鞆の浦をゆく
午前中は、尾道の古寺を散策する。
と書くと呑気なものだが、炎天下の坂道は、
何かの修行かと呪いたくなる。
14時頃、福山でバスに乗り換え、鞆の浦に到着。
海の街から、海の街に移るのだから、それ程の変化はないのだが、
歴史の重厚さを感じる街に、襟を正す思いを禁じえない。
この街は、万葉の昔からの港町である上、空襲にも遭ってない。
この「空襲に遭ってない」という重要さをヒシヒシと感じる街も珍しい。
幕末、長州系公卿の「七卿落ち」の宿泊所。
もともとは、酒屋なのだが、
卒倒するほどの学術的価値のある「日本建築」である。
ちなみに、ここで造られていた酒は「保命酒」といい薬酒である。
幕末の老中、阿部正弘がペリーとの饗宴に供した酒である。
そんな危機を回避しつつ、山から港を一望。
最近、この浦を半分埋め立てて、半分に橋を掛けるという計画が持ちあがっている。
そんな事になったら、どこにでもある汚い港街になるから、私は二度と訪問することはないであろう。
尾道をゆく
この7月下旬は、講演会を3つ担当して、最高に危なかった。
その仕事が終わった時、気分がはじけて、
はるばる、瀬戸内海にまで来てしまった。
閑静な港町の旅人を演じるのが、今の気持ちに合致する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
尾道で降車。
駅に降り立った時、私は凍りついた。
人がごった返している。
「シモタ!」(=万事休す!)
花火大会の時に来てしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
早速、古寺をブラブラと散策する。
右写真は、第12代横綱の陣幕九五郎の手形。
横綱勝率10割の、伝説の名横綱であるから、
手形の大きさで負けても仕方ないなぁ・・・
こんなことをして遊びながら、
坂の町でもある尾道をゆく。
1000年の歴史を持つ港町に、私は満足至極。
ただ、暑い!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
実は、私、花火は好きでない。
花火よりも、急に曇り始めた空を引き裂いて光る、夏の稲妻を見るのが好きなのだ。
花火なんて、かったるくて、見てられないと思っている。
だが、せっかく広島くんだりまでやって来たのなら、花火を見てもよいかな、とも思って、
店が空くであろう花火大会前半の時刻を狙って、目を付けておいた店に入る。
土地が変われば、外国に来たも同じで、
魚の名前が分からない。
左写真は、「ギザミ」のお造り。
熱帯魚のような極彩色の魚で驚いた。
まだ魚が動いているのが、
何とも哀れでありつつも、高級感がある。
上記、2品は本日のお勧めである。
ちなみに、店の名前は「いとい」
7年前にも来た事があり、印象深い店である。
魚の相手が「お茶」であれば、画龍点睛を欠く。
ここで、私が選んだのは、「勝沼醸造」の白。
甲州100%の「Arugano Bosque」である。
偶然、先週に勝沼醸造の平山氏の話を聴く機会があった。
なかなか情熱をもってワインを造っている所だ。
尾道で遭ったならば、果たして?
味わいは中庸で、
酸も強くない(=カボスやレモン代わりにならない)のだが、
バランスの妙が飛び抜けている。
であるから、生の魚に合うし、以下に注文する揚げ物にも合う。
こんな港町で、
絶妙のモダンをゆく和食に出会えた幸せは何にも替え難い。
右:オコゼの唐揚げ
写真を撮り忘れたよう。
左写真は〆の鯛茶漬け。
この店は、もう少し静かな時に再訪したいものである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
店を出ると、花火大会も佳境を迎えていた。
海岸の道で見てみたり、
また、坂を駆け登って、寺の境内で見てみたり。
尾道の夏を、図らずも満喫してしまった。
(続く)
色づくブドウ
1年目は結実せず、2年目から収穫ができた。
といっても、多くはない。
3年目。私のブドウ栽培に冷淡な家族が、
内緒でジベレリン処理をしてしまった。
ジベレリン処理とは種無しブドウを作る際に行う、
薬物処理である。
ジベレリンは普通にホームセンターで売っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ジベレリン処理には、薬物濃度と処理時期が大切で、
これを誤ると、処理は失敗する。
幾つか色づいた粒を食べてみたが、
どれも種が入っている。
今日、1匹のコガネムシを発見した。
そろそろ害虫対策に、袋でもかぶせるか。
とりあえず、あり合わせの植木鉢を使用。
来年は、どこか適地に植え替える予定。
イタリアのウンブリア州土着のブドウだが、
日本の芋虫に葉を食い荒らされた。
Adilon についたのと同種の芋虫だった。
伊藤若冲の作品に「葡萄図」というのがあって、
もともとは金閣寺にあったのが、
今は相国寺の承天閣美術館にあるはずなのだが、
その葡萄の葉が虫に食われていたのを思い出した。
ハンガリーワインを久しぶりに
ハンガリーワインを見つけたので、買ってしまった。
これを、衝動買いと言う。
2004 Mátrai Tramini / Szigetvin / Magyarország / Alc 12% vol. (株)スズキビジネス 1439円
ブドウ品種はTramini。Gewürtztraminer と同系統の品種。
しかし、ハンガリーのTramini は、フランスのAlsace産のように、人を感嘆せしめるような風格はない、というのが私の経験。ライチなどではなく、どちらかというとリンゴであるのが、ハンガリー。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
色は、明るいイチョウ葉の黄色。足は、ゆっくりと太く細かく涙。
香は、レモン・オレンジドロップの重心低い甘い香。リンゴタルトのリンゴ香。シダや松脂。鉄っぽさ。ツンと来る。
やわらかな酸に、ふくよかな甘味。Chenin Blanc を連想するリンゴタルトのリンゴの甘味と酸は、一瞬だけ好感を持てるのだが、味の要素の単純さに気付くと興ざめをする。冷やしても、ミカンやパイナップルの缶詰のシロップの印象。飲んでいて飽きてくる。
端的に言うと、ダメなワイン。
なんでこんなダメなワインを造っているのかと、エチケットにあるHP を調べてみるも、内容量が少なく詳細不明。
とにかく、ブダペストの南の郊外で造っているのは分かった。
まあ、色が黄色すぎたので、ちょっと劣化を来たしていることも予想できたし、
2004年では、もう飲むのに手遅れであったと言えよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
昔、吉野山で食べた「葛切り」で、梅酒をシロップ代わりにした物が旨くて感心したことがある。
このワインを、「葛切り」に使ったら、ひょとしたら旨いかもしれない。
「あんみつ」のシロップでも良いかも。
また、氷を入れて、酸を補うためにレモンでも絞れば、まだ生き残る道はあるかも。
祇園囃子の夜(2)
17:00 にもなると、
四条通りなどは人がどんどん増えていく。
渋滞に巻き込まれないうちに、
京都の〆は「西利」なので、急ぐ。
途中、三条通りにて。
新撰組の討ち入りの池田屋事件はこの時期だったと、
ふと思い出して、池田屋跡に寄ってみる。
池田屋が復活していた。
右図は「海鮮茶屋 池田屋」
(・∀・)!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
祇園の花見小路近くの、京漬物の「西利」へ急ぐ。
冬の代名詞「千枚漬け」が祇園宵山を含む3日間だけの限定販売。
もちろん、買わない。
1階の漬物売場でほぼ全てを試食して、漬物の具合をチェックする。
それから、2階のレストランへ向かう。
私の注文するのは毎回、「漬物懐石」と「ワインをフルボトル1本」である。
右:湯葉のお造り
右:八寸(全て漬物)
贅沢煮のジャコと、八寸の大根に挟まっているスモークサーモン以外は、このコースは全て野菜。
といっても分かる訳なく、イタリアの白ワイン。
Lazio のD.O.C.である。
輸入会社が京都の「イタショク」なのが、こだわりだな。
ブドウ品種は書いてないが、
恐らく、Trebbiano とMalvasia。
押さえ気味の酸と、
少し妖艶な甘味(でMalvasiaを感じるのだが)が、
不思議と、このコースの漬物に合う。
2005年のものであるが、
ちょっと酸がダレてきている。
2006年とか2007年のものはないのかな?
右:漬物のフライ、漬物盛り合わせ(白だしの味噌汁は撮影忘れる)
漬物自体に酸があるから、ワインに酸はほどほどで良い。
壁にかかるのは、平安調の大和絵。
これを見るたびに、「また京都に来よう」と毎回思う。
そして、店内の音楽は「祇園囃子」である。
デザートまでも漬物が来たぜ!
と最初は「漬物尽くし」に驚いたものだ。
しかし、今では、「懐石料理」=「漬物」と、
私の中では偏った条件反射の回路ができている。
この店には40回ちかく来ているし、
毎回、同じ物を注文するし、
毎回、ご飯をおかわりするし、
毎回、1人のくせにワインをフルボトルで飲んで行くので、
私の顔は、どうやら店員に知られている様子。
ある時、「今日はいつもより遅くみえましたね」と言われた時は驚いた。
と、私の祇園祭は終了。
祇園囃子の夜(1)
当直明けであるが、京都へ走る。
祇園宵宵山である。
山鉾が聳え、浴衣姿の若者どもが徘徊している。
昨年は 、夜中の山鉾を見ずに帰ったから、
1度見ておこうと思っていた。
山鉾に登る前の御神体などを拝観できる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
7月15日。
右は放下鉾。
昭和初期までは生き稚児を戴いていたが、
現在は稚児人形。
その人形は一見の価値がある。
古い伝統を守っている鉾で、登れるのは男のみ。
左は南観音山からの眺め。
室町、新町の辺りの山鉾は風情と勢いがある。
粽を売る子供の声が、
祇園囃子と聞こえてくるのもこの界隈。
また、この時期に屏風祭りといって、
旧家などが屏風を公開してくれる。
中には、町家の見学の可能なところもあるから、
暑さにフラフラになったら、
勉強と称して、町家住宅に避難する。
浄蔵貴所の像である。
堀川一条の橋で、亡くなった父(三好善行)を
蘇らせたという法力の僧。
以来、「一条戻り橋」として知られる訳だが。
ちなみに、今年の籤取りで1番を引いたのは、
「黒主山」であるようだ。
軒回りに贅をこらす。
「けら場(下から見上げる軒下)」の草花図は、
円山応挙。
蟇又に走る白兎は、左甚五郎。
長刀鉾と並び、見ておくべき鉾だな。
あと、鯉山、船鉾なども良い感じ。
木賊山(とくさやま)の御神体は、なぜか「鈴木内科」という病院の中にあり、
消毒薬の匂いがプンプンしている。
(日も暮れる頃、そろそろ食事に移ります:ちなみに、昼飯は屋台のワラビ餅)
Esterhazy の白
2009年が、ハンガリー関係者にとっては気合の年であることは述べた 。
日墺修好通称航海条約が1869年に締結されているためである。
当時は、オーストリア=ハンガリー二重帝国であるので、
日本とハンガリーの和親条約140周年記念となる。
だが、逆に、オーストリア関係者にとっても気合の年でもある。
しかもオーストリア関係者は、「ハイドン没後200周年」という切り札も持っている。
(であるからか、今年のソムリエ試験はオーストリアワインが出るという噂である)
そのハイドンが仕えたのがEsterhazy家である訳だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
4割引で売っていたので、2本買っておいたもの。
Estoras 2006 / Esterhazy
13% Vol. / 1290円 / エイ・ダブリュ・エイ
ブドウは、Sauvignon Blanc. Pinot Blanc
6月中旬まで、押入れ熟成されていた1本。
3月に飲んだ時は、果実味はリンゴ系であった。
淡いレモン果皮色。足はゆっくりと規則的に涙。
南国系柑橘香にハーブ混じる芳香。少しレモンドロップ。
やさしい酸味に、スマートな甘味。
大人しめだが、存在感ある酸は重心が低く、中盤まで伸びて南国系柑橘の印象。
果実味はグレープフルーツ系。底辺に貫く苦味もグレープフルーツ。
骨格はシッカリしているのはPinot Blancのためか。
鼻腔に抜けるのは、ほろ苦さと酸味で、やはりグレープフルーツ。
時間経つと、酸がハッキリしてきて、パイナップル入りのヨーグルトの印象が一瞬する。
茹でトウモロコシは、万能的に白ワインに合う(貴腐・熟成系を除く)。
酸が弱めになっていたので、ならばと天ぷらに岩塩を添えてみても悪くなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5月中旬に神戸に行く予定があって、ついでに輸入会社を見てこようかと思っていたが、
訳のわからぬ流行風邪のせいで、8月に順延となった。
何となく、ワクワクする。
(本業<<<副業)
映画「人生に乾杯」
1年に1回くらいハンガリー映画がやってくるようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「人生に乾杯」-Konyec を見てきた。
あらすじを簡単に説明すると、
年金生活のハンガリーの老夫婦が、
年代物の車と拳銃を使って、
素人犯罪を繰り返す・・・というもの。
と3行にまとめてみた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
アメリカ映画に「俺達に明日はない」-Bonnie and Clyde というのがあり、
あらすじの小道具はよく似ているし、それを意識して作られたのだろう。
ただ、「人生に乾杯」の方は、どちらかというと喜劇的要素が高い。
喜劇的要素を甘味で例えると、アメリカ映画の喜劇はベタベタに甘いのだが、
こちらの方は、甘味に酸味や苦味のアクセントがある、と言える。
話のあらすじを楽しんで、また吟味して批評するのも良くて、
実際に、映画評論家がいろいろと言ってはいるのだが、
彼らに欠けているのは、映画に映るハンガリーの景色を楽しむという事。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
さて、ハンガリー語の方はどうだったかというと、
怠惰ゆえ最近は学習をしていないから、一部の簡単な会話が分かった程度。
日本・ハンガリー友好年
過去に「スズキビジネス」の通販でハンガリーのワインを買ったので、
毎年2回、通販カタログが郵送されてくる。
「スズキビジネス」は如何なる会社かというと、自動車のSUZUKIの関連企業である。
本社は静岡県浜松市にある。
自動車産業の関連でハンガリーと縁が深い会社であり、
ハンガリーのワインを輸入しているのは有難い。
ついでに、私はトヨタの車に乗っている。(・∀・)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
このカタログが郵送されてきたのも1ヶ月くらい前なのだが、
それを見ていて、2009年が「気合の年」であることが分かった。
和親条約140周年
1869年に日墺修好通商航海条約が締結
(当時はオーストリア・ハンガリー二重帝国)
国交回復50年
1959年にハンガリーと日本の国交が正常化される
1年の半分が過ぎようという時期に気付くのも、どうかと思う。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
という訳で、日本各地で色々と行事が開催されつつある。
(秋篠宮殿下もハンガリーを訪問された)
通販カタログとしては、「鹿児島県産の豚肉」「稲庭うどん」など幅広く取り扱っているのだが、
ハンガリーワインには最大の6頁を割き、次には「静岡グルメ」に4頁を当てている。
毎年、少しずつだが扱われるワインが入れ替わっている。
最近は、ハンガリーワインを飲む暇がないのだが、
某県のハンガリー友好協会誌でハンガリーワインのコラムを担当していることもあり、
そろそろ新境地を開拓しないとならぬなぁ・・・
胡蝶の夢
私、1年に2回くらい、外国を旅している夢を見る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いきなりであるが、私はバスに乗っていた。
いつもの大きなバックパックを背負っていない。
というのは、駅のロッカーに預けて来たからだ。
私はバスに乗っているくせに行き先を知らない。
行き先どころか、どこにいるのかも理解していない。
隣の席の人が話しかけてきた。
何と、ハンガリー語だ。驚いた。
最近はハンガリー語を怠けているのだが、
何とかハンガリー語で会話をしている自分がいる。
右手を見ると、切符とパンフレットを持っている。
それを見て、自分はハンガリーにいる事を実感した。
どうやら、中世の城を見学に来たようだった。
本当に抜けるような青空である。
あと3日しか旅程が残ってないのに(根拠はない)、
ハンガリーでなくてオーストリアの山奥に行くべきだった、
と少し後悔する。
ふと周囲に気を配ると、日本の寺院が建っていた。
「こんな所に建てやがって。笑いものにしてくれるぜ」
と、その寺院に向かって歩いていった所で目が醒めた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私の性格として、幼稚園児の頃からであるが、一番大事なものは最後に取っておく癖がある。
あんなイカサマ和風建築などはほっといて、中世の城を見れば良かった。
京都の大覚寺の大沢の池に映える宝塔に似ていた。
普段からハンガリー語を勉強していれば、
今日の夢はもっと楽しかったかもしれなかった。
何故、このような夢をみたのかは分析できない。
昨夜、遅くまでしていたことは、読書であるのだが、
読んでいたのは、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」であって、ハンガリーには微塵も関係がないのである。





























2009年3月に飲んでいる



