好きな推理作品はある?
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1990年から23年に渡り放映されたこのドラマ。未だ語り継がれ、名ドラマとの呼び声も高い。
ポワロ役のデヴィッド・スーシェは、はいシステム的にRSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)出身です。
当該ドラマは途中でシフトチェンジ。23年間の中盤までは45分くらいの短編(?)込み。しかもポワロのパートナー・ヘイスティングス大尉と秘書のミス・レモンが笑いを醸し出し、ほっこりさせる。
ところがある日ある時、大転換。プロデューサーが代わったようで、長編オンリーかつシリアスに。自分はヘイスティングス大尉もちろんミス・レモンが大好きだったが、前期後期の端境期にあたる『五匹の子豚』こそマイ最高傑作なのが面白い。
ある主婦が死刑になる場面から話が始まる。彼女は死の恐怖に怯えつつも一切抗弁する事なく絞首台に向かう。
それから10数年後。貴婦人がロンドンに向かう。貴婦人は判決に疑問を抱き、ポワロにくだんの犯罪の、事実を明らかにしてもらおうと。
殺されたのは画家。死刑になったのはその妻なんだが、動機と認定されたのは「彼が絵のモデルと浮気どころか自分を捨てて、結婚しようとしたから」。
ホントか?
全編哀愁溢れる逸品。とりわけラストシーンが素晴らしい。父ちゃん母ちゃんの元に「わー」って走っていく往年の少女。幸せだった昔。
真犯人も素敵である。「私を撃ちなさい」。それでもポワロの説得あって、遺族は撃たずに済みました。
この辺り、フォークナーのえーっと『バーベナの匂い』(1938)を彷彿させる。
バーベナの匂いとは。。。
米南部ジェファーソンに住む息子氏は、継母たるドルーシアとイイ感じ。つーか求愛されておる。
「彼女がわたしに異常な視線を投げかけ、彼女の髪にさしたバーベナの匂いが百倍もまし、百倍もつよくなって、あたりの薄暗がりのなかに瀰漫し、なにか、いままで夢見たこともないようなことが起こりかけているのに気づいた」
長いキスの後、
「彼女はバーベナの小枝を髪から抜いて、それをわたしの折襟に差しこんでくれた」
そうこうしているうちに、息子氏の父・ドルーシアの連れ合いたる親父さんが政敵と決闘の末に殺される。「ふつう復讐するだろ?」と云ふ周囲の目、南部特有の空気というかプレッシャーのなか、ドルーシアが襟にさしたバーベナの匂いが〝もうもうたる葉巻タバコの煙のように立ち込める〝。
その匂いに包まれて氏は政敵のもとへ向かうが・・・
ネタバレすると、彼は復讐しないんですな。いかに非難されようとも。
フォークナーの短編では珠玉のホラー『エミリーのバラ』と本作が、マイ二大巨頭。感動的だしつくづくものを考えさせるから、読んでみてみて。
全然ミステリーじゃないけれども。
海外ミステリー。コナン・ドイルのホームズさんは概ね子ども向け。児童書じゃなくとも。
ただ第1作『緋色の研究』は除く。これは素晴らしい。殺人あった雨のロンドンが前編で、事件自体を詳述し犯人逮捕に至る。後編が犯人語るの動機編。一転、米大陸の荒野へ。
ソルトレイクシティーへの道中そしてその顛末。つまりモルモン教すね。
これは深いっす。うむ、動機に納得。
ポーを忘れちゃいけません。探偵小説の始祖。
『モルグ街の殺人』に『黄金虫』、『盗まれた手紙』・・・
論理の面白さを開発したのは ー 探偵小説じゃないが ー 『メルツェルの将棋指し』などに明らか。これはいったいどういふことになっておるのか、まずはじっくり事実を観察し、ロジックを組み立ててゆく。
決して脊髄反射する事はない。
どれも良いけどイチオシは、イーデン・フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』(1922)。レッドがメインでレドメイン。
スコットランド・ヤードに勤める若手の刑事さん。休暇を趣味の釣り三昧で過ごしましょう、そんな企画でダートムーア(英国南部の湿地帯)に滞在す。
ひとりぶらぶら秘密の釣りスポットに向かっているときすれ違うのは赤毛の美人。刑事さん、一目惚れ。ぼーっと釣りをしていたら、これまた赤毛のオジさんが登場。
殺人事件が起きる。被害者は例の美人の御主人で、容疑者は何と赤毛のオジさんつーじゃないですか。
刑事は見事に事件を解決するのであろうか。
ストーリーは二転三転。舞台はイギリスからイタリー・コモ湖畔へと展開し、ドライヴかかった筋立ては、いろんなものが展開転回。コペルニクス的転回。
「えっ、そんなことになるわけ?」と、もう大転換。面白く、やがて悲しき。。。
*
日本にも良か探偵小説のたくさんあるです。江戸川乱歩に過日亡くなった森村誠一、
◆母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね
松本清張に、安吾ちゃんの探偵モノも面白い。
松本清張、『砂の器』@野村芳太郎監督・松竹。
石もて追われる父子ふたり。居た堪れぬ宿命と、美しい日本の風景その対比。
公開時、まさに父とふたりで観たから思い入れが深い。
そしてこの人。
日本の田舎に特有の、どろどろした因習や人間関係。怨念が、おんねん。←失敬
ほとんどホラーすね。
江戸川乱歩もそうだけど、横溝さんのはほぼほぼホラー。文学史で言うと、ホラーとミステリーは二卵性双生児にあたります。お隣さんで御近所さん、かつ血ぃ🩸も繋がっておる。
これ怪奇好きが、探偵小説にも心惹かれる所以。
横溝正史は
が最も有名だろうか。記念すべき、角川映画の第一弾。メディアミックスの奔りスね。
「祟りじゃ〜」のこれも良い(こちらは東宝じゃなくて松竹。ええ、もちろん野村芳太郎監督です)。
毛利に追われた尼子一族の怨念と、実際にあった「津山三十人殺し」がコラボする。高校時分の担任・ミツエ君が「昨日〝祟りじゃ〜〝を観に行きましてね。いやー、めっちゃ怖かったスね〜」と授業の枕で語っていたのが昨日のことのようである。
映画的に、横溝正史の最高傑作は『犬神家』か、それとも市川昆版・東宝版の第二弾か。
いずれも甲乙つけ難いが、切ないといえば後者に軍配が上がる。若山富三郎の刑事さん。。。
かつての荒くれ者が、こんな演技をできるんだと感動。
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金田一耕助はやっぱ石坂浩二よね。古谷一行じゃなくて。
そして横溝正史てば、むかしお世話になったお客様(某N製紙のN室長)の、義理のお父さん=奥様の実父だったのでした。「せいし」繋がりつーことで。
では。