葉が落ちきった木を蹴り飛ばしているよう -2ページ目

土着的に器用な男

取りつかれたように穴を堀続ける


気が遠くなるような高い空に


所々生える白い草木


赤茶色の粘土質な土


僕はひたすらに穴を掘っている


五日ほど前に、久しぶりにあった男に教えてもらった


この赤茶色の土の中には、よく金が埋まっているんだ


私も掘りたいところなんだけど、見ての通り腕を怪我していてね


掘りたくても掘れないんだ


男の右腕はだらしなく垂れていて、言われてみれば怪我をしているように見える


そして僕は、五日分の給料と同じ金銭を払い


男から錆びたスコップをゆずりうけた


そして、僕は五日間寝ずに穴を掘り続けている


スコップは赤茶色の土の堀方を知っているのか


驚くほどに掘りやすかった


もう、空がよく見えなくなってきた


穴の中から見上げた僕は


呟くように、そう思った


ガチンと固い手触りがして、僕は驚いた


そして、心が踊った


勢いよく、さらに穴を掘り進めると


スコップがぶつかった相手が見えた


大きな石だった


僕はようやく気付いた


だまされた


悔しさで体を震わせていると


穴の外から足音が聞こえた気がした


僕は右腕をだらしなく垂らし


穴から出ようと


スコップで足場を作った

決められた台詞と態度

随分と手触りの悪い人間に会った



ガチガチに固まった皮膚



青ざめた体の色



ぎこちない喋り口調



口を開くたびに香る鼻をつく口臭



君は随分と固い皮膚なんだねと



僕は彼に話しかける



彼は



まあね



とだけ返事をした



君は随分と体の色が変わっているんだねと



僕は彼に話しかける



彼は



まあね



とだけ返事をした



君の体臭は随分と珍しいけど、食文化が違うのかな?と



僕は彼に尋ねる



彼は



まあね



とだけ返事をした



僕はそこで疑問を感じ、彼に



まあね以外の言葉を言ってみてくれないかなと



彼に要求した


彼は



まあね



とだけ返事をした



彼はロボットだった



やれやれと首を振って



僕は歩きだした



随分と手触りの悪いロボットに会った

抱きしめられた時の息苦しさ

浸るというより抱かれている



ゆらゆらとたゆたう水の流れ



僕の頬を撫でるよう



僕に息を吹きかけるよう



僕を抱きしめるように



水はふわふわとたゆたう



暗い



真っ暗だ



なのに、僕は安心している



帰ってきたんだ



そして、水は僕を受け入れた



僕は身動き一つできない



だから、安心している



暖かな束縛



自由な水たち



真っ暗な空間



しんと静まり返った音



そのどれもが僕を安心させる



僕は



水に



浸るというより抱かれている