亀有駅近くの環七外回り。
海老色テントのラーメン屋隣に細い路地があります。 (エアコン室外機の所です)
この路地はある有名な河川であった、名残の暗渠道です。
車は通れない暗渠道。
家々の裏側を東に向かって抜けていきます。
かつては水路であったので、ご家庭の中を通過しているようで不思議な感覚。 道は間もなく南(右)へ急に折れていきます。
南に進路を変えた後で広いところに出ました。
やって来た道は左下の車止めがある小径です。 ここで寄り道。 ほぼ中央に見える中華屋さんを左に回り込みます。
すると、住宅に挟まれて地蔵尊が納められている場所に行き着くことが出来ます。
隅田延命地蔵尊/隅田子育地蔵尊
もともと別の地蔵様であったものを一カ所にまとめたようですが、定かではありません。 中を拝見すると、綺麗に整理整頓され線香なども置かれた小さな寺の様相で、地元に愛されていることが判ります。 毎年8月に祭礼があるようです。
実はここに到着する前の暗渠道途中に、葉っぱに埋もれた蘊蓄板がありました。
ちょっと読めそうにないので、文字おこししてみました。
「元禄年間、17世紀から18世紀に移ると、村々もようやく豊かになったとみえ、地蔵尊などの石造仏が村内各所に建てられるようになった。特に、村の境や道の追分には、悪疫の侵入防除、悪霊退散などを目的に、界地蔵が道祖神代わりに建てられた。
中川三丁目1の古隅田川岸にまつられた三体の地蔵尊は、足立・葛飾の村境であり、旧大谷田村道の追分三角地点に建てられた典型的な界地蔵である。中央の大きな地蔵は「元禄元戌(1688)十一月」の紀年が読みとれ、今日まで毎年8月24日に地域の子供を集めて子育地蔵祭りが催されている。」
隅田子育地蔵尊の蘊蓄です。
よい子はもう判りましたね、暗渠は古隅田川です。
この界隈は足立区中川という場所ですが、この地蔵尊のある地域の町内会は「隅田町内会」と言います。 隅田と言うと墨田区や荒川区を連想しますが、ここも立派な隅田なのであります。 先ほどの地蔵尊裏手に古隅田川の暗渠が通っています。
さて、先ほどの中華屋さんでブランチと致しましょうかね。
午前11時過ぎ、「こんにちは」と入ると、ご主人とおかみさんが小上がり席でくつろいでおりました。 なんか悪いことしちゃった気分に。
小上がり席はというとお孫さんの描いた絵や書が貼り付けられ、もはや客席では無く居間。。
常連さんだけが夜にここで集まって酒を酌み交わす場所と勝手に想像。 カレンダーが4セットもある!
土間のテーブル席に付く。
ここにもカレンダーが3セットもある。 しかも角位置のカレンダーなんかは壁の角度に合わせて折り曲げられているという拘りが。 開店祝いの鏡には常連さんと思われる”会”の名入りで、ここも愛されているんだなぁと実感。
私の横の席は猫殿の専用席。 逃げること無く微動だにせず。
のれん、なんで切れちゃったんだろうか。
地元庶民の味とお値段で御座いました。
閑話休題
古隅田川の暗渠は進路を南へと変え、相変わらず家々の裏側の”柔らかい腹の部分”を見てしまいながら進みます。
この古隅田川は足立区と葛飾区の区境にもなっており、写真右が葛飾区で左が足立区です。 見えない旧河川が区境になっていますので、JR綾瀬駅付近は理不尽なほどの蛇行となっており、小中学校の学区は大変だろうと思います。
やがてJR常磐線の高架下を通過し、
古隅田川暗渠と言うには肩身が狭くなるほどの幅もあり、
そして写真中央にみえる広々とした所に出ます。
亀有のショッピングモール裏に出ました。
そこには小さな児童公園があり、この中を古隅田川が通っていました。 区境なので、公園も一つに見えて右側葛飾区管轄が「古隅田なかよし公園」で左の足立区が「隅田あいあい児童遊園」、とくに境はありません。
そしてここに見えるモールと左のマンション群は、かつての日本板紙(旧日本紙業:段ボール原紙製造発祥の地とされる)という製紙工場跡地です。
すでに暗渠として辿ることができない古隅田川。
区境を地図で確認し追跡を続行すると、おおよそ右のモール側歩道までが足立区でモール建物がちょこっと境に引っかかっているようです。 更に写真中央に見える車付近にある横断歩道を渡りマンション群の中を通過しています。
左(北)棟の方々は足立区で右(南)は葛飾区。
まさか、この通路付近がかつての古隅田川だったなんて知られていないかもしれませんね。
マンション群を出る。
そこに見えるのは中川の土手です。
古隅田川は中川の分流支流であったのです。
かつて暗渠がここまで通っていたときのポンプ所跡が、今も空き地として放置されています。
中川土手から、やって来た道を見る。
かつて田畑しかなかったこの地域を、現隅田川(旧荒川)に向かって流れていた河川など、想像すら出来ません。
南側中川下流を望めば墨田区のシンボルスカイツリーが見えます。
今日の散歩はここまで。 中川右岸を高砂橋方向に下って帰路につきます。
この辺りも氾濫すると二階床まで水がきそうですね。 三階建てが増えるわけだ。。。
10/10撮影@亀有付近
河川の流れに関する蘊蓄は、治水工事や古地図の曖昧さなどから諸説があります。 古隅田川は埼玉県内にもあり、相互の関係に関しても諸説あり研究中であります。
と、まるで沢山勉強してきたかのような顔をしていますが、実は、G****マップに古隅田川のルートが記載されています。 恐るべしG先生。 それを頼りに現地に行くと更に深まる謎がまっていますよ。