伊予小松の八咫烏だんじり(中編) | 樂車道樂のお旅所巡礼/DanjiriDouraku

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(続き)

だんじりと神輿が出発して数十分が経過した。
南川の町内のいくつかの場所で
神輿を据えては宮司さんが祝詞を奏上して
また次の場所へと移動する。

神事は淡々と進んでいった。
たくさん集まるはずだった多くの若衆たちは
まだ姿を見せておらず、
子供の姿もない。
仕方ない、今日は本来は平日なのだ。



最低限の青年団の役員と若衆が
本来、担ぐはずだっただんじりを
曳いて移動させ(察してほしい)、
神輿の後をついていく。
ここでは南川だんじりは御供屋台だった。

神事が始まると太鼓を止め、
数分間のおごそかな沈黙が訪れる。

時間が経つにつれ、
若衆もぼちぼちと増えてきたが
昨日、一昨日と
地元の同じ形式のだんじりの奉納を
 目にしてきたわが自身にとっては、
どうしても少なすぎる若衆たちが
あまりにも静かすぎるのを
このままただ撮っていていいものかどうか
しばらく自問する。



太鼓はともかくとして
まず唄がない。
隣々の神社では競って唄いあっていた
伊勢音頭をはじめとする多くの祭り唄を
だれも口にしようとはせず
ただ太鼓の囃子だけが
閑静な昭和の住宅街を移動していた。

私は勝手に飛び込んできたよそ者なので
できるだけ出しゃばって邪魔をすることは
本意ではなかったが、
目の前にはだんじりがあって
太鼓が鳴り続けている、

 

ついに我慢できずに
覚えている限りの祭り唄を
屋台についている若衆に向けて
唄いだしていた。



伊勢音頭から始まり、
ノーエ節、
お杉お玉節まで歌い続け、
なんとかこの沈黙を打ち破りたかった。

どのくらい唄ったのだろうか、
唄うにも体力を使うのだ。
唄い疲れていったん撮影に専念することにした。

しだいに、
すこしづつではあるが

若衆もつられて唄に参加するようになった。
だんじりの周囲に色がよみがえってきた。
青年団の役員のかたがたにも話したが
「だんじりに血が通い始めた」のだ。



神輿の巡幸が3時間ほどを迎えただろうか、
祭礼の一行は
いつのまにか集会所に到着し
お昼休みの時間となっていた。

(続く)

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