旧暦の十二ヶ月の道具立てを考えるとき、節供は思い浮かべやすいでしょうが、他のものはピンとこない事が多いという人も多いでしょう。

 

 私は以下のような表を作っています。

 

 旧暦四月 初風炉

 干支:巳

 花札:藤
 花:卯の花
 鳥:郭公

 棗:面中次

 旧暦五月 端午
 干支:午
 花札:菖蒲
 花:橘
 鳥:水鶏

 棗:白粉解

 

 旧暦六月 

 干支:未

 花札:牡丹

 花:撫子

 鳥:鵜(鵜飼)

 棗:金輪寺

 

 旧暦七月 七夕

 干支:申
 花札:萩
 花:女郎花

 鳥:鵲

 棗:尻張棗
 

 旧暦八月 月見

 干支:酉

 花札:芒

 花:萩

 鳥:雁

 棗:八角茶器

 

 旧暦九月 重陽

 干支:戌

 花札:菊
 花:尾花

 鳥:鶉

 棗:平棗

 

 旧暦十月 炉開き

 干支:亥

 花札:紅葉・鹿

 花:残菊
 鳥:鶴

 棗:吹雪

 

 旧暦十一月 冬至

 干支:子

 花札:柳
 花:枇杷
 鳥:千鳥
 棗:丸棗

 旧暦十二月 寒中

 干支:丑

 花札:桐

 花:早梅

 鳥:鴛鴦(おしどり)

 棗:割蓋茶器(老松)

 旧暦一月 正月・初釜
 干支:寅

 花札:松

 花:柳竹

 鳥:鶯

 棗:大棗

 

 旧暦二月 初午

 干支:卯

 花札:梅
 花:菫

 鳥:雲雀

 棗:中棗

 

 旧暦三月 上巳

 干支:辰

 花札:桜

 花:桃

 鳥:雉

 棗:薬器

 これをヒントに道具を組み立てていくと案外組み立てやすいと思います。

 本日は九月一日、長月朔日、甲辰年甲戌月庚子日です。


 長月は夜長月の略といわれ、秋の夜長はこの長月の頃を指します。

 

 長月は、初秋(孟秋)の文月、盛秋(仲秋)の葉月と来て、晩秋(季秋)となります。

 

 長月の異称は

 

 彩月【いろどりづき】・濃染月【こそめづき】⇒最も華やかな秋の景色から


 祝月【いわいづき】⇒一月・五月・九月のことで、特に斎(い)み慎む月と考えられたため。


 詠月【えいげつ】


 菊開月【きくさきづき】・菊月【きくづき】⇒菊が最も多く咲くことから


 玄月【げんげつ】


 建戌月【けんじゅつげつ】⇒北斗七星の柄が戌の方角を指すことから


 青女月【せいじょづき】⇒『淮南子』にある霜や雪を降らす女神から


 竹酔月【ちくすいづき】


 寝覚月【ねざめづき】⇒秋の夜長に途中で目が覚めてしまうことから


 暮秋【ぼしゅう】⇒秋の終わりということ


 紅葉月【もみじづき】⇒紅葉が始まる季節であることから

 

 だそうです。


 今ひとつ由来のわからないものもありますね。


 今後こういうところを詰めていきたいものです。

 

 詠月というのは、歌を詠むのに適した月ということなんでしょうかねぇ?

 玄月についてひとつ思ったのは、玄鳥とも呼ばれる燕が南の国に飛び立つのがこの頃ですので、そこに結び付きがあるのでは?とも思ったり。

 

 竹酔月は、竹酔日に関係があるのでしょうか。ただ、読み方が「ささよいづき」ならば、「ささ」とは「酒」の意味なので、宴会の多い季節だから酔っ払うということにも取れます(笑)

 

 秋の夜長は読書に限ります^^

 

入手元:ヤフオク
落札価格:★★☆
 
 鮨桶となってますが、鮓桶ですね(笑)
 
 本歌は吉野鮓桶建水、淡々斎好で、中央に蔦の蔓が巻き付けてあります。
 
 こちらは、讃岐塗の邦斎作。溜塗。中央に蔦の意匠が施されています。
 
 鮓というのは、熟鮨や生熟れスシをいい、醗酵食品のスシで、それを作るための桶が鮓桶です。
 
 大きさが丁度建水大だったことから好まれたようですよ。
 
 さぁ、何に合わせましょうか?
 

入手元:ヤフオク
落札額:★★☆
 
 出雲焼の窯元・楽山窯の十代長岡空権さんの作品です。
 
 煎茶用?の黄銅の建水でよく見かける意匠を陶器に写したものでしょうかね? そこに白釉を流し掛けてあり、御本手のような地肌によく映えます。
 
 雲間が途切れて陽射しが降り注いでいるかのような雰囲気もありつつ(雲州だけに?)、物語を探してみたいと思います。
 
 楽山窯は、延宝年間に萩の陶工である倉崎権兵衛を祖とし、松江藩の御用窯として創業したのが始まりとされています。
 
 

 その後一時製造が中断されていましたが、享和元年(1801年)に松平不昧公が名工・長岡住右衛門に再興させたもので、「御立山焼」や「御山焼」と呼ばれ、再び御用窯として茶陶を作ります。

 

 明治維新後、名称を楽山焼と変えて現在に至っています。

 

 

 

 

 大抵のお流派にある「盆香盒」という点前。

 

 これをするのは名物香盒に限られますが、名物香盒の多くは「堆朱」や「堆黒」などの漢作唐物の塗物です。

 

 

 

 

 陶器なども漢作唐物で、交趾などが中心になっています。

 

 江戸時代には「型物香盒」が流行し、番付表などが出回りますが、これに載っているのは当時写物が多く作られていた陶磁器の物ばかりですので、注意が必要です。

 

 型物香盒というのは「型を用いて成形した陶磁器の香盒」を意味しますので、当然載っているのは陶磁器です(笑)

 

 大事なことなので二度言いますが、「名物香盒は塗物が多い」です。

 

 それと、唐物(漢作に限らず)の場合は床荘りをするお流派もありますので、注意が必要です。

 

 狭義の意味では唐物というのは明以前に支那地域で作られた物(=漢作唐物)を指しまして、広義の意味では唐物とは日本に入ってきた渡来の材料で作られたものも含みますので、注意が必要です。

 

 この盆香盒、名物に限るとした場合、やる機会など我々にはないかと思いますが、そこで「由来・由緒のある物」としているのでしょうね。

 

 主家筋からの下賜品なども盆香盒をするようですが、こちらも唐物(広義の)でないと床荘りはしないようです。

 

 

 稲垣休叟著『茶道筌蹄』には


「香合は道具中にも至て軽き物ゆへ、
利休百会にも香合の書付なし、夫故に名物も少なし、名物は堆朱青貝に限る」


 という記述があります。

 

 ちなみに青貝は日本の素材で日本で作られても唐物扱い(技術が唐物)だったりします。本堆朱・堆黒が国産でも唐物扱いなのと同じですね(村上堆朱や先代堆朱は唐物扱いしない→技法が違うため)。

 

 

 この辺り、案外分かってない人が多いように感じましたので、一度書いておかないとなー、と思い至ってまとめてみました。

 

 皆様の参考になれば幸いです。