映画「生きる」

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地上波TVで観ました。

題名:「生きる」1952年日本映画

監督:黒澤明

出演:志村喬、小田切みき

 

今更ながら観ましたよ。素晴らしい、感動の映画でした。こういう映画を観ると、さすがに黒澤明が高く評価されているのがわかる。フェリーニの「道」を観た時と似たような衝撃でした。

 

 

 

主人公は、市役所の市民課の渡辺課長(志村喬)。毎日、膨大の量の書類に目を通し、ハンコを押す。そんなことをして、30年以上が経過している。役所の仕事はやっているように見えて、何もやらないのが仕事。妻には先立たれている。息子夫妻と同居している。

 

 

 

 

そんな彼が胃部に痛みを感じて医者に行く。待合室で余計な患者が彼にこんなことを言う。

「胃癌の場合は、医者は、”軽い胃潰瘍ですね”って言うんですよ。そして、”手術は?”って聞くと、”いえいえ、手術なんて必要ないですよ”って言う。そういう場合は、まず、胃癌で余命は6か月ですよ」と。

 

そして、渡辺課長がレントゲン写真を見ながら医者の説明を聞く。医者が言う。

「軽い胃潰瘍ですね。手術なんて必要ないですよ」と。

 

そして、渡辺課長がいなくなってから、医者はアシスタントに「6か月の命だね」と言う。

 

渡辺は死を覚悟する。そして、一度も休んだことがない仕事を休む。そして飲みに行く。そこである売れない若い作家に身の上話をする。

 

 

 

 

渡辺は余命をどうしようかと相談する。作家は、じゃあ、ぱーと行きましょうと、彼をパチンコ屋に連れて行く、ビアホールに連れて行き、行きつけのバーに連れて行き

 

 

 

ダンスホールのようなところにも連れて行き

 

 

もみくちゃにされる。

 

 

しかし、渡辺はそこで、この世のものとは思えないような声でゆっくりと歌いだす。

 

♪命短し 恋せよ乙女

赤き唇 あせぬまに

熱き血潮の 冷えぬ間に

明日の月日は ないものを

 

 

 

 

渡辺課長は夜遊びにはむなしさだけを感じる。そして、役所を辞めるという若い部下の女性と街でばったりあったのがきっかけで、ちょっとしたお付き合いを始める。

 

 

 

課長は彼女と一緒にいると楽しかった。天真爛漫な彼女が生き生き見えるのだ。

貧乏な彼女に靴下を買ってあげたり、お汁粉をご馳走したりするけれど、彼女には、課長と恋などする気はさらさらない。

 

 

 

2週間役所を休んでいた課長は、突然出勤する。

そして、今までいい加減にやっていた仕事をすごく一生懸命にやりだす。市民の「公園を作って欲しい」という嘆願をなんとか実現させようと、必死で役所内を回り、助役にも頭を下げて、狂ったように働く。そして、公園は作られる。

 

しかし、渡辺課長は胃癌で死んでしまう。

 

 

 

この通夜のシーンも素晴らしい。通夜に集まった人たちのセリフが、徐々に変化していく。最初は死んだ渡辺課長に冷ややかだった多くの人たちが、彼の最期の情熱を理解し始めるです。この辺の変化などは映画を観ないとわからない。

 

 

 

 

これ以上は書きませんが、私もこういう素晴らしい映画の良さがわかる年齢になりました。こういう映画を若い時に観ても、どこまでわかっただろうか。

 

 

 

唯一難を言えば、志村さんのセリフがよく聞き取れなかった。字幕が欲しかった。

 

でも観てよかった。