こちらが「オリジナル録音」です(1968年9月23日録音)。

 

「Chauffe Marcel!!(燃えろマルセル!!)」

 

この「掛け声」でも、この曲は「有名」です(この曲の「代名詞」のようなものです)。

 

1968年12月24日、テレビにてこの曲を歌った時の、「有名」な映像です(ピアノは、フランソワ・ローベールでしょう...)。

ちょっと「気取った」感じの開始が、ブレル一流の「皮肉(ユーモア)」を感じさせますが、ブレルがギターを手にすると、一転して、「白熱」した演奏となります。ブレルの「早口」と、マルセル・アゾーラ(アコーディオン)の「速弾き」の、「丁々発止」のやりとりは、まさに、「シャンソンの歴史に残る」、「超絶的名演奏」だと言えるでしょう。

こちらも、有名で「貴重」な映像です。

「1967」とありますが、正しくは、「1968年10月12日」のテレビ番組で、この曲のレコーディング風景の「ドキュメンタリー」となっています。

冒頭で、ブレルの隣りに立っている男性が、「親友」で「秘書」の、ジョルジュ・パスキエ(ジョジョ)(1924-74)です。

 

そのマルセル・アゾーラですが、実は、「今年1月21日」に、この世を去っていました。「91歳」でした。

次の2つの動画は、その「ニュース」となります。

 

次の2つの動画も、当時のマルセル・アゾーラの「超絶技巧」を知ることの出来るものとなっています。

 

こちらは、1970年7月2日に、スイスのテレビにて放送されたものです。

 

こちらは、ピアノをジェラール・ジュアネスト(1933-2018)が弾いているようです。

1980年代後半ごろの映像でしょうか(場所は「ブリュッセル」?)。

冒頭に、ヨハン・ヴァーミネン(1951-)の姿も映っていますね(彼は、ブリュッセル近郊の出身ですが、「オランダ語」で歌う歌手です)。

 

あらためて、アコーディオンの「大家」、マルセル・アゾーラのご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 

合掌...。

 

マルセル・アゾーラ(1927.7.10-2019.1.21)

 

続いては、最新のブレルの「トリビュート・アルバム」、「CES GENS-LA "あの人たち"」より、トーマ(ス)・デュトロン(1973-)が歌ったバージョンです(歌詞の一部が「アレンジ」されているようです)。

 

彼は、あのジャック・デュトロン(1943-)と、フランソワーズ・アルディ(1944-)の「息子」で、「両親の影響」が、その歌の中にも「感じられる」と思います(しかし、「この曲」にしては、ちょっと「アンニュイ」過ぎますかね...)。

 

詞の中に出て来る「デュトロン」というのは、その「ジャック・デュトロン」のことだとも言われていますから、今回、「その息子」であるトーマ(ス)が歌うのは「必然」だったのかも知れません。

「歌唱映像」も見つけました。

前回記事のリヴ・デル・エスタル(1997-)同様、先月末、「3月29日」に公開されたばかりの映像です。

この動画も「追加」しておきましょう。

画面向かって「右」が、「前々回記事」で紹介(絶賛)した、オクスモ・プッチーノ(1974-)。

向かって「左」が、「ne me quitte pas "行かないで"」(1958-59)を歌った、スリマヌ(1989-)です。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12455044879.html(前回の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12453818864.html(最新トリビュート・アルバム「CES GENS-LA」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)

 

昨年、「没後40周年」(「10月9日」が「命日」)を迎えた、シャンソン界の「3大巨匠」の1人、ジャック・ブレル(1929-78)ですが、今年は「生誕90周年」と、これもまた「記念の年」に当たっています。

 

その「誕生日」は、「4月8日」でした。

 

というわけで、「特集」にてお送りしていますが、今回紹介する曲も、最新のトリビュート・アルバム「CES GENS-LA "あの人たち"」に収録された「名作」です(「今回の記事」にて、このアルバムの収録曲は、「すべて」、「正式」に採り上げたことになります)。

 

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「Vesoul "ヴズール(お前の言いなり)"」(1968)。

今回は、この作品を採り上げてみたいと思います。

 

この曲、「Vesoul "ヴズール(お前の言いなり)"」は、1968年9月に発売された傑作アルバム、「J'arrive "孤独への道"」からの1曲ですが、その「アルバムタイトル」も、「現在の通称」であり、過去には、この「Vesoul」を「タイトル」として発売されていたこともありました。

 

「日本」での曲の「知名度」から言えば、「圧倒的」に、「J'arrive "孤独への道"」の方が「上」だと思います。

 

これは、ブレルの「盟友」でもある、ジュリエット・グレコ(1927-)が、早くから採り上げ、「来日公演」でも、「la chanson des vieux amants "懐かしき恋人の歌"」(1967)とともに数多く歌っていたことも、「要因」の1つとして挙げられるでしょう。

 

ただ、本国での「話題度」、「なじみ度」という点で言えば、こちらの「Vesoul "ヴズール(お前の言いなり)"」の方が「上」だと思います(現在、日本でも発売されている、「1枚ベスト」には、この「Vesoul」の方が選ばれて収録されています)。

 

 

「j'arrive "孤独への道"」も、確かに、「最高傑作」として「リスペクト」はされているようですが、「極論」すれば、本国では、「あまり目立っていない曲」だとも言えるのではないでしょうか。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12317203293.html?frm=theme(参考:「孤独への道」の記事)

 

とは言え、この「j'arrive "孤独への道"」は、「アルバム」としても、全体的に、「人間の内面」が鋭く描かれており、「凄み」というか、ずしりとした「重量感」が感じられる、「超大作」であることには変わりありません。

 

発表の時期が「ほど近い」、バルバラ(1930-97)の傑作アルバム「le soleil noir "黒い太陽"」(1968年10月発売)からも、すでに「全11曲中6(7)曲」を紹介していますが、ブレルのこちらのアルバムも、すでに、「全9曲中6曲目」の紹介ということになります。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(参考:「バルバラ」がテーマのこれまでの記事)

 

この曲のタイトルともなっている、「Vesoul(ヴズール)」というのは、フランスの東部にある都市の名前で、「オート=ソーヌ県」の「中心都市(県庁所在地)」でもあります。

 

ブレルは、1960年代に少なくとも「2回」はこの地を訪れ、「ライヴ」を行なっていますが、その「最初」、1960年7月の終わりに訪れた際、宿泊したホテルの主人たちに、この「ヴズール」をテーマにした曲を書くことを「約束」したということです。

 

1966年8月に再びこの地を訪れた際、その「約束」を思い出したブレルは、その後しばらくして(翌年5月までは、ライヴの「予定」も入っていましたから、「その後」のことでしょう)、本格的に、その曲作りに乗り出しました。

 

この動画は、「その背景」を取材したものです(フランス語)。

 

上掲(「3番目の動画」)のように、レコーディング時には、「取材」(「exclusif=独占/特ダネ」の文字も見えます)も入っていました。

 

セッションの時間も残り少なくなって来た「2回目のテイク」の時、思わず飛びだした、「chauffe Marcel!!(燃えろマルセル!!)」が、そのまま「採用」となったということです。

 

曲のタイトルについては、「Vierzon-Vesoul(ヴィエルゾン-ヴズール)」の他に、「Azzola-Vesoul(アゾーラ-ヴズール)」などという「候補」もあったようでしたが、最終的に、「Vesoul」に落ち着いたようです。

 

また、マルセル・アゾーラは、次の様にも話しています。

 

「ブレルは、この曲の結末を、よく考えてはいなかった。

この曲は、ちょっとした"遊び"のように書かれたのだ...」

 

その後、ヴズールの街では、学校や広場に「ブレル」の名が使われ、2000年以降は、市内のエドウィッジ・フイエール劇場において、「新人歌手発掘」のためのコンクール、「ブレル・フェスティバル」も「毎年」開催されているということです(その劇場に、ブレルの「胸像」が設置されたことは、すでに書いている通りです)。

 

この曲は、「さまざまなスタイル」、「さまざまな言語」によって「カバー」されており、その数は、本当に「とても多い」ようです。

 

ですので、ここには、「代表」として、フローラン・パニー(1961-)と、昨年亡くなった、ブレルと同じ「ベルギー出身」の女性歌手、モラーヌ(1960-2018)による歌唱を載せておくことにしましょう。2人とも「ベテラン」ですが、「ブレルの子どもの世代」でもありますね。

 

パニーの映像は、2012年4月6日に公開されたものです。

モラーヌの音源は、昨年8月にリリースされた「遺作」です。

 

先述のように、この曲のアコーディオニストでもあった、マルセル・アゾーラ(1927-2019)が、この1月に亡くなりました。

彼を偲んで、次の録音、映像も載せておくことにしましょう。

 

ブレルの「最後のアルバム」となった、「les Marquises "遥かなるマルキーズ(マルケサス)"諸島」(1977)の第1曲目、「Jaures "ジョレスは殺された"」です。ここでは、マルセル・アゾーラのアコーディオンの伴奏のみで歌われています。

 

1987年9月から10月にかけての、バルバラ(1930-97)のシャトレ劇場公演で、マルセル・アゾーラは、アコーディオニストを務めました。

 

「アンコール最終曲」(実際には、バルバラはこの後「もう1度」、アンコールに応えています)となった、「Gottingen "パリとゲッティンゲン"」(1965)で、大変「印象的」な後奏を聴かせてくれています(この他にも、「valse Franz "ヴァルス・フランツ"」を、「即興的」に演奏していました)。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12332609752.html?frm=theme(参考:「パリとゲッティンゲン」の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12331299785.html?frm=theme(参考:「ゴーギャン」&「ヴァルス・フランツ」の記事)

 

以下に、「Vesoul "ヴズール(お前の言いなり)"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

それではまた...。

 

..........................................................................................................................................................................................

 

Vesoul  ヴズール(お前の言いなり)

 

t'as voulu voir Vierzon

et on a vu Vierzon

t'as voulu voir Vesoul

et on a vu Vesoul

t'as voulu voir Honfleur

et on a vu Honfleur

t'as voulu voir Hambourg

et on a vu Hambourg

j'ai voulu voir Anvers

on a revu Hambourg

j'ai voulu voir ta soeur

et on a vu ta mere

comme toujours

 

お前がヴィエルゾンを見たがったので

ヴィエルゾンを見に行った

お前がヴズールを見たがったので

ヴズールを見に行った

お前がオンフルールを見たがったので

オンフルールを見に行った

お前がハンブルクを見たがったので

ハンブルクを見に行った

俺はアントワープを見たかったのに

またハンブルクを見に行った

俺はお前の姉妹に会いたかったんだが

お前のお母さんに会いに行った

いつものように

 

t'as plus aime Vierzon

on a quitte Vierzon

t'as plus aime Vesoul

on a quitte Vesoul

t'as plus aime Honfleur

on a quitte Honfleur

t'as plus aime Hambourg

on a quitte Hambourg

t'as voulu voir Anvers

on a vu que ses faubourgs

t'as plus aime ta mere

on a quitte ta soeur

comme toujours

 

お前はヴィエルゾンがもう嫌になったので

ヴィエルゾンから離れた

お前はヴズールがもう嫌になったので

ヴズールから離れた

お前はオンフルールがもう嫌になったので

オンフルールから離れた

お前はハンブルクがもう嫌になったので

ハンブルクから離れた

お前はアントワープを見たがったが

見に行ったのは街はずれだけだった

お前はお母さんがもう好きじゃなくなったので

俺たちはお前の姉妹と別れた

いつものように

 

mais je te le dis

je n'irai pas plus loin

mais je te previens

j'irai pas a Paris

d'ailleurs j'ai horreur

de tous les flonflons

de la valse musette

et de l'accordeon

 

でもこれだけは言っておく

俺はもう遠くには行かない

前もって言っておくよ

俺はパリには行かない

何しろ 俺は大嫌いなんだ

あの 街のざわめきが

ヴァルス・ミュゼットとか

アコーディオンの音色が

 

t'as voulu voir Paris

et on a vu Paris

t'as voulu voir Dutronc

et on a vu Dutronc

j'ai voulu voir ta soeur

j'ai vu le Mont-Valerien

t'as voulu voir Hortense

elle etait dans le Cantal

je voulais voir Byzance

et on a vu Pigalle

a la gare St-Lazare

j'ai vu les fleurs du mal

par hazard

 

お前がパリを見たがったので

パリを見に行った

お前が(ジャック・)デュトロンを見たがったので

(ジャック・)デュトロンを見に行った

俺はお前の姉妹に会いたかった

俺はモン・ヴァレリアン(ヴァレリアンの丘)を見た

お前はオルタンスに会いたがったが

彼女はカンタル県にいた

俺はビザンティウム(イスタンブール)を見たかったが

見に行ったのはピギャールだった

サン・ラザールの駅では

俺は思いがけなく

「悪の華」を見た

 

t'as plus aime Paris

on a quitte Paris

t'as plus aime Dutronc

on a quitte Dutronc

maintenant je confonds ta soeur

et le Mont-Valerien

de ce que je sais d'Hortense

j'irai plus dans le Cantal

et tant pis pour Byzance

puisque j'ai vu Pigalle

et la gare St-Lazare

c'est cher et ca fait mal

au hazard

 

お前はパリがもう嫌になったので

パリから離れた

お前はデュトロンがもう嫌になったので

デュトロンから離れた

いま俺は お前の姉妹と

モン・ヴァレリアン(ヴァレリアンの丘)がごっちゃになっている

オルタンスについては知っていることがあるので

もう カンタル県へは行かない

ビザンティウム(イスタンブール)は残念だが

ピギャールも見たし

サン・ラザール駅も見た

行き当たりばったりでは

金もかかるし大変だから

 

mais je te le redis (chauffe Marcel, chauffe!!)

je n'irai pas plus loin

mais je te previens (qu'aille, qu'aille, qu'aille!!)

le voyage est fini

d'ailleurs j'ai horreur

de tous les flonflons

de la valse musette

et de l'accordeon...(chauffe...)

 

でももう1度 これだけは言っておく (燃えろマルセル!! 熱く!!)

俺はもう遠くには行かない

前もって言っておくよ (Go! Go! Go!!)

もう 旅は終わりだ

何しろ 俺は大嫌いなんだ

あの 街のざわめきが

ヴァルス・ミュゼットとか

アコーディオンの音色が...(熱く...)

 

t'as voulu voir Vierzon

et on a vu Vierzon

t'as voulu voir Vesoul

et on a vu Vesoul

t'as voulu voir Honfleur

et on a vu Honfleur

t'as voulu voir Hambourg

et on a vu Hambourg

j'ai voulu voir Anvers

on a revu Hambourg

j'ai voulu voir ta soeur

et on a vu ta mere

comme toujours

 

お前がヴィエルゾンを見たがったので

ヴィエルゾンを見に行った

お前がヴズールを見たがったので

ヴズールを見に行った

お前がオンフルールを見たがったので

オンフルールを見に行った

お前がハンブルクを見たがったので

ハンブルクを見に行った

俺はアントワープを見たかったのに

またハンブルクを見に行った

俺はお前の姉妹に会いたかったんだが

お前のお母さんに会いに行った

いつものように

 

t'as plus aime Vierzon

on a quitte Vierzon (chauffe, chauffe, chauffe!!)

t'as plus aime Vesoul

on a quitte Vesoul

t'as plus aime Honfleur

on a quitte Honfleur

t'as plus aime Hambourg

on a quitte Hambourg

t'as voulu voir Anvers

on a vu que ses faubourgs

t'as plus aime ta mere

on a quitte ta soeur

comme toujours... (chauffez les gars!!)

 

お前はヴィエルゾンがもう嫌になったので

ヴィエルゾンから離れた (熱く、熱く、熱く!!)

お前はヴズールがもう嫌になったので

ヴズールから離れた

お前はオンフルールがもう嫌になったので

オンフルールから離れた

お前はハンブルクがもう嫌になったので

ハンブルクから離れた

お前はアントワープを見たがったが

見に行ったのは街はずれだけだった

お前はお母さんがもう好きじゃなくなったので

俺たちはお前の姉妹と別れた

いつものように (燃えろ!! みんな!!)

 

mais je te le redis (qu'aille!!)

je n'irai pas plus loin

mais je te previens

j'irai pas a Paris

d'ailleurs j'ai horreur

de tous les flonflons

de la valse musette

et de l'accordeon...

 

でももう1度 これだけは言っておく (Go!!)

俺はもう遠くには行かない

前もって言っておくよ

俺はパリには行かない

何しろ 俺は大嫌いなんだ

あの 街のざわめきが

ヴァルス・ミュゼットとか

アコーディオンの音色が...

 

t'as voulu voir Paris

et on a vu Paris

t'as voulu voir Dutronc

et on a vu Dutronc

j'ai voulu voir ta soeur

j'ai vu le Mont-Valerien

t'as voulu voir Hortense

elle etait dans le Cantal

j'ai voulu voir Byzance

et on a vu Pigalle

a la gare St-Lazare

j'ai vu les fleurs du mal

par hasard...

 

お前がパリを見たがったので

パリを見に行った

お前が(ジャック・)デュトロンを見たがったので

(ジャック・)デュトロンを見に行った

俺はお前の姉妹に会いたかった

俺はモン・ヴァレリアン(ヴァレリアンの丘)を見た

お前はオルタンスに会いたがったが

彼女はカンタル県にいた

俺はビザンティウム(イスタンブール)を見たかったが

見に行ったのはピギャールだった

サン・ラザールの駅では

俺は思いがけなく

「悪の華」を見た...

 

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(daniel-b=フランス専門)