ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」全8話と荒乙のスピンオフ作(前日譚)にあたる「荒ぶる季節の男どもよ。」山岸編・泉編を鑑賞し終わりました。古川雄輝@ミロ先生の印象的なシーンを回想し、改めて感想書きたいと思います。
「地雷ふんじゃったって思った?」岬の落し文句(荒男・山岸編)
音楽室のロッカーから、教師と憧れの同級生・前原岬の行為をこっそりのぞいていた高校時代の山岸。不道徳行為を見られているのを知りながら楽しむ岬を軽蔑しながらも、これがその瞬間に視線を交わした彼女との秘密の美しい時間だと思ってしまう。「地雷ふんじゃった」のは山岸の方だったんだと思います。
「性」への好奇心に振り回され、堕落論で自身を肯定し、闇に留まるしかなくなったミロ先生。人間だから堕ちるだけだと虚しく自分に言い聞かせ、前日譚は「荒ぶる季節の乙女たちよ。」の冒頭シーンに繋がっていきます。
「女子高生の声は癇に障る。」(荒乙・第1話)
とても苦手で軽蔑しているのに、視線をおくらずにはいられない「女子高生」と言う存在。暑い夏の空の下、美しい色彩と映像に相反して、うんざりするように歩くミロ先生が絶妙でとても魅力的なオープニングでした。初見で先生が主役みたいと思ったんですけど、全部通して見た今だと納得できます。
でもさ、嫌いは好きの裏返しでもあるよね。
「ひととちゃんさ、今日実はあんまりしたくない気分?」チャットの相手と会う(荒乙・第2話)
いつも通り画面で文章のやりとりしているだけなのに、相手の気分に気づいてしまうミロ先生。そして、雨の日の真っ昼間に、すっごい花柄のシャツを着てわざわざチャットの相手に会いに行く。これ、同窓会すらなかなか参加する気にならなかった先生からすると、かなり相手に興味があったんだなと思います。前日譚山岸編に出てくるけど、先生の求める「高校時代の特別な思い出を蘇らせてくれる」相手は滅多に現れないので、ネカマでもなんでも、どんな人物なのかとにかく会ってみたかったんでしょうね。(んで、相手が本郷とは本当にびっくりしただろうな…。でもこれが先生をサルベージするものになると。)
相手が本郷だとわかって逃げようとするミロさん。シャツの花柄が花柄すぎてw
「休み時間に、他の人に気づかれないように、僕に下着を見せるというのはどうですか?」(荒乙・第2話)
おそらく本郷には出来ないであろうと踏んでの指示だったと思うのですが、結構インパクトのある変態ぶりでしたw。渡り廊下での冷たい眼差しもよかったです。
結局本郷は先生にパンツを見せきれなかったんだよね、多分。
とりあえず眼鏡は正義!
「少し休憩して、気分を変えた方がいいんじゃないですか?」(荒乙・第4話)
第1話で「あれ(文芸部の顧問)は無理です」と言っていた先生が、4話では本郷の提案に応え、部員たちを自身の両親が経営するペンションで合宿させました。合宿中も部員たちの勝手にさせているようで、実はきちんと生徒たちの様子を感じ取り、先生らしく振る舞っていて文芸部員との関わりを大事にし始めているのがわかります。
優しく笑っちゃうのよ、みんなの方向いて。
「うっちゃり大一番しようとしてた人が、キスぐらいで…」(荒乙・第4話)
4話目までのミロ先生は、ともすると本郷のことを一番苦手なタイプの女子高生って思っていたかもしれない。でも、合宿の終わり頃の本郷は、ミロ先生に「いい加減にしなさい!」と叱られるレベルまでランクアップ。キス寸前で驚かされたけど、頭をポンってしてもらえる存在になっていました。
先生は先生で本郷の荒ぶりのおかげで、自分でも気づいていないことに気づいていくんだよね。
富田先生(荒乙・第4話、第5話)
富田先生が絡むと表情や仕草に出てしまうミロ先生。実家から送られてきたキノコをあげたのはもちろん、文芸部の顧問としても富田先生と会話する機会が増えていきます。荒男・山岸編では富田先生は明るい世界の住人で、自分とは違う世界の人と思っていたけど、気づいたら彼女に惹かれていた模様。
先生、自分が普通の恋愛をできると思ってなかったんだろうなぁ。
「では、富田先生、否、エミ先生の侮蔑は?」本郷のズバリ(荒乙・第6話)
第4話にも出てきますが、本郷はいろんな場所からこっそりミロ先生を観察していた様子。それを続けているうちに、ミロ先生が富田先生と一緒の時は普段と違うことに気づいたんだろうなと思います。何か決定的なことを見てしまった訳ではないけれど、本郷が「せめて面白いと思われたい」と諦めの境地に至るくらいに、自分に対峙する時とは違った模様。
本郷の口から富田先生の名前が出た途端、眼鏡を触っちゃう。
「俺に意気地が無いだけだから。」(荒乙・第6話)
ミロ先生の思想は坂口安吾の堕落論の中にあります。「人間だから堕ちるだけだ」と闇の中で自身にそう言い聞かせてきた先生。しかしながら、人間には堕ちる場所まで堕ちきることが出来ない弱い部分もあることを思い知ります。自身の本質を発見し救い出すには、正しく堕ちる道を堕ちきらなけらばならない。
墜落すべき正しい場所へ導いてくれたのは本郷でした。必死な本郷、情けなく泣きじゃくる彼女を見て、自分がそれよりもっと惨めで情けない存在であることに気づく。
結果、自分自身の純潔なるものを留め、彼女を救い、自らも救いました。
場面寡黙ならぬ場面インポかと思ったら、先生の方も初体験だったんです。
オープニングダンスに先生が加わっていたのは…(荒乙・第7話)
第7話のオープニングダンスはミロ先生でした。当初は何故先生が荒乙ダンスを踊っているのか?が疑問でしたが、ドラマを全て見終わった今だとその理由がよく理解できる。ミロ先生自身がまだ「荒ぶる季節」に取り残されている1人だったからなんだと、そんなふうに思いました。
結構踊りづらそうだなーって。
「い”、痛って! 君達何をっ!!」(荒乙・第7話)
この回はシリアスとコメディのバランスが最高でした。女子高生たちによって縄で縛られ、学校に軟禁されるというのは、ミロ先生の人生のメタファーになっているんだと思います。
めちゃくちゃ慌てふためいててw
「ほんと、ひととさんは迷惑なくらい面白いですよ。」(荒乙・第8話)
色鬼をする生徒たちを、すんごい嬉しそうに見守ってるんですよね。
あたりのよく見えない暗がりの中にいた先生が、青白い部屋でチャットをしていたら面白い相手に出逢った。「ひとと」というその相手に導かれて文芸部の顧問になり、荒ぶる季節の乙女たちに巻き込まれる事によって、自身が性に翻弄されていただけだったこと、荒ぶる季節に取り残されていたことに気づいていく。
先生は最上級の感謝の気持ちを込めて「ほんと、ひととさんは迷惑なくらい面白いですよ。」と言ったのだと思います。
本郷はこれを聞いて満たされますが、結局のところ自分は「面白い」止まりでしかない事にため息をつく。(本郷のお題の「ため息の満月の灰色」)
先生は本郷から「面白くないですよ」と言われた時、「ふっ」とため息をつき、その後微笑みます。彼女の気持ちが単なる性への好奇心でないことに気づいたのかもしれませんが、同時に、彼女がまだ荒ぶる季節の真っ只中にいることを実感したのだと思います。
「やっぱり男がいるとよくない。」「青に消えていく。」(荒乙・第8話)
本郷、そして文芸部員たちと過ごすことで、ミロ先生が自身の荒ぶる季節の呪縛から解かれる。本郷が先生を拘束していた縄を解き、学校から開放するという方法で、それは映像でもきちんと表現されていました。
「うん、いい感じに荒ぶってますね。」(荒乙・第8話)
ミロ先生のラストのセリフ。白日の下、ミロ先生は微笑みながら乙女たちを受容し・肯定します。自身の呪縛からも解放され、ドラマの中で見せた表情で1番の笑顔でした。
第8話(最終回)は特に、色彩・映像の美しさ・グッとくる台詞が詰まった作品になっていました。
古川くんの独特の声質が、ミロ先生の文語調風味のセリフにすごくよく合っていて、古川雄輝ファンの視点からも楽しめる作品だと思います。
ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」「荒ぶる季節の男どもよ。」は、現在、TSUTAYAプレミアムおよびTSUTAYA TVでのみ視聴可能となっていますが、両作品が収録されたDVD BOXが2021年1月22日に発売になるそうです。絶賛予約受付中!DVD4枚セット(ドラマ本編・メイキング映像収録)定価:12,540円
各話のミロ先生の登場シーンをまとめた記事リスト






















