ければそのまま『Woo Hoo』というタイトルでたぶん出たと思うんですが、そういう意味ではいろいろなマイナーチェンジがありまして、曲も入れ替えまして、詩も若干手直しした曲もあります。さっきの「NEVER GROW OLD」も詩を手直ししたりしました。そういう意味では今の震災後の状況に少しでも合わせよう、合わせたいという意図でそういうことをいたしました。なるべくネガティヴな歌とかですねロストな歌ははずしましてですね、結構気に入った曲もあったのですがそれは次の機会にということでした。


 そういうわけで『Ray Of Hope、“希望という名の光”』、めでたく8月10日に発売となりました。今回はタイアップシングルがおかげ様でたくさんあります。耳なじみな曲がたくさんありますが、特にバラードが多いので全体的には結果的には非常に落ち着いた感じになっております。内省的な感じになっております。



 リーン  運命に負けないで、この曲で達郎さんが歌うたび、その言霊を呼び覚ましたくなるような思いで呟くようにこのセンテンスだけをいつも歌ってしまいます。



 運命に負けないで

 たった一度だけの人生を

 何度でも起き上がって

 立ち向かえる

 力を送ろう



 最近、このブログで宮城県石巻市大川小学校の被災について記しました。そのなかで保護者説明会の席上、石巻市長が


「今回の事態は自然災害の宿命です」


 と発言しました。私は今でもそのことばの使い方は違和感を持っています。生まれたときからあの日に旅立つ運命だったといいたいのでしょうか? 当人が意図していなくても、ことば一つで慰めることもでき、また引き裂くこともできる。哀悼の意があっても、ことばにそれが表れなければ相手には絶対に伝わらない。いつもそばにいるわけではない、一期一会で面と向かい合ったひとに語りかけるにはそれなりの言葉選びを必要とします。


 人間は言葉を介してしかコミュニケーションできない。


 ここまで厳しく言い放ったのは、この歌をつくった山下達郎さんです。私にはそこまでいいきる自信はありません。しかし、ブログという形式で、顔が見えないコミュニケーション媒体で自分の意を伝えるには、やはり言葉を選びぬかなければならない。日々、痛感しています。


 今回取り上げる「希望という名の光」は発売当初から傷ついたファンの心をそっと慰めてきた曲でした。達郎さんのファン層は御本人が述べていらっしゃるように40代、50代の方が多いです。年齢を重ねれば体調が優れなくなります。入院される方も多くなる。達郎さんのラジオにそうした近況が伝わるたびに、この曲が流されて来ました。ワーナーミュージックジャパンの当時の社長が悲しい最後を遂げたときは、武道館でこの曲を歌っている途中、達郎さんは生きる苦しみとやるせなさを吐露しながら、それでも死んではいけない、自分で死を選んではいけないと強く訴えました。


「希望という名の光」は、そうした市井の人々の生死にずっと寄り添ってきた曲でした。そして、今また今回の大惨事でも、それはさらに輝いてきます。偶然視聴した長野県栄村のドキュメンタリーでも、最後はこの曲を流し村民の未来を明るく照らすエンディングになっていました。また、AM、FMのラジオでオンエアされた曲を集計した、エアプレイチャートでは2010年の発売直後と、『Ray Of Hope』の発売直後、の2回、週間1位を獲得しました。発売されたときは華々しくてもすぐに忘れられる曲が多い中、こうして時を隔てて蘇るこの曲は、「クリスマス・イブ」以来の、達郎さんが生んだスタンダードナンバーになりました。



 だからどうぞ泣かないで

 こんな古ぼけた言葉でも

 魂で繰り返せば

 あなたのため

 祈りを刻める



 達郎さんが一曲につかう言葉の量は、Mr.chirdrenの半分にも満たないですが(あるサイトで御本人が語っています)、メロディ-に乗せて歌われることばを選びぬかれていることはこの曲で存分に証明されています。でなかったら、今傷ついた人を癒すように巷でオンエアされるわけがない。


 ことばを選び抜いてこそ、その思いが伝わる。


 そして、今日もどこかで


 

  運命に負けないで



 と呟いている人がいる。そう、運命に負けないで! 宿命にも負けないで!!