荒ぶる季節の男どもよ。山岸編(Part2) | 君は僕を好きになる

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TSUTAYAプレミアムにて「荒ぶる季節の男どもよ。」の配信がスタートしました!前回の続きから、あらすじに合わせて「荒男」の古川雄輝@山岸知明をレビューしていきます。Part1はこちら

 

 

 

 

同窓会に参加することに決めたのはいいが、なんとなく居心地の悪い山岸。会場にいた岬は高校時代と変わらず高嶺の花だった。

「誰かが確実に自分を見ていると感じながらの一挙手一投足。あれは舞台に上がるものだけに許された…」

自分自身に対して「なにを期待しているのか。」

 

同窓の女性達の話に付き合うも、つまらない。流れで「女子高生が苦手だ」と話すが、同時に同じ場所に居ながら遠くの存在である岬を見つめ「あいつらは、いつも自分が見られてると思ってる。」と、女子高生を苦々しく思う気持ちと岬への思いを重ね、自分が舞台に上がれない側の人間であることを痛感してしまう。

 

 

席を離れ、喫煙所でタバコを吸っていると、「居心地が悪いんだよねー、抜けようよ、2人で」と岬。誘う彼女を断る理由もなく、2人は別のお店に場所を移す。

なんかちゃんと30代の背中

 

 

高嶺の花が隣にいることを喜ぶも、岬と合ってどうしたかったのかがわからない山岸。彼女に「高校の頃から私と似てるのかなーって思ってた」と言われ、「僕にとっては遠い存在でした」と素直に答える。

「隣にいる」

 

「遠いけど、近くに感じるって存在もあると思うけどなー」猫の話を例えに、自分達2人が特別な存在になり得るかもと言う岬。

「だーれも知らない、2人だけしか知らないことを共有してれば、それも可能でしょ?」

 

山岸は「2人だけしか知らないことを共有してれば…」という彼女の言葉に何かを感じ「ちょっと、トイレ」と席を外して、ホテルの場所を調べながら自分自身に問いかける。

 

「俺はこの女とヤリたいんだろうか?」

 

岬に誘われるようにして店を後にした2人。ホテルに向かう道すがら、岬に探りを入れられる。「高校の先生ってどうなの?出会いとか。」「どうなのって、ないですよ、出会いなんて。」「ふーん、じゃ、付き合ってる人とかいないの?」「いないです。」「気になる人も?」「いません。」「そういう人も?」「前原さんはどうなんですか?」「うん、旦那も子供もいるって言ったら帰っちゃう?」「別に、帰りはしませんよ。別にやましい事はしていませんし。」

手を繋いでから「ダメ?」「いえ、別に」「こっちの方がいいか。」と最終的に腕を絡ませる

すごく怖い女性です。

 

ラブホテルに着いて部屋を選ぶ岬。「あ、教室の部屋もある」

「教室ってちょっといいかもね」という言葉が、山岸の高校時代の特別な出来事と結びつき「あの時、僕が覗いてるの知ってましたよね?」と尋ねてしまう。

「あの時、僕が覗いてるの知ってましたよね?」

 

「あの時ー?山岸君、なんの話してるのー。」と、視線すら合わせずに答える彼女を見て、分かっていてはぐらかされたことを悟るも、質問すらなかった事にされそうなタイミングで岬の携帯が鳴る。彼女は電話の相手に、同窓会がまだ終わらないから先に夕飯を済ませておくよう伝えていた。

(岬は小悪魔を通り越して、エグいくらいに闇のあるキャラだと思うのですが、彼女がなぜこうなったのかはまた別の話ですね。)

 

結局彼女に流されるまま部屋へ向かう。移動中、エレベーターの中で聞いた岬の言葉は、彼が何度も記憶の中で蘇らせた映像とリンクする。

それは美しいもののはずだった。

「さっき言ったこと本当なんだ。私、旦那も子供もいるの、地雷ふんじゃったって思ってる?

「地雷ふんじゃったっていえばさー、猫ふんじゃったって笑えるよね。踏んだらお空に飛んでったーって。」

 

「地雷ふんじゃった」がトリガーとなって、動けなくなる。自分が堕ちていこうとしている場所はどこなのか?

 

誘う彼女を部屋に押し込んで、

「個人的に、猫ふんじゃったは最低なタイトルだと思います。」(富田先生の言葉!)

自身の美しい思い出と一緒に閉じ込める。

「忘れられない光景は、一層美しく見えるはずだった。そう思っていた。」

 

 

 

自宅に戻り、パソコンに向かう山岸。「ひととちゃん、いますか?」

「待ってました、ミロさん」

「今、どんな気分ですか?」

「興奮してます。」

「本当に初めてが俺でいいの?」

「ひとと」とのチャットに自分の求めていたものを見つけるが、同時に虚しさも感じていた。電源を落とした黒いモニターに映った自分を見て虚しく笑い「生きているから堕ちるだけだ」と言い聞かせる。

「生きているから堕ちるだけだ」

 

 

 

音楽室でピアノを弾く山岸。光と、闇

「でも、ふと思う。」「本当に正しく堕ちているのか」

うんざりするように、開いたロッカーの扉を閉め、教室を後にする。

 

「あいつらの過剰な自意識、他人を振り回すほどの性への好奇心。」

「特にこの声、この色は、鮮やかすぎて。」

「女子高生の声は癇に障る。」

 

 

 

あらすじと感想を書きつつ、官能小説でも書いているかのような気分にもなってしまいましたが、先生が闇に取り込まれて行った理由と、そこから抜け出せないまま過ごした日々が容易に想像できるストーリーで見応えがありました。文学的でありながら、かなりストレートな描写を含むので有料配信という形で公開されるのは必然かな。荒乙をより深く理解するためにはもちろん、山岸の心理を表すサウンドや楽曲を楽しむためにも、映像を見ていただくのが一番な作品です。特に、エンディングのイントロが流れるタイミングが秀逸!

荒男山岸編のラストは、そのまま荒乙のオープニングに繋がっているので、全編を再視聴して改めて感想を書きたいなと思います。

 

荒ぶる季節の男どもよ。TSUTAYAプレミアムにて配信中です!