今もテニスの神様はロジャーに微笑んでいる | リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

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 準決勝でフェデラーが勝った。


 対ジョコビッチ戦を見ての感想は、


「やっぱり、ナダルはフェデラーの天敵なのだなあ」


 と、3年連続決勝で対戦した宿敵のことを思い返した。スペインのクレーキングのショットはスイスの元・絶対王者のバックに高く跳ねあがる。それが展開の速さを失わせ、バックハンドのミスを増やすことになった。打っても打っても相手からスーパーショットが返ってくる。ネットに詰めれば鋭いパスで抜かれる。世界のトッププロの、それもテニス史上に残る3選手のだれもが打球のスピードが遅いはずはない。しかし、フェデラーにとってナダルとのストローク戦は本数が増えるほどに相手に間合いがとれて攻め手が無くなり最後には無理をしてミスが重なる。コンマ数秒、足を止めてヘビー級ボクサーのパンチの撃ち合いを見ている気になるが、そのことがナダル戦での勝利を難しいものにしている。フェデラーがナダルに、特に全仏や全豪で勝つチャンスはないに等しい。


 ジョコビッチとの試合はナダルのそれとは、同じストロークを主体にしていてもまったく異質のものだった。かなり直線的なストロークで打ち合いになるので、フェデラーがバックハンドを打ちにくそうにしているシーンは見受けられなかった。

 だが、第2セットを見終えたところではフェデラーが勝つのは厳しいとみた。ストローク戦で長くなればほとんどジョコビッチがものにしていたからだ。展開が遅い。今回の対戦がクレーや遅めのハードコートでは勝ち目は薄かっただろう。だが、ここはウインブルドン。フェデラーがもっとも力を発揮できる芝生のコート。


 白熱してきたのは第3セット。第6ゲーム、ジョコビッチのサービズゲーム。


 30-30。ダブルフォルト。

 30-40。23本のラリー。

 2度目のジュース。ジョコビッチのパスがネットイン。

 3度目のジュース。ナダルのショットにフェデラーのバックハンドスライスでの切り替えし。それが2度、3度。ジョコビッチのフォアの逆クロス。フェデラーのバックハンドのダウンザライン。26本のラリー。

 

 結局このゲームはジョコビッチのサービスキープに終わるが、このあたりから徐々に白熱してきた。そして第10ゲームの最後はフェデラーがフォアのダウンザラインを2本打って追い詰め、アプローチを打ってネットに詰め、最後はジャンピングスマッシュで決めた。1日空いて冷静に振り返れば第3セットをフェデラーが取った時点で勝敗も決まっていたのかもしれない。第4セットに入るとジョコビッチに苛立ちがみられた。そうなると、精神的に揺るがないフェデラーにはかなわなかった。ある記事ではジョコビッチは数日間体調に問題を抱えていたことをあきらかにしたという。それも微妙に影響したのかもしれない。


 フェデラーの勝因はやっぱりメンタル面にあった。終始攻め続けなければ勝てない相手に対し、ずっと落ち着いて戦ったことにある。そしてこの日は体全体から戦闘オーラが充満していた。追い詰められると異常に強いジョコビッチだが、この日はそれが発揮するところには至らなかった。芝生のコートでは逆転するのは難しい。


 今日は決勝戦。相手は英国中の期待を背負うアンディ・マレー。この対戦もフェデラーにとっては相性が悪く、非常に難しいたたかいになる。ストロークで意図的に緩急をつけられたら展開を早くできないのでかなり苦労するかもしれない。第1サーブの確率が悪ければさらにストローク戦が増え、そうなるとマレーの術中にはまる可能性も大きい。フェデラーの強さはやはりメンタル。マレーが準々決勝で見せた苛立ちがつのるようだとかなり厳しい。国の期待を背負うことがプレッシャーになってくる。


 ウインブルドン7回目の優勝、さらにランキング1位をかけるフェデラーと、約80年ぶりの英国人優勝を目指すマレー、最後にテニスの神様は粋な対戦を用意したものだ。またまた、見るのが怖い。