意訳のつくり方 【 人称代名詞の捉え方 】

 

 

 

 

西洋の言語における人称代名詞の種類は、だいたいどこの国でも五種類程度にしかなりません。

英語の場合は、【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】の五種類だけです。

 

 

西洋の言語では、どんなに原文に含まれているキャラクターの総数が多くても、一人称の表現は【 I 】で統一され、二人称の表現は【 You 】で統一されるため、どの【 I 】とどの【 I 】が同一人物で、どの【 I 】とどの【 I 】が別人であるのかの識別ができなければ、まともに文章が読めなくなってしまいます。

 

 

一般的な文章であれば、それぞれのキャラクターの台詞の部分に【 『 』 や " " 】がついているため、キャラクターの識別はなんとなく理解することができますが、洋楽の歌詞に【 『 』 や " " 】がついていないため、自分で色々と工夫して原文を理解していかなければ、その曲のナニを表現している曲なのかがよく分からないという弊害が発生してしまいます。

 

 

 

こちらの記事では、私なりの意訳のつくり方を解説していこうと思います。

 

私は下記のように原文を訳しています。

Wordの1ページに原文と直訳と要約と意訳を並べて、少しずつ原文の内容を理解しながら洋楽を訳しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翻訳業界では、一般的に「 日本語は主語の表現がなくても伝わる言語であるため、主語の表現は省略して訳しましょう! 」と言われているようですが、それはあくまでも同じ人称代名詞で表現されているキャラクターが1人の文章の場合だけです。

 

 

これらの曲のように、【 I 】で表現されているキャラクターが複数存在する文章や、複数のキャラクターによる台詞の掛け合いで構成されている文章で主語を省略して訳してしまうと、訳文の読み手は誰の台詞で、ダレに対しての台詞であるのかの判断ができなくなります。

 

 

西洋の言語における人称代名詞の種類は、だいたいどこの国でも五種類程度にしかならないため、翻訳対象となる原文に含まれているキャラクターの総数がどんなに多くても、一人称の表現は全てのキャラクターにおいて【 I 】で統一され、二人称の表現は全てのキャラクターにおいて【 You 】で統一されます。

 

 

そのため、外国語の翻訳をする上で「 日本語は主語の表現がなくても伝わる言語であるため、主語の表現は省略して訳しましょう! 」という先入観は非常に危険な考え方なのではないのかな? と私は考えています。

 

 

 

 

 

【 まとめ 】

 

 

【 直 訳 】 機械翻訳にもできること

人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】を機械的に

 

【 I 】=【 私 】

【 You 】=【 アナタ 】

【 He 】=【 彼 】

【 She 】=【 彼女 】

【 They 】=【 彼等 】もしくは【 それら 】と訳す

 

しかし、この訳し方では原文に含まれているキャラクターの総数が5人以下の文章、

かつ同じ人称代名詞で表現されているキャラクターが1人である文章、

かつ複数のキャラクターの台詞の掛け合いで構成されていない文章にしか対応できない

 

 

 

【 要 約 】 人間の翻訳者にしかできないこと

原文に含まれている人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】で表現されているキャラクターが何人いるか、キャラクターの総数を自分の頭で直訳から読み取ること

 

【 I 】で表現されているキャラクターが何人、原文に含まれているのかを考えてみる

【 You 】で表現されているキャラクターが何人、原文に含まれているのかを考えてみる

【 He 】で表現されているキャラクターが何人、原文に含まれているのかを考えてみる

【 She 】で表現されているキャラクターが何人、原文に含まれているのかを考えてみる

【 They 】で表現されているキャラクターが何人、原文に含まれているのかを考えてみる

 

 

 

【 意 訳 】 人間の翻訳者にしかできないこと

原文に含まれているそれぞれのキャラクターの識別ができている状態で、

それぞれのキャラクターごとに人称代名詞の表現を変えて原文を訳す

 

【 I 】で表現されているキャラクターが3人なら、【 私 】【 俺 】【 僕 】

【 You 】で表現されているキャラクターが4人なら、【 アナタ 】【 君 】【 お前 】【 キミ達 】

【 He 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼 】【 奴 】

【 She 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼女 】【 あの子 】

【 They 】で表現されているキャラクターが2人なら、【 彼等 】【 奴等 】

 

この訳し方であれば、原文に含まれているキャラクターの総数が6人以上の文章であっても対応できる

 

 

 

【 誤 訳 】 誰にでもできること

原文に含まれているそれぞれのキャラクターの識別ができていない状態で、

人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】を機械的に

 

【 I 】=【 私 】

【 You 】=【 アナタ 】

【 He 】=【 彼 】

【 She 】=【 彼女 】

【 They 】=【 彼等 】もしくは【 それら 】と訳す

 

同じ人称代名詞で表現されているキャラクター同士が、常に同一人物のことであると思い込んでいた場合、原文と訳文では登場人物の総数が合わない誤訳を作成してしまう確率が高くなります。また複数のキャラクターの台詞の掛け合いで構成されているタイプの文章を訳した場合、その翻訳の全てが誤訳になります。

 

 

 

【 訳抜け 】 誰にでもできること

原文に含まれているキャラクターの総数を理解していない状態、それぞれのキャラクターの識別ができていない状態で、人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】の表現を訳文の中から削除してしまうこと

 

 

 

 

 

 

 

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