【はじめに】

 

「Te Hiva」を日本語で歌うために、この歌が書かれている言語である トケラウ語の観点から、日本語歌詞を再検討させていただくのが元よりの目的でした。しかし、どうも簡単には参りそうにありませんので、その経緯を簡単にご説明させていただくと共に、これからの予定についてご説明いたします。

 

 

 

【G. B. Milner のサモア語辞書を取り上げるに当たり】

 

トケラウ語が話されている トケラウ諸島は ニュージーランドの管理のもとで自治を行っている「国」です。そのためか、トケラウ語については ニュージーランド発の解説(動画)が数多く出ています。歌詞の解析のためには、かなり深く調べる必要がありますので、色々と検討しましたら、「Tokelau Dictionary (1986)」が見つかりました。そこには、トケラウ語の文法もかなり詳しく説明されています。普通に考えれば、とても良さそうな辞書なのですが、問題が一つあります。それは、その辞書が トケラウ語だけに限定されている点です。

 

トケラウ諸島は サモア(独立国)の北側に位置し、地理的には、タヒチの北側に位置するトゥアモトゥ諸島とよく似ています。地理的関係が似ているばかりではなく、言語的にも、タヒチ語に対する パウモトゥ語(トゥアモトゥ諸島で話されている方言の総称)に似た関係が サモア語と トケラウ語にはあります。サモア語の歌については歌詞の解析を試みてきた経緯もありますので、親近感もあることより、サモア語に対する トケラウ語という位置付けで「Tokelau Dictionary (1986)」の文法解説の章を読もうと思いました。そうしたら、サモア語の文法を勉強した裏付けが心細いことに、今更ながらに、気が付きました。

 

サモア語については、「Samoan Reference Grammar (1992)」という、定評のある、分厚い(819ページ)総合的な参考書があります。しかし、この様に厚い本は困ったときに調べる本であって、勉強する本ではありません。サモア語辞書の草分けには「A Grammar And Dictionary of The Samoan Language, by Rev. George Prat (1893)」がありますが、いかんせん古いため、サモア語文法についての説明も不完全な印象があります。それで、サモア語辞書として定評のある「Samoan Dictionary, by G.B. Milner (1966)」の サモア語文法の部分を読んでみようと考えたのです。

 

 

ここまでが、前項「『サンゴ礁の彼方 』を歌い直したことについて」に書かせていただいたことです。

 

これは、サモア(独立国)政府の発行した辞書です。西サモア (現「サモア」)元首と米国領サモア知事が連名で序文を上げておられます。著者による「まえがき」は次の8つの章からなります。

 

     I.  経緯

       II.  辞書の目指すもの 
      III.  音韻、発音、および表記法

      IV.  文法用語
        V.  記載の場所

      VI.  項目の構成
     VII.  文体論

    VIII. 結論

 

この「まえがき」では、音韻論に重点が置かれ、サモア語の音韻的な性格の上に文法の用語が説明されています。この文法用語の下で、それぞれの単語の文法上の分類が行われています。ですから、文法の説明と言うよりは、辞書を活用するための説明に力点が置かれていて、サモア語文法入門ではありません。

 

しかし、こういう表現が適切なのか分かりませんが、言語学研究者の愛が感じられるのです。それが「結論」まで読み進めてみた結果の結論です。その「結論」を下に引用します。

 

   本序論の締めくくりとして、筆者は二人の著作者の言葉を引用したい。

   最初の引用は、1902年に出版された『サモア諸島(Die Samoa-Inseln)』

   第1巻における、A. クレーマー博士(Dr. A. Krämer)の序文の一節である。
   サモアに関する他の著者の著作について触れた上で、彼は

 

    「もちろんそれらには誤りがあるが、それは特にサモアにおいては

    避けられないことなのだ!」

 

   と述べている。それから60年が経過した今もなお、その指摘はとりわけ的

   を射ているように思われる。

   もう一つの引用は、紋章学に関する古い著述家の言葉であり、1903年に出

   版されたジョージ・W・マーシャルの『系譜学者のための手引き』に再録さ

   れているものです。


    「生じうるあらゆる誤りや取り違えについて、学識がありつつも謙虚

    な読者諸氏が、自らの筆で訂正してくださるようお願い申し上げる次

    第である。」
 

 

 

 

【これからの進め方】

 

これからは、この辞書の「まえがき」から一章づつ紹介させていただきます。ただ、たとえ日本語に翻訳するとはいえ、著作物をそのままにブログに紹介するのは避けられるべきものです。しかし、「まえがき」は、このサモア語辞書を活用するために必須であり、そして、サモア語に対するとてもユニークな説明になっていて、サモア語を理解する上でとても有益なので、その紹介はこの著作物の本来の目的にかなっていると思われました。そこで、日本語訳を紹介させていただくことにしました。翻訳は、原文から、英語のグーグル翻訳により日本語文を得て、日本語としての文体を調整するという流れで行います。この素人カメラマンは音韻学の知識を十分に持っているわけではありませんので、英語の用語表記はグーグルで検索した上で、ふさわしそうな日本語にしました。このため、正しい用語から外れているところもあるかも知れません。特に、3章の「 音韻、発音、および表記法」はサモア語の発声をよく理解できていない身には大変に理解が難しいところです。それでも敢えて書いてみますのは、読むだけではわからないことも、書いてみることで新しい理解にたどり着けるのではないかと思えるからです。それに、「テ ヒヴァ」への取り掛かりが遅れていることの説明にもなります。

 

 

 

 

付録.

<私の体が動く それを聞いて>

グランド ステージ, 2025.1.6, より

 

当初は、このグランド ステージ, 2025.1.6 の踊りを背景動画として使おうと考えていましたが、この日の訪問は ウアケアさんの心づもりから外れて歓迎されていなかったようでしたので、グランド ステージ, 2024.7.11 の踊りに変更する方針にしていました。しかしですね、この 1月 6日の舞台は考えれば考えるほどとても面白いのです。あくまで比喩ですが、いつもしっかり者の実力派のお姉さんが困っていて皆が面白がっている、そんな雰囲気でいっぱいで、お一人を除く皆さんがとても楽しそうなのです。そう思うと、これもとても愛しい動画です。二つの背景動画で歌ってみることになるかも知れません。