【 洋楽和訳における直訳・意訳・訳抜けの誤訳 】
【 直 訳 】 機械翻訳にもできること
人称代名詞
人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】を機械的に
【 I 】=【 私 】
【 You 】=【 アナタ 】
【 He 】=【 彼 】
【 She 】=【 彼女 】
【 They 】=【 彼等 】もしくは【 それら 】と訳す
冠 詞
冠詞の【 a 】【 the 】を機械的に
【 a 】=【 一つの 】【 一人の 】
【 the 】=【 この 】【 その 】【 あの 】と訳す
代名詞
代名詞の【 it 】【 that 】【 this 】【 those 】【 these 】【 stuff 】を機械的に
【 it 】=【 この 】
【 that 】=【 あれ 】
【 this 】=【 これ 】
【 those 】=【 これら 】
【 these 】=【 それら 】
【 stuff 】=【 あるもの 】と訳す
それぞれの言葉の表現
辞書の言葉通りに原文を訳す
結論の理解
洋楽の歌詞には抽象的で曖昧な表現である、人称代名詞、冠詞、代名詞の表現が非常に多く含まれているため、原文を辞書の言葉通りに直訳しただけでは、原文の結論やメッセージが分かりにくい
【 意 訳 】 人間の翻訳者にしかできないこと
人称代名詞
人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】を原文に含まれているそれぞれのキャラクターの識別ができている状態で、それぞれのキャラクターごとに人称代名詞の表現を変えて原文を訳す
【 I 】で表現されているキャラクターが3人なら、【 私 】【 俺 】【 僕 】
【 You 】で表現されているキャラクターが4人なら、【 アナタ 】【 君 】【 お前 】【 キミ達 】
【 He 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼 】【 奴 】
【 She 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼女 】【 あの子 】
【 They 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼等 】【 奴等 】
冠 詞
原文に含まれている冠詞の【 a 】【 the 】の用途が、下記の項目のどれなのか理解して、具体的な言葉を代入して原文を訳す
1 前後の文章の中の人称代名詞を受けるときに使用する
2 前後の文章の中の言葉を受けるときに使用する
3 前後の文脈の流れから連想できるであろう言葉を受けるときに使用する
4 後ろに掛かる名詞を ある特定のものと断定・限定するときに使用する
5 個数・数量を意味するときに使用する
6 特定の地名や人名に付属するものである
7 直訳して訳しても、意味が通りそうな場合
8 慣用句の一部になっている場合
代名詞
原文に含まれている代名詞の【 it 】【 that 】【 this 】【 those 】【 these 】【 stuff 】の用途が、下記の項目のどれなのか理解して、具体的な言葉を代入して原文を訳す
1 前後の文章の中の人称代名詞を受けるときに使用する
2 前後の文章の中の言葉を受けるときに使用する
3 前後の文脈の流れから連想できるであろう言葉を受けるときに使用する
4 後ろに掛かる名詞を ある特定のものと断定・限定するときに使用する
5 直訳して訳しても、意味が通りそうな場合
6 慣用句の一部になっている場合
それぞれの言葉の表現
辞書の言葉通りに直訳したのでは不自然な日本語になってしまう表現を、原文の内容を理解して自然な日本語に言い換える
結論の理解
人称代名詞、冠詞、代名詞の表現などの抽象的で曖昧な表現に、文脈の流れから読み取れる具体的な言葉を代入して訳しているため、原文の結論やメッセージが分かりやすい
【 訳抜けの誤訳 】 誰にでもできること
人称代名詞
原文に含まれているキャラクターの総数を理解していない状態、それぞれのキャラクターの識別ができていない状態で、人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】の表現を訳文の中から削除してしまうこと
冠 詞
原文に含まれている冠詞の正しい用途の理解のないまま、冠詞の【 a 】【 the 】の表現を訳文の中から削除してしまうこと
代名詞
原文に含まれている代名詞の正しい用途の理解のないまま、代名詞の【 it 】【 that 】【 this 】【 those 】【 these 】【 stuff 】の表現を訳文の中から削除してしまうこと
それぞれの言葉の表現
原文に記載されているはずの表現を訳文の中から削除して訳してしまうこと
何を意味しているのかがよく分からなかった言葉の表現を訳文の中から削除して訳してしまうこと
結論の理解
正しい訳文を作成するために必要不可欠な要素である、人称代名詞、冠詞、代名詞、その他諸々の表現を訳文の中から削除して訳してしまっているため、訳した本人でも、その原文の結論やメッセージがサッパリ分からない
【 まとめ 】
【 原 文 】と【 直 訳 】の関係性
英和辞典、和英辞典、機械翻訳で検索すれば、イコールの関係になるが、訳文の表現が端的・抽象的・曖昧で具体的な言葉が好きな日本人には伝わりづらい
【 原 文 】と【 意 訳 】の関係性
英和辞典、和英辞典、機械翻訳で検索すれば、イコールの関係にならないが、訳文の表現が具体的で、原文のニュアンスから近しいため、具体的な言葉が好きな日本人に伝わりやすい
【 原 文 】と【 誤 訳 】の関係性
英和辞典、和英辞典、機械翻訳で検索しても、イコールの関係にならないし、正しい訳文を作成するために必要不可欠な要素が原文から削除されてしまっているため、訳した本人にも訳文の読み手にも何が表現されている文章であるのか( 原文の結論やメッセージ )がサッパリ分からない
【 チョット一言 】
ただどんな文章であっても【 意 訳 】が有効な訳し方というわけではありません!
あくまでも原文に含まれているキャラクターの総数が多い文章や冠詞と代名詞の表現が多い文章、【 直 訳 】では何を言っているのかがサッパリ分からない文章に対して【 意 訳 】が有効であるということです。どんな文章であるのかと言いますと、主に【 小説とか映画、オペラとか洋楽などの文芸翻訳 】において【 意 訳 】が有効であるということです。
そもそも西洋の言語における冠詞と代名詞に代入するべき具体的な言葉というのは、【 文章の読み手側 】が自分で判断することであり、翻訳者が判断することではありません。
私が作成している訳文における冠詞と代名詞の表現にも【 皆様なりの解釈があるはずだ 】と思っていますが、【 直 訳 】しただけでは何を表現している曲なのかがサッパリ分からないため、私なりの言葉を代入して訳しています。
【 意 訳 】が有効ではない文章の代表格が【 実務翻訳 】です。
原文に記載されている事実を伝えるための文章に含まれている冠詞と代名詞に代入するべき言葉というのも【 文章の読み手側 】が自分で判断することであり、翻訳者が判断することではないため、【 そういう翻訳 】に翻訳者の解釈を混ぜ込んでしまうのは、あまりいい結果を生み出しません。
【 文芸翻訳 】であれば多少の誤訳があったとしても、読者の皆様の命が脅かされることにはなりませんが、【 実務翻訳 】の場合は別です。命に関わるような製品の取扱説明書とかに翻訳者の解釈は必要ありません!原文の表現に忠実に訳すことを求められているのが【 実務翻訳 】です。
このブログで解説している外国語の訳し方というのは、あくまでも【 洋楽和訳( 文芸翻訳 ) 】に限定されるものだとご理解ください!
自分が訳したい原文が【 意 訳 】が有効な文章であるのか、それとも【 直 訳 】が有効である文章であるのかをしっかり見極めた上で翻訳に臨むことが大切です。
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