中華街から、横浜東口のカプセルホテルに帰る。この日Hプロは帰宅日だったので、一人でお風呂。それにしてもQriousのくれた卵クッキーが美味しい。


day3の朝は、day2朝にHプロと歩いた道を辿った。つもりだったのだ。


とりあえず同じところで朝食をとることには成功したのだけど、どこで間違ったのか見たことない道を通り、15分の道のりのところを30分かけて会場へ到着。横浜は駅だけじゃなくて街にも魔物が棲んでいて、僕がすんなりと目的地に行けることはないらしい。


相当に早くホテルを出たので会場には遅刻しないで済んだ。そしてハンドについてであるが、確か僕の横浜ブリッジフェスティバル3日間ではこの日の出来が1番良かった感触なのだけど、ハンドレコードをじっくり眺めても何一つ思い出せない。ただただ最下位入賞だったのを覚えている。


正確に言うと、「このJ、フィネられたな」みたいな苦いイメージは思い出せるのだが、どのようにスラムにたどり着いたか・つけなかったか、どうやって1NT4メイクをしたのか、何をリードしたのか・されたのか。そういった内容についてはマジで何も思い出せない。


理由はなくもなくて、この日のお昼はHプロとパートナーとご一緒して話が弾んでしまったり、夜はパーティもそこそこに切り上げてさっそうと群馬へ帰ったりしたから、ハンドに取り組んだ時間が短いのだ。復習は大事なのである。


昔は自分のミスが忘れられなくて、半分水子を供養するつもりでブログを書いていたのだが、歳を重ねるに連れてハンドは自然と記憶のちりあくたの中へ葬られるようになったらしい。ある意味で幸せとも言える。


たしかにこのブリッジの5日後くらいにある教科の再試験があり、脳の容量を開けようとしていたのも事実。しょうがないと割り切ろう。もうひと月も経っているしね。


パーティはさらっと帰ったのだけど、中国のFuと話す機会があった。おそらく7-8年前、2人は昔からの付き合いだからあり得ない話では全然ないのだが、Tプロのご飯に何故かFuもいて、そこに何故かSARAではない僕もいたことがあった。

そのメンバーで英語で話しかけるのは僕くらいなもんだから覚えてもらえて、Fuの顔を見かけるたびに僕から話しに行くのだ。正確にいうとTプロもよく喋るのだが、その時は珍しくビールを飲んでいて、SARAさんに英語で「これがこうで、こうだから、こうすべきだったでしょ」と絡んでいるのをみた。

多分SARAさんとFuのスポンサーのPhoebieの間でご飯の話になって、場が静かなのもなんだから英語を話したい僕が呼ばれたのだろう。だいたいそんな経緯の気がする。


ともあれ、この日の話は横浜ブリッジフェスティバルのチーム戦RRのことから。日本チームが予選突破した経緯を聞いていたから、その話をした。Fuは、ブリッジではよくあることだし、日本人はhonestだからなにを思うこともない、心配ご無用と。もちろん悪いことした人がいたわけじゃないから、そりゃそうなのだけど、なんだか明るい気持ちになった。


そして僕は、前から聞いてみたかった話を聞いてみた。



「Fuは、いつがブリッジ1番上手だったと思う?いま?」


「…10から15年前かな、なんで?」


「Tプロは、20そこそこの頃が1番ハンドを見通していたけど、経験を重ねてきたことで全てを考えなくて良くなって、結果今が1番上手だって言ってたから。同じレベルではないけど、僕自身も昔の方がよく考えていた」


「26か27の頃、バミューダボウルに出場して、スコアが抜群に良かったことがあったんだけど、あの頃の自分はブリッジについてよく理解していなかったと感じる。」


「Fuでもそんなこと思うの?」


「そう思う、今はあの頃よりはるかに深くブリッジについて理解している。そしてブリッジを理解するには、ブリッジ以外の経験がとても重要になる。今何歳?」


もちろんバミューダボウルに出たこともない、僕は恥ずかしくなったが、28だと答えた。


「結婚するだとか、子供ができるとか、ブリッジ以外のライフイベントは、ブリッジを理解するのにとても役立つ。これからだろ?まだまだ上手になるよ。」



…大山康晴が将棋のことを、全人的なゲームであり、人間としての総合力が問われると表現したのを思い出した。つまり道である、と。同時に羽生善治は、将棋はボードゲームの一つに過ぎないと言ったことも。


世界のトップレベルで戦った人だから見える景色なのかもしれない。でも僕は、大山康晴の言ってることも、羽生善治の言うことも、Fuの言うことも全部分かる気がする。

"気がする"限りで人生を終えるかもしれないが、それでもいいくらい僕はブリッジに真剣に取り組んできた。だから、ありがとうFu。

話題を変えて。


「ところでFuのチームのPatrick Huangについてはどう思う?予選のデータムみたよ、ぶっちぎり一位だったじゃん。もはやliving legendだよね」


「彼はやばい、信じられない」


Fuが彼の年齢になった時に、同じくらいできると思う?と聞いたら、食い気味にNo!と言ってきた。僕も行かなきゃ行けなかったから、話を切り上げて、パーティ会場に荷物を取りに行って、何枚か写真を撮って帰った。



これはセルフィー。



ちょっと後ろに下がって小顔効果、とかpdが言っていた。何か言おうと思ったら先にQriousが、「それは、当然のことでしょう」と言う。



この日QriousはKelvinと組んで出ていたので、横浜駅の撮影会再び。



Qriousは少し後ろに。



右のイヤリングがうまくつかないとかで、ちょっと隠れるようにしている。


2人はこのアジアカップに出場しているとのこと。からかわれないようにがんばるとQrious。Kelvinはシンガポールに来たらご馳走する、と。横浜駅のお寿司より、シンガポールのご飯の方がだいぶ高くつきそうだぞう。


なんやかや入賞したので、今日は急いで帰っちゃうけど、今度観覧車乗りましょうね、無料ですからね、とpdに言い残して家路を急いだ。横浜は遠い。
この日はスイスチーム。前記事に書いた4Sを考えながら始まった。サウナに入ったおかげでコンディションは良かったのだけど、内容はそんなによくなかった。


pdはいつも通り、チームメイトはkb,kkt。
それにワンちゃんが来てくれた。


一般的に、知らない女性をいきなり引き合わすリスキーな場には居合わせたくないものだ。だけどpdは元々ワンちゃんが上手だと知っていたし、ワンちゃんから参加したいとするやりとりがあったので、多分大丈夫だろうと判断した。


実際2人は打ち解けて後日一緒に試合にも出たとのことなので、また1つ徳を積んでしまったようだ。この日ワンちゃんは健気にもkktの後ろでずっとみていた。


目指すは入賞だが、それよりも終わった後の中華街が楽しみだ。横浜ブリッジフェスティバルに先立つ試験期間には中華料理のブログを読みあさっていて、中華熱が非常に上がっていたのである。


この日のターゲットは煲仔飯(ボウチャイファン)。香港や広東あたりでよく食べられるもので、土鍋で塩漬け豚とお米を炊き込んだ美味しい炊き込みご飯だ。中華は数が正義なところがあるので人数が増えるのは僕にとっても願ったり叶ったり。


とまぁそういうことを考えてるとブリッジはなかなか伴わないもので、Tと9を考え違いして4Sを落とした地獄のようなミスもあった。恥ずかしい。


さてボードは見返してみたけどほとんど覚えていなかった。こいつを除いては。




左右は上手な中国人、特にEastは遊んでもらったこともある、"しぶとい金ちゃん"だ。


僕はNorth、1NTで開けてそれが流れる。
リードは…なんとDQ。


ダミーを見て、ダイヤを抜かれた後ハート開発やな、とローをコール。Eastは悩みつつ、Kで上がってクラブバック。


普通にCQを出すと抜けて、HKを負けにいくとHA勝ち、クラブをWestがアンブロックするようにだされて、金ちゃんが最後13枚目のクラブをキャッシュ。え、そっちが13枚目もってるの?ダイヤも取られて1NTはなすすべもなくダウン2。


クレームの後、金ちゃんさんが口を開く。



「ナイスリターン!」


僕とWest「いやいやいや」



僕がナイスリードでしょう、と言うと、リードは普通と金ちゃん。この人は言葉少なだが、いちいち面白い。


裏は当然のように1NTへクラブを振り込んで、1NTメイクの5取られ。あとで中国人ペアにあった時に聞いてみた。



「1NT覚えてます、クラブKxxxxの。あれってダイヤ出すもんなんですか?」


ちょっとはにかみながら金ちゃんは言う


「繋がってるから」


金ちゃんのパートナー曰く、
「金ちゃんは損したくない人だから、キャラかもしれないね」


納得感のあるような、無いような笑。


(※ブログを一通り書いて思い出した、1NT-2C;2H-4Hみたいなやつを2A持ってるKelvinにダブられて、ハートは8と9の関係で1ルーザー出てしまう0-4ブレイク。Kelvinが0枚の方なんだった。事の顛末は、day1の記事と絡んでいるのでみてください。)


この日は前半負け込み、後半取り返したのでアベレージくらい。インターコンチ下のタクシー乗り場から、5人で中華街へ向かう。車窓から、みなとみらいの大きな観覧車が見える。


pd「私、観覧車って乗ったことないのよ、貴方はあるの?誰と?」


平常運転である。そして僕は、この手の質問には動じない。


「そういうこと聞くと嫌がられますよ、すぐ言うでしょ人に。」


pd「私は人が嫌がることは言わないわよ!」


「あの観覧車は乗ったこと無いですけど、乗ってみたいですか?明日ペア戦で入賞したら乗りましょうか、無料で」


僕も平常運転。


pd「無料でってなんなのよ、入賞しなかったらどうなるのよ!」


「そりゃあもちろん有料ですよ」


pd「なによ有料って、そんななら乗らないわよ!入賞したら優しく肩を抱いてもらって写真を撮ってもらうだけでいいの。」


「お触りも有料ですよ」


pd「なによお触りって!」


pdが僕の肩をはたく。その隣でkbが笑っている。そうこうしつつ、横浜中華街の入り口に着く。


タクシーを待つ間、お目当ての中華料理屋さんはやっていないことが判明。中華街をふらふらしつつ、食べログにしたがって北京料理屋さんにたどり着く。なかなか美味しい。ただkbとワンちゃんは小食、kktはお腹壊してるとかで、注文が少しオーバービッドになってしまった。たしかにこのメンツなら、3人前で良かったかもしれない。



pdは少し早く帰ったので、4人で甘いものを求めてふらふら。お目当てはまたやっていなかったのでカフェに入って少しお話し。


その時、もしかしてそうかなと思って確認したところ、やっぱり中国では産後ケアが普通とのことだった。東アジアでよく行われる産後ケアとは、例えば1ヶ月なら1ヶ月、女性は赤ちゃんを産んだら赤ちゃんの世話は誰かに見てもらって、体力の回復に努める慣習のこと。入院しての体調管理からホームヘルパー、まで形態は様々だが、結婚式を挙げるレベルで普通に行われていることなのだ。1ヶ月100万くらいお金がかかることもあるけど、人気病院にはなかなか入れなかったりする。


日本だってじいちゃんばあちゃんが来て世話をする的なイベントはあるが、どちらかというとお母さんの手伝い的な側面の方が強いだろう。これに対して中国の一部、韓国、台湾においては、産後ケアのあいだ、本当に赤ちゃんにノータッチだったりする。家族愛とか優しさじゃなくて、これは本当にそういうものなのだ。


東アジア圏の友人何人かに確認していてみんなそうだったから、ワンちゃんのあたりでもそうなのだろうと思っていたが、やっぱりそうだった。医療に携わるものの責任かなと思って、もし結婚するなら、結婚式の貯金と同じように産後ケアの貯金も必要になるんだよ、と僕がkktにこんこんと説明したりした。


我々は産後ケアに100万も金を用意する文化では無いのだが、日本でも徐々に市民権を得てきているので、大変だねぇというよりは、是非やってほしいなと思ったりするのである。

この夜の二次会はHプロと陽気なNくん。好奇(=Qrious)、Kelvinと別れたあと荷物を横浜駅東口のホテルに置いてまたもや西口へ戻る。


東口を初めて利用したけど横浜駅は迷宮だ、僕の知らない世界が広がってる。

先に横浜駅へ着いたNくんと相鉄線1F出口で待ち合わせたのだけど、東口から標識に従って歩いたのになぜか相鉄線2F出口に誘導されてもう何が何だかわからない。どこかで正しい分岐を選べば1Fへたどり着けたのだろうか。


ほうほうのていでN君と合流。どこがいいかね、金夜はどこも混んでるね、と近くの磯丸水産へ。

最近のブリッジ界隈の話やHプロの子の名前の話、kktのブログの話を聞いてるとHプロ登場。お寿司屋さんでビールと、ここでハイボール二杯飲んでいたため、僕はもうフラフラ。


この後Hプロに連れられて東口側のホテルに辿り着いたく。Porta?を通って地下から通り抜けたりだとか、夜はどこそこの入口からしか入れないとか、もうよくわかんない状況。


で、ホテルがとてもよかった。
カプセルホテルなんだけど、お風呂や休憩所が非常に充実している。


特にサウナが素晴らしく、横浜の夜景を眺めながら、最終12時まで何回もロウリュ(サウナの中で係員がタオルを振って、人力で熱風を送ってもらう本格的なサウナサービス)を受けることができる。最終回のロウリュにギリ間に合った。


この日はシナモンのアロマで熱風を受ける。すんごい汗かいて水風呂へ、またサウナに戻って体をあっためながらまた水風呂。冷温の間をふらふらしているうちに、前日までの試験勉強の疲れやアルコールが少しずつ抜けて、体が、魂が、浄化されていった。


Hプロは言う。


「サウナ入りながらハンドの話してみたかったんすよね」


高級な遊びよね。昔任天堂杯で、suigenが付き合ってくれたことを思い出した。この日もさっきブログに書いたハンドの話をいくつかした。


お風呂とサウナは朝チェックアウトまで入れるとのこと。朝からサウナや複数種類のお風呂に入るなんて織田信長でも体験していないだろう、多分。もはや王じゃん。


その日は面白かったハンドにもチェック済みだったのですっと眠ることができた。





朝起きて、横浜駅の地下迷宮で朝ごはんを食べながらHプロはダブルダミー問題を見せてきた。









ご飯を食べつつ考える。

ブリッジというのは、センスの良さそうな手順を踏むと案外出来たりしてるものだ。

あーしてこーしてと、順手で考える。













「これをこーしたら…」
「それはこーするのでダメですね」




     









まだメイクしない。何かヒントを言っているが頭になるべく入れないように。

















みなとみらいまで歩きながら考える。
この間も何回か、これをこーしたら、トークをやっている。しかも全部ダメ。













ダメだわからない。10個取れない。そもそも10個取れているかよくわからない。
そう思ってほぼ会場に着いた時に、エンディングだけが見えてきた。


エンディングが分かればあとは簡単、ほぼ解けたのと同じだ。あとは手順を詰めるだけ…と思ってるうちに今日のパートナーと会う。18-19BALの2Dのシステムについて覚え直さなきゃいけないことができて振り出しに戻る。













その日のブリッジ自体には集中していたので、夕方まで答えは出ず。手順は出せたがこの問題をきっちり理解したのはその日の夜だった。












そろそろできましたか?
結構難しいから一緒に考えよう。
まだネタバレしないから、わからなければ読み進めよう。








クロスラフ系によくあるんだけど、この問題はトリックが激烈に数えにくい。S5H2D1とダイヤラフとあとどうするの?S5H2ってちゃんと取れるの?何個増やすために何回スローインするの?



スクイズでもなんでもそうで、調子が上がらないときは逆から考えるのがいい。

そしてハートのスローインの形を生かしたいけど、手のH7が邪魔なことに気づけばもうほぼ正解。

















そろそろ答えだよ。











どうでしょう。

道中で僕が気づいたのは3card-ending。



-
Q5
-
J


 
-
7
xx
-



で右手は



J
84
-
-




と残してて、ダミーからクラブを出すとSJで切って手からはH7捨て、ハートでスローインに持ち込む形。





T4-T10を埋めるだけだから、ここからも手順を逆算するのが早い。いくつか分かってる条件は、



1.トランプは2回狩る模様
2.右手のクラブがないので手で3回クラブを切る。
3.ダミーエントリーはSKQとダイヤラフ
4.クラブ2回切ってダミーからクラブ引くためにダミーエントリーは3個なきゃいけない



ここから導かれる結論は、



・T4,6,8はハンドでクラブラフ
・T5,7はダミーに入る
・T9でDA,T10でダイヤラフ
・条件1と4を両立するためにSAはクラブ3回めのラフ(この場合T8)に使う



ということなので正しい手順は以下の通り。



T4 Sxでラフ
T5 Sx→K
T6 クラブをSxでラフ
T7 Sx→Q
T8 クラブをSAでラフ
T9 DA
T10 ダイヤラフ
T11 クラブを引いて手からはハート捨て
T12,13 ハートのスローイン



負けているのはCA,HA,SJだけ、これで10個だ。



上に述べたような論理構造なので、DA,ダイヤラフがSアナーでダミーに渡るのより先にしてもok、とにかくクラブの3回めのラフをSAで行うこと。



…これはHプロのリアルディールで、ダブルダミーの出題だけど、実際にシングルダミーでこう動けたらしい。お見事。実戦での気づき方は多分、何をどう考えてもクラブがエスたらないと9個にならないことに気付けるかどうかから始まるんじゃないかな。



そして、ハンドの構造を見ればミスディフェンスに気づく。ダミーエントリーは3つしかないので、T4でクラブを出したこと、もっと言えばT2でハートを出したことがそもそもの間違いなのだ。T4はダイヤかスペードリターン、T2はスペードリターンが出たその瞬間コントラクトが落ちている。



ミスから生まれた美しいエンディングという意味では、何かおとぎ話ようだ。だいぶ長い間とらわれていたという点では悪夢のようでもある。サウナで王となった僕に語ってくれた、Hプロの千夜一夜物語だったのだろう。



この日のチーム戦は次の記事で。