大抵のお流派にある「盆香盒」という点前。
これをするのは名物香盒に限られますが、名物香盒の多くは「堆朱」や「堆黒」などの漢作唐物の塗物です。
陶器なども漢作唐物で、交趾などが中心になっています。
江戸時代には「型物香盒」が流行し、番付表などが出回りますが、これに載っているのは当時写物が多く作られていた陶磁器の物ばかりですので、注意が必要です。
型物香盒というのは「型を用いて成形した陶磁器の香盒」を意味しますので、当然載っているのは陶磁器です(笑)
大事なことなので二度言いますが、「名物香盒は塗物が多い」です。
それと、唐物(漢作に限らず)の場合は床荘りをするお流派もありますので、注意が必要です。
狭義の意味では唐物というのは明以前に支那地域で作られた物(=漢作唐物)を指しまして、広義の意味では唐物とは日本に入ってきた渡来の材料で作られたものも含みますので、注意が必要です。
この盆香盒、名物に限るとした場合、やる機会など我々にはないかと思いますが、そこで「由来・由緒のある物」としているのでしょうね。
主家筋からの下賜品なども盆香盒をするようですが、こちらも唐物(広義の)でないと床荘りはしないようです。
稲垣休叟著『茶道筌蹄』には
「香合は道具中にも至て軽き物ゆへ、
利休百会にも香合の書付なし、夫故に名物も少なし、名物は堆朱青貝に限る」
という記述があります。
ちなみに青貝は日本の素材で日本で作られても唐物扱い(技術が唐物)だったりします。本堆朱・堆黒が国産でも唐物扱いなのと同じですね(村上堆朱や先代堆朱は唐物扱いしない→技法が違うため)。
この辺り、案外分かってない人が多いように感じましたので、一度書いておかないとなー、と思い至ってまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。