気まぐれ鉄ちゃん郷愁編 小海線の旅 新しき背広を着て小海線のさわやかな風に吹かれてはいかがかと | 日々の妄言、ざれ言、たわ言、世迷言

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思いつくことを適当に書き込んで行きます。まことしやかに書かれておりますが、何の根拠もありません。適当に読み流してください。

詩人の萩原朔太郎の詩に、『ふらんすへ行きたしと思へども』というものがあります。

 

 

 

ふらんすに行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し

 

せめては新しき背広を着て気ままなる旅にいでてみん

 

 

 

当時、フランスは憧れの地であり、萩原も花の都パリに行ってみたかったのでしょう。

 

しかし、今ではむしろフランスの人々の方が日本に行ってみたいと思う方が多いようです。

 

 

かつてゴッホは、日本から伝わった浮世絵に大きな関心を寄せ、これを模写しております。

 

 

 

 

 

『ジャポネズリー 雨の橋』

 

 

この作品は歌川広重『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』を模写したもので、ゴッホはその大胆な構図に感激したとされます。

 

 

なーんて、最初から脱線していては話が進んでゆかないので、今回は日本で標高のもっとも高い所を通るJR(東日本)小海線を取り上げてみたいと思います。

 

 

小海線は長野県の小諸駅から、山梨県は北斗市にある小淵沢駅までを結ぶ地方路線(ローカル線)で別名を「八ヶ岳高原線」といい、後には、日本で一番長い信濃川となる上流の千曲川に沿い、八ヶ岳のふもとを走る路線で、景色もよくなかなか人気のある路線であります。

 

 

むかーし、歌手の岡本敦郎が『高原列車は行く』なんてのを歌ってました。

 

 

 

汽車の窓からハンカチ振れば

 

牧場の乙女が花束なげる ♪

 

 

 

絵になりますねえ。

 

 

これが、例えば、あっしのよーなしょぼくれたオッさんが麦わら帽子なんか被って、鍬を持つ手を休め、手を振ったってねえ。

 

石なんか投げつけられそうな気がします。

 

 

 

案山子(かかし)はおとなしく案山子でいろ!」なんてねえ。

 

 

以前、岐阜県内を走る第三セクターの明知鉄道に乗りに行った時、沿線で案山子コンテストなんてものをやっておりまして、いくつもの意匠を凝らした案山子があって、目を楽しませてくれたんですが、その一つの案山子が、動いていたので「可動式か?やるやないかい」なんて思っていたら、案山子ではなく、その畑で農作業をしていたオッちゃんでした。

 

 

さて、始発駅の小諸は、島崎藤村の詩でも有名な古い城主公園の懐古園があります。

 

 

始発駅である、その小諸駅を出ますと、次の次の駅の名前が、なんと「乙女駅」なのであります。

 

 

 

 

 

 

名前の由来は諸説あるようですが、こんな駅のホームの待合室に、可憐な乙女が座っていたらねえ。

 

思わず、ハンカチを振るどころか、列車から降りて声を掛けたくなります。

 

 

 

それが、

 

 

 

花束なげてあげるわよ

 

 

 

みてーのだったら、「見なかったことにしよ」ですけどねえ。

 

 

 

さて、小海線は非電化路線でありまして、運が良ければJR東日本が誇るキハE200系という、ハイブリッド車両に乗ることもできます。

 

 

 

 

キハE200系気動車

 

 

 

鉄ちゃん、それも乗り鉄の楽しみは、その路線でしか乗ることができないレアな車両に乗ることもあります。

 

 

ついでながら、あっしのような乗り鉄はカメラなんか持たず、ただ乗るだけです。

 

 

最近、一部の(と思いますが)マナーの悪い撮り鉄(※ 写真を撮ることがメインの方)がいろいろと散沙汰され、あたかも鉄ちゃん、つまり鉄道ファン全てがそのように見られることもあるようですが、多くの鉄ちゃんは、むしろまともな人間が多いと思います。

 

こと、あっしなんぞは、目立たぬように、はしゃがぬように、他の乗客や世間様の邪魔にならないように気を使っております。

 

 

 

でもまあ、時々、乗っている列車の窓ガラスに顔をくっつけて、

 

 

 

 

映画『シャイニング』

 

 

 

げへへへへ、ちっくしょう、たまんねーなー、おい

中込駅(※小海線にある車両基地のある駅)にキハE200がいるぜ

 

 

 

なーんて、一人でニヤニヤしながら独り言をつぶやいているかもしれませんが、基本的には人畜無害です。

 

 

 

さて、小海線沿線には見所も少なくありません。

 

 

五稜郭と言いますと、北海道は函館にあるものが有名ですが、もう一つ、この沿線にもあります。(※ 日本で二カ所だけ)

 

 

 

 

龍岡城

 

 

 

それが、この駅名ともなっている龍岡城(跡)であります。意外と知られていない穴場スポットです。

 

 

 

やがて、小海線の名前が取られた小海駅から先は、それまでののどかな田園、「日本の正しい田舎」といった風景から、いよいよ高原線という趣になってゆきます。

 

なお、この一帯には山間部なのに「」と付いた地名が少なくありません。この、「小海」の他にも「海瀬」、「海の口」、「海尻」なんて駅もあります。近くに松原湖という湖もありますが、かつてはこの一帯は海であったともされます。クジラの化石も見つかっているのだとか。

 

 

 

野辺山駅の近くで、日本全国のJR路線の中で最も標高の高い地点に達します。ここには、その名も鉄道神社なんてものまであります。

 

 

 

 

 

 

また、近くに国立野辺山宇宙観測所があり、巨大なパラボラアンテナも見えます。

 

 

ちなみに、この次の駅である清里駅には、清泉寮というキリスト教系の(日本聖公会)ロッジがありまして、あっしは、ここに泊まったことがありますが、ここで、夜、生まれて初めて満天の星の中に、くっきりと天の川が見えたのを覚えております。

 

 

 

 

清里 清泉寮

 

 

 

キリスト教系ですから、寺院の宿坊のように、朝のお勤めならぬ礼拝がある、ということはないと思いますけど。

 

ここのソフトクリームは絶品でした。

 

 

 

小海線は、東京を含めた関東や、関西からも、新幹線を利用すれば日帰りでも楽しめる路線です。

 

どこかに行く、ということではなく、ただ、乗るだけという鉄道旅もいいものです。