映画を終えて、友達三人のライン。
「スラムドッグミリオネア、マジ泣けた」
「泣く系じゃないような...?」
「俺も全く泣けなかった」
????????!??!?!?!?!?!?
「ベンジャミンバトンで大号泣したけどスラムドッグミリオネアは泣かなかった」
「どこで泣いたんやろ 最後彼女と会うところ?」
「え、逆に泣き所わかんないってこと???」
いやほんとに、受け止め方違うんだなって。
ここでZOOM飲み開始。
(注:ここからネタバレ始まります)
「もう泣き所しかなかったけど」
「嘘でしょ?」
「そもそもふつーに、兄ちゃんで泣けなかった?」
「俺ラティカを手籠めにしたシーンでくそ兄貴だと思っちゃったからなぁ。最後何かっこつけてんのってなっちゃった。」
なるほどね。
「そもそもだけどさ、僕はラティカをどうにもしてないんじゃないかと思う。」
「え?」
「サリームってさ、マフィアのボスからしたら普通に下っ端じゃん。で、ラティカってパーティーガールとは別格の正妻じゃない。子分の手がついた女、正妻にするかな。」
「あーー」
「確か兄弟がわかれた直後ホテルを襲撃されたってあったと思うけど、ほんとにいちゃこらする時間なかったんじゃないかな。」
「そういう見方もあるか」
「建設中のビルで会うシーンあるじゃん。あそこでサリーム殴られて、でもそれも仕方ない、うちにこいよもう離さないってなったけど、性根悪いやつがそんなことなるかな。」「その直後、アッラーにお祈りしてから仕事しに出かけるけど、あのシーンが、お兄ちゃん本当は悪いやつじゃないんじゃないかって思ったよ。」
「なーるーほーどー」
「で、最後自分絶対死ぬってわかってるのにラティカを逃がして、マフィアのボスと鉄砲玉皆殺しにして死ぬじゃん。あそこで彼の魂は救済されたというか。」
僕は"Bohemian Rhapsody"を思い出していた。
"Is this the real life?
Is this just fantasy?
Caught in a landslide,
No escape from reality..."
さらに言うと、ラティカが寝てるサリームに唐辛子を仕掛けるシーンがあるけどあれも象徴的。
サリームは「仕返ししてやる!」っていうんだけど、結局"チンヒリ"に対応する仕返しって、ちょうど手籠めにすると宣言するくらいのものだと思うんだけど、どうなんでしょう。
あるいは最後顔に傷つけるシーンに対応している、と言えなくもない。本当に手籠めにするのは、実際バランスを欠く、ような気がする。だからこそ死をもって贖わなくてはならなかったのかもしれないが。
「てゆーかさ、盲目にさせられた歌うたいの少年と、この広いムンバイで出会えたのも泣けなかった?ベンジャミン・フランクリンって教えてもらったし、そのあとラティカを救出できたじゃん」
「あえたんやなーとしか。」
「そもそも次に盲目にされるはずだったジャマールを、お兄ちゃんが守ったじゃん。『いいかい、人生の決断の時だ。野良犬のままでいるか、本物の男-強い男になるか、お前の運命は自分で決めろ』って言われて、自分で正しい道を選んだじゃん。一方歌うたいの子は運命に抗えなかった。『君は幸運、僕は違った。それだけのことさ』。でも、サリーム・ジャマールが正しい道を選ぶその助けになることはできたじゃない。そこで彼にはひとかけらの救いが生まれたと思うんだ。」
「救うねー」
「逆に言うと、アメリカ人をだまくらかして$100ゲットしたシーンなんかも、確かに嘘をつくのは悪いことだけど、それがなきゃお札に誰の名前がなかったかわからなかったわけだし、ラティカにも会えず、歌うたいを救うことはできなかったかもしれないという。過酷な人生でも、ちょっとした機転と正しい行いを積み重ねることで、人生を変えられるって話かなって。」
ついでにサリームがジャマールを逃したシーンについて言っておくと、兄弟が飛び乗る電車のケツには"X"の文字が書いてある。僕はこれ、cross roadの象徴だと思っていて、ここで兄弟とラティカが離れ離れになる岐路を示していると読んでいる。
「てゆーかさ、普通にあれ泣けなかった?最後三銃士だれかあてたやつ」
「僕てっきりラティカが教えてくれるもんだと思った」
「でも電話じゃむしろほかの話しちゃうんだよね。」
「そうそう、そんなんでいいんかいって。」
「そこがより、運命みを強調しててさ。」
「僕はご都合主義だと思った。」
確かにこの映画、ご都合主義の塊ではある。
「でもさ、結構"裏切り"もあるんだよ。ホテルに逃げ込んだ後、お兄ちゃんはラティカとジャマールを二人っきりにするでしょ。お兄ちゃんもラティカも絶対二人がいちゃこらするもんだと思ってたけど、しなかったじゃない。」
「あれふつーに子供だからだと思った」
「いやジャマールはともかくラティカは絶対そういうものがあるって知ってたって。そういうところで教育うけてるんだから。で、ラティカは"男ってそういうもんだ"って認識はあったと思うけど、あそこで手を出されなかったことで、愛を知るんだと思うんだ。で、そのあと泣けなかった?」
「え?あの銃を向けられるシーン?」
「そう。」
酔いがさめて来たので、この辺で一区切り。
