地味な映画。
静かな映画。
平凡な男の平凡な日常、
隣の寺の境内の箒の音で目覚め、布団をたたみ、歯を磨き、ひげをそり、鉢植えに水をやり、
自動販売機で朝食代わりの缶コーヒーを買い、車で仕事に行く。
お昼はコンビニのサンドイッチ、夜はなじみの店でビール、そして、本を読みながら就寝。
それが淡々と繰り返される日々の映画。
特に大きな事件も事故も起きない映画。
たまに風が吹くように小さな波風が立つ映画。
心の奥底に何かが蓄積されるような映画。
アニマルズの「朝日のあたる家」で始まり、
そしてラストはニーナ・シモンの「Feeling Good」を聞きながら満足そうな男の顔で終わる。
しびれた。
公衆トイレを掃除するシーンが次から次へ。
しかも律儀。手を抜かない。
どうということもない日常に緊張感を漂わせるのはやはり役所広司の技量かしら。
映画の中でカセットテープがいい仕事してるんだけど、
偶然にも、自分の持っている厳選して残しておいたカセットテープ8本を、
2日前に数年ぶりかで聞き返したばかりだった。
古い曲ばかりだけど、見事に若かりし頃の思い出を見せてくれた。
♪It's a new dawn, it's a new day, it's a new life for me in a feeling good~♪