東北関東大震災と政府の対応 | おだんご日和

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Dango茶屋・いちのせの徒然記

 

いろいろな考え方があるし、これだけの大災害に対して文句のつけようのない完璧な対応というのは土台無理なハナシですから、多くの批判があるのは当たり前だと思います。
多くの不備や誤りは当然あったのだろうと思いますが、それでも現行のシステムで行える最速、最善の対応を取ったのではないかと思います。
(十分な対応を取ったという意味ではなく、不十分ながら現状で最善の対応を取ったという意味です)



震災後、2日目に総理大臣がヘリコプターで現地を視察した時、いくつかのマスコミが「総理は動き回らずに情報収集と判断に集中するべきだ」「単なるパフォーマンスで意味がない」との批判をしていました。
しかし、その後すぐに自衛隊の派遣を10万人に増員しました。
まだ「死者は1000人を超えるかもしれない」くらいの報道しかされていない時点で、国防が手薄になるのを覚悟して大幅な増員を決定したことになります。
何の根拠もなく大幅な増員をするわけにはいきませんから「ヘリコプターによる上空視察 → 総理大臣が責任を持って判断」というのは考えられる最速のパターンだったのではないかと思います。




福島原発の事故について「根拠も示さずに安全とだけ繰り返しているくせに、避難指示区域をどんどん広げて逆に不安をあおっている」「対応が後手に回って事態を悪化させた」との批判がありました。
私の理解では「今のところ安全な数値が出ているが、事態が悪化する可能性があるので念の為に避難する」という論旨だったはずなので、前者の批判は的を外しているのではないかと思います。
むしろ「悪化する可能性」の段階で避難指示区域を次々に広げたのは、良い判断だったのではないかと思います。
仮に「現時点では安全だから避難しなくて良い」と判断して避難が遅れていたら、もっと大変な混乱が起こっていたと思います。




停電し、テレビも映らないような状況で避難指示を受けた現地の人たちが不安を感じるのは当然ですが、マスコミ関係者が同じレベルの物言いをするのは「被災者の気持ちを代弁する」のとは少し違うんじゃないかと思います。
それと、説明の難解さから不安を感じた人が多かったとも報道されていますが、各テレビ局で解説していた大学の先生たちも似たりよったりの説明しかできませんでしたから、説明の難解さは不可抗力じゃないかと思います。
(いわゆるジャーナリストとか評論家とか呼ばれる人たちが「政府の説明は難しくてわからん、もっとわかりやすく説明しろ」と言っていたのには驚きました。自分で調べようとか、調べたことをわかりやすく解説しようという気がまったくない様子だったので…)
対応が後手に回ってしまったのは「東京電力という民間企業に、政府がどこまで介入して良いのか?」という法律的に微妙な問題もはらんでいると思います。
政府が原発事故対応の指揮を取るというのは「被災しただけで、犯罪を犯したわけではない東京電力に政府が介入する」という事にもなりますから、法律的な裏付けがなければ不可能なのではないかと思います。
緊急事態として超法規的措置を取るべきだったのかもしれませんが、その緊急性も東京電力の報告を待って判断するしかないわけで、なかなか先手を打った対応ができなかったのだろうと思います。
しかし決して無策だったわけではなく、避難指示区域を広めに取ったり、政府と東京電力の合同対策本部を作ったり、可能なことはやっていたのではないかと思います。




東北地方の復興はこれから、関東の原発事故は収束のめどが立たない状態で、政府の対応を評価するのは気が早いかもしれませんが、ここまでの自分の考えをまとめておきたくて書きました。




個人的には、震災後の3日間ほど宮城の祖父一家、いとこ一家と連絡が取れずイライラしていました。
できるだけいつもどおりに生活して心を落ち着けようとしていたのですが、家族から見ると様子がおかしかったようです。
安全な九州で連絡を待つだけの私がおかしくなるくらいなのだから、被災した上に家族とはなればなれになってしまった人の気持ちはどのようなのか、想像もつきません。




最後に、気鋭の戯作者(?)パオロ・マッツァリーノさんの震災への一文が興味深かったので紹介します。
(URLを載せておきますが、一ヶ月程度で文章が更新されるようなのでご注意ください)

http://pmazzarino.web.fc2.com/




余談ですが…。
この人、正体不明のイタリア人らしいのですが、なんとなく物言いが藻谷浩介さんに似てるような気がするんですよね。
誰も言っていないようなので、ついでに書いておきます。

「パオロ・マッツァリーノの正体は、藻谷浩介さんだと思う!」…違うかな?