第一志望を目指した結果(その2) | 大学受験対策のプロ

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大学受験生を教える講師のブログです。受験に失敗しないための耳より情報や、授業・家庭教師の動向をここで発信しています。

特に、化学や日本史を克服するにはどうすればいいのかを中心に、受験全般の話題も取り扱っています。

前回と今回は、

昨年教えた生徒が第一志望の大学に

合格するまでの流れをご紹介しています。

 

前回は高2の夏から習い始めた生徒が

高3になるまでに、

受験の土台を作る過程をお話しました。

 

そして高3からは

いよいよ受験生活に突入しました。

 

高3からの模試は高2までの模試と違い

圧倒的に難易度も上がりますし

偏差値も下がってしまいます。

 



その理由は、高3からは

浪人生が模試に加わってくるからです。

 

しかし4月に行われた第1回全統記述模試では

数学も化学も偏差値が65前後で

思っていたほど落ちませんでした。

 

ただ、私は

彼の力量がよく分かっているので

このままでは第2回(8月)の全統記述では

数学はガクんと落ちるだろうと

予想出来ていました。

 

なぜなら、彼は学校で習うレベルの

標準レベルには到達していましたが

夏以降の模試で偏差値が65以上を保つには

受験の応用レベルの実力が必要で、

そこには達していなかったからです。

 

そこで、春の時点では

順調な成績であったにも関わらず

私は彼に「このままでは次の模試はヤラれる」

と伝えて、応用レベルの対策を始めました。

 

実際の模試の過去問を解かせてみたら

彼自身も全く通用しない事を実感して

改めて危機感を持ってくれました。

 

予想通り、8月の全統記述模試では

数学は偏差値が53まで落ちてしまいました。

しかし春からすでに

応用の対策を始めていたので

8月頃にはまぁまぁ実力が付き始めていました。


その実力が、試験では

今ひとつ発揮出来なかっただけで

潜在的な実力が

点数や偏差値に現れて来るのは

もう時間の問題でした。

 

受験の数学は、

標準レベルと応用レベルでは

別科目と言って良いくらい

全く次元が違います。

そのため、応用力を身に付けるには

とても時間がかかります。


しかし、

一番大事な秋の第3回全統記述には

何とか間に合うだろう

という目星は付いていたので

心配はしていませんでした。

 

そして実際秋の第3回全統記述では

数学の偏差値は67まで上がりました。

 

化学は、高3の春から秋にかけて

試験範囲が劇的に広がっていきます。

 

高3の春は理論のみ

(全範囲の25%くらいの範囲)

高3の7月からは無機、

8月以降は無機に加えて有機も出題し始め、

それ以降は有機の範囲が

どんどん広がっていきます。

 

これに対応するには、

高3の4月~8月あたりで

一気に無機と有機が出来るように

なっていなくては模試に通用しません。

 

そして彼は無機と有機を

最短最速で吸収していき

夏の第2回全統記述では偏差値66、

マーク模試では8割以上を

キープしていきました。

 

化学においては、

高3の春から夏までの間に

いかに無駄なく最短最速で

無機と有機を身に付けられるかで

勝負が決まります。

 

ここで、1つ1つ丁寧に…

というような能率の上がらない

勉強の仕方をしてしまえば

間違いなく本番には

間に合いません。

 

高3の春から秋にかけて

化学は試験範囲も難易度も

うなぎ登りに上がっていくため

多くの生徒は

夏から秋に化学がズタボロになるのです。



 

春の時点で成績が悪いのであれば

これから勉強して成績が上がっていく

ということは殆どありません。

 

それでも、そこから取り戻すには

私のような化学対策のスペシャリストに

特別な授業をして貰わない限り

まず取り戻す事は不可能でしょう。

 

そんな中で彼は

夏は偏差値66、秋は62と少し落ちましたが

私の手応えでは着実に難関大レベルへと

駆け上がっていきました。

 

春から始めた英語は

模試で結果が出るのは早くても秋、

遅ければ何とか本番に間に合わせる

という計画で進めていきました。

 

残念ながら高3の殆どの模試では

結果は出てきませんでしたが

共通テスト前のプレテストでは

150取れるようになっていました。

本番の共通テストでは

リスニングの形式が微妙変わって

揺さぶられてしまったので

135点でした。


そして二次試験対策も

何とか難関大レベルに

対抗出来る所まで仕上がってきました。

 

数学は共通テストでは183点、

化学は86点を取りました。

 

そして二次試験対策の時には

化学はもはや、第一志望の横浜国立大や

東京理科大の問題は難なく解けるレベルに

到達していたので、ほぼ勉強せずに

苦手だった英語を中心に頑張り

数学も難関大レベルの対策を続けました。

 

その結果、国立の第一志望だった

横浜国立大にはギリギリで

手が届きませんでしたが

東京理科大を始め、有名私立大には

片っ端から合格しました。

 

横国に関しては

共通テストの国語でマークミスがあって

15点落としてしまった事が悔やまれましたが

それでも本人はすぐに気持ちを切り替えて

よく頑張ってくれたと思います。

 

5つの有名私大と1つの国立大学に

合格してくれましたが

(詳しい情報は2つ前のブログ参照)

明治大学には落ちてしまいました。

これについては

数学が2科目あって、数Ⅲという科目と

数ⅠAⅡBがあったらしいのですが

本人が勘違いして、数ⅠAⅡBの方は

文系が受ける科目だと思って

受験せずに帰ってしまったらしいのです。

しかし理系の場合、数学は2科目とも

受けなくてはならなかったらしくて

勿体ない事をしたと言っていました。

 

それで、今後受験生で明治大学を

志望する学生に、同じようなミスを

して欲しくないので

このブログで紹介して下さいと

その生徒の親御さんが

言って下さいました。

 

ともあれ、

私立の第一志望だった東京理科大に

合格してくれて、本人的にも

納得して進学してくれました。

 

高2の夏からの1年半、

彼は本当によく頑張ってくれました。

 

そして教える側として

何より感じた事は、学び方の対応力が

別人のように磨かれていった事です。

 

この学ぶ力は、大学進学以降に

彼が建築の道に進んでいくときに

資格を取る時や、新たな仕事に

直面する時にも

大きな財産として役立っていくと思います。

 

第一志望への合格は

それ自体もとっても大事な事ですが

実は目標に向かって全力で頑張った事で

学び方のノウハウが身に付いた事が

後々の人生にとっては

一番重要な事ではないかと私は思います。

 

これからの彼の飛躍を

楽しみにしたいと思います。