香港に「糖朝」というレストランがある。
マンゴープリンで有名だがそれ以外の料理も美味しい。
その店を訪れた時は満席で結構待って席に着いたが、
広い室内全体を人々の歓談の声が唸るように響き渡り、驚いた。
その音量は人が出せる音量のマックスではないかと思えるほどだったが、
もちろん気分を害するようなものではない。
ただただ香港の人たちの開けっぴろげでバイタリティ溢れる音量に圧倒された。

日本にも糖朝とは趣は違うけれども、
飲食を楽しむ声がマックスになる場所があった。
それが多くの人が集う大衆飲食の店。
日本人は香港の人ほど一人一人の声は大きくはないけれど、
人々が興に乗った時の大衆飲食店もなかなかだ。

金沢の人気のおでん屋さん「三幸」に行ったら既に満席だった。
お店の人に、軽い笑顔で待ってくださいと促された。
先に順番を待っているサラリーマンたちも、
それが当然のように待っているので同じように待つことにした。
30分ほど待ってカウンターに座ることができた。
店はカウンター20席、テーブルが3つ、10から15人が使える座敷で構成されている。
店内に40人以上のお客さんがいることになる。
料理はおでんの他に、刺身から、煮物、揚げ物、焼物があり、メニューは多い。
注文を受け、料理を作って出し、お酒を提供し、目が回るほど忙しいはずなのに、
お店の人たちは忙しさを醸し出していない。
カウンターの向こうには50代と思われる背が高く優しそうなご主人、
明るくちゃきちゃきとした奥さん?と従業員たち。
そしてどちらかのお母さんとおぼしき小さな女性が
狭いカウンターの中を、こちょっと縫うように動く。
忙しい状況を日々の当たり前のこととして、
決して焦らず楽しみながら働いているように見えた。
状況だけ言えばあくせくして当然と思われるのに、
日常性を保っていることが、ある意味達人の域にいるのかもしれない。
そういうナチュラル感が醸し出す雰囲気が
お客さんにも伝搬し、お客さんたちも楽しんでいた。
勿論お酒を飲んでの会話だから、音量は上がっているのだけれど、
やはり糖朝のそれとは違う。
糖朝のそれは金管も入ったフルオケの音量だとすれば、
金管が無い音量というべきか。
日本の大衆飲食店の人気は料理の美味しさだけで決まらない。
お店側の人たちの雰囲気が大きな要素だ。
改めてこのお店で、そのことを認識した。


ビールを飲んで夕食食べてぼんやりとテレビのニュース番組を見ていたら、
ビットコイン取引所を運営するマウントゴックスという会社が倒産した、という。
それを見ていた僕は、全く現実感がわかなくて、
別の世界の話をどうしてテレビのニュース番組で流しているんだろう、
という感覚だった。
ビットコインは僕にとってバーチャルなものだという認識しかなかったし、
関係がないものだと思っていた。
そのバーチャルなものが会社という形をとっていたことが驚きで、
その会社が法律的手続きに従って倒産したということも僕の理解の外にあった。

その時はそれで終わったのだけれども、翌日になって少しづつ僕は
「ああ僕は、もう時代についていけないようになったんだな」
と思うようになった。
そう思うようになると、
ビットコインは僕が時代遅れの男だと認識させてくれた記念碑でもあるわけだ。
せっかくだから、その記念碑がどんなものか調べてみた。

ビットコインの特徴は、全体の運営者がいないこと。
ビットコインはたとえるならばP2Pインフラ上に構築されたオープンな電子手形システムだ。
支払者は自分の持っている手形に裏書きして、取引履歴をネットワーク上で広報する。
受け取った者は同じように裏書きして、次の利用者に渡す。
ネットワーク上で流通する手形の量はアルゴリズムによって管理されている。
法的責任を持った発行主体がなく、誰も払い戻しを約束していないことが、
ビットコインに対する規制を難しくしている。
ビットコインには相場があって、価格が変動する。
それが逆に射幸性や投機目的に惹かれて参入している人もいる。

ビットコインは匿名日本人名人物:ナカモトサトシが発案した。
無政府主義者、サイファーパンクと呼ばれる人々の間での遊びとして使われ始めた。
2013年4月には欧州キプロスで通貨危機が勃発、
ペイオフが予定されていた銀行預金からの逃避先として
ビットコインが脚光を浴びて価格は高騰、総流通量は1000億円を超えた。
中国で外国為替規制を回避して国際送金できる手段として人気を博した。
2月28日の記者会見でマウントゴックスの代理人は、
2月に入って顧客からの預かり資産である約75万BTCと、
同社自身の持ち分である約10万BTCに加えて、
顧客からの預かり資産約28億円が消えたと発表している。
「システムのバグを悪用した不正アクセスかと思われるコインの送金が
正常に終了しない取引が増え、さらに不正な引き出しもあった」
このバグは取引展性 (Transaction Malleability) として2011年から知られており、
技術的な詳細はITproで解説している。
マウントゴックスの口座は米財務省FinCENの規制に従って本人確認されており、
再送されたコインを詐取しても簡単に足がついてしまう。
不正アクセスなどでビットコインワレットの秘密鍵が詐取されて不正に送金されたなど、
バグ以外にも問題があったと考えられる。

ビットコインについての解説から要点を抜粋してみたが、
仮装空間の遊びみたいにして作られたものが、
正規のルートではお金を動かせない人たちに利用され大きくなったら、
一般人も入ってくるようになった。
このまま放置できなくなった政府側は取引所として、
少なくとも本人確認を課すことになった。
(最低限の規制であり、ビットコインを通過と認可したわけではない)
そして倒産し、その損失額からみて相当人の被害者がいる?かもしれない。

この解説を読んで、30年間金融に関わってきた人間として言えることは、
ビットコインは通貨ではない。
解説にあるように手形のようなものとあるが、
現実の手形には手形振出人がいて、
その手形振出人は決済をしなければならない義務を持つことで、
手形に資金価値があることを裏付けている。
でもビットコインにはこの決済裏付けがあるのかどうか、解説に書かれていない。
もともと遊び感覚で作られたものだから、そんな「義務」はないのではないか。
今は通貨と言っても、スマホで決済できる時代、
手形といっても、電子手形になって手形用紙が流通しなくなっていく時代。
電子空間で資金が移動することが当たり前の時代にあって、
ビットコインがいかがわしいものか正規のものなのかどうかなんて、
普通の人にはわからないのではないか。

僕のような意見は経済や金融に携わる人たちに多い意見らしい。
一方でコンピュータソフトウェア開発に携わる人たちは、
ビットコインは素晴らしい発明だと主張する意見がある。
通貨は交換価値や流通価値を保証するために、
発行体がその価値を維持するための規制がある。
これが経済や金融の常識。
ところがソフトウェアでは、開発者の自由な発想やアイディアこそが命であり、
それらが規制されることを嫌う。
それが混在となり、規模が大きくなったことが
こういう事件の根底にあるのだろう。

ソフトウェア側はこれからも、
いろんな規制をジャンプするようなシステムをネット社会に送り出して行くのだろう。
それは既成の社会から見ればアナーキーなものとして捉えられるだろうが、
はっきりした規制ルールもないので、
疑問を持たずにそのシステムを使う人が出てくるのではないか。
そんなことについていけない僕は、
触らぬ神に祟りなし、をモットーにして時代遅れの男になるのだ。



南アメリカワールドカップMVPのフォルランが
セレッソ大阪にやってくることになって、
開幕前から久しぶりに賑やかな話に包まれて、Jリーグは開幕しました。
そしてその賑やかさに釣られて、いざ長居競技場に、
セレッソ大阪とサンフレッチェ広島の開幕戦に行ってきました。
セレッソ大阪は、柿谷選手をはじめとして、選手たちは若く、
チームカラーが桜色ということもあって、
女性ファンが多いような気がします。
応援歌も、優しいメロディラインのような気がしました。

フォルラン選手はワールドカップのプレイも良かったけれど、
ウルグアイの選手として来日しプレイした、
ザック・ジャパンとのテストマッチのプレイの印象が僕は強い。
フォルラン選手がどういうプレイをするのか、
柿谷選手や南野選手とどんな連携プレイをしてくれるのか、
楽しみでした。

試合が始まって、ゲームの流れはややセレッソにありました。
ゴールを十分狙える位置からのフリーキックが二度あり、
いずれもフォルラン選手が蹴ったのだけれど、
二度とも壁になっていたサンフレッチェの選手に阻まれてしまいました。
サンフレッチェはスリーバックの陣形に
サイドバックが引き気味にポジショニングしていたので、
セレッソにサイドスペースを与えませんでした。
それに身長もサンフレッチェの方が高いようで、
空中戦はサンフレッチェが制圧していました。
それに対してセレッソは、柿谷、フォルラン、南野、長谷川選手ら攻撃陣が
ポジショニングを変えながらサンフレッチェ守備陣に隙を作ろうとしていましたが、
楔となるパスの精度が今一つで、サンフレッチェ守備陣を切り裂くことができず、
スペースなし、ヘディングで競り負け、パス攻撃も破壊力無しで、
攻め手に欠けていました。
そのために、セレッソはコーナーキックがほとんどありませんでした。
こうなった理由の一つは、サンフレッチェのカウンターを警戒し、
ボランチの山口選手を引き気のポジションをとったために、
攻撃の厚みが足りなかった為でしょう。
セレッソとしては、勝つことも大事だが負けては意味がないと
考えていたのだろうと思います。
後半の途中までは、その作戦は成功していたと思います。
試合はこう着状態になり、このまま行くと0ー0のドローかなと、
頭をかすめた頃に、大きな変化がありました。
あっと言う間に、セレッソのゴールにボールが運ばれ、
サンフレッチェはワンチャンスをものにして1点を取りました。
サンフレッチェのカウンターは
セレッソが警戒するのもわかるくらいに見事でしたが、
そのスタートはセレッソのパスミスだったのですから、悔やまれます。
冷静に評価すると、サンフレッチェの方が強く試合巧者でした。
セレッソが勝つためには、フォルラン選手の調子が上がる必要がありそうです。

僕のサッカー観戦はジャパンチーム主体でしたが、
今回はセレッソ大阪のバックグラウンド側に席を取りました。
熱心なファンの人たちは、小雨に濡れて寒いのにずっと立ったまま応援していました。
その一団の周りを囲むように、
家族や友人たちどうしでこのイベントを楽しんでいる大勢の人たちがいました。
多くはないけれど、70代の方や2、3歳の幼児もいました。
聞くところによると、土日のサッカー応援を一番の楽しみに、
仕事を頑張っている人たちもいるのだとか。
Jリーグは日本人に着実に根を張っているんですね。
セレッソ大阪も頑張って下さい。
そして、ザックジャパンも頑張ってくださいね。