今回のテーマは、ファンタジーRPGのエネミーとしては常連中の常連、これが登場しないタイトルを探す方が難しいほどの重鎮モンスター、ゴーレムです。
ゴーレムは元々ユダヤの民に伝わる伝承に登場する、製造者の意のままに動く土人形で、その名はヘブライ語で“胎児”を意味します。
ラビ(ユダヤ教における、師とかそんな感じの意味。宗教的指導者とでもいいますか)が秘術を用いて土塊に仮初の命を吹き込んだものです。
ゴーレムの製造にあたっては、当然ながらまず土を水でよく練って、人型を作るところから始まります。
これに際してラビは、断食をして身を清めたりするなどの、何らかの儀式を行う必要があった、という説もあります。
形が出来上がったら、定められた通りの呪文を唱え、額に“emeth(真理)”と書かれた羊皮紙を貼り付ける事で儀式は完了です。これによって、ゴーレムは動き出し、主人の命に従って働くようになります(例によってこれには異説てんこ盛り、羊皮紙の代わりに金属板が使われたり、直接刻み込むんだったり。額じゃなくて口の中や胸の内だったり。刻む言葉も“Schem-hamphorasch”だったりします)。
基本的にゴーレムは製造者に忠実なのですが、いくつかのやってはいけないタブー(日中起動させてはいけないとか、屋外に出してはいけないとか)が存在し、それを犯してしまうと制御下を離れ、凶暴化してしまいます。
そうしてゴーレムが凶暴化した場合、あるいは単に用済みになって処分する場合は、記した文字が“emeth”の場合は“e”を削って“meth(彼の死)”にする事で施された術は完全に解けて瓦解し、ただの土塊に戻るとされています。(書かれた文字が“Schem-hamphorasch”の場合は“Schem”を消すのだそうです)。
このように、元々はゴーレムは粘土で出来た人形を指すのであり、いわゆるクレイ・ゴーレムが本来の姿という事になります。
ストーン・ゴーレムだのフレッシュ・ゴーレムだのというのは、RPG用に作り出されたものでしょう(まぁ、かく言う私もゴーレムというと石造りを真っ先に連想してしまうのですが)。
ヴァナ・ディールにおけるゴーレムは、アルカナ属の一種、Golem族として登場します。
言うなれば金属製の巨人とでも呼ぶべきその風貌から、“巨大ロボ”等の通称で呼ばれる事が多いのではないでしょうか。
その外見通りの高い防御力を誇り、スタンやバインドの追加効果を持つものも含めた豊富な範囲攻撃と、強烈な単体攻撃“重い一撃”を有している手強いモンスターです。