1年遅れの大学デビュー
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涼子宅にて①

「ちょwwwwwwwww」


「いいじゃん、ホントの事なんだから。」


「いやいや、そういうことじゃなくて。人の携帯で勝手に、、、」


「ココ私の家だから。」


「だから??」


「い~の。」


「なるほど。」


「納得??」


「いや、全然。」


こんな不毛な会話を繰り広げていると僕の携帯が振動する。


大介からだった。



題名:そっかぁ

本文:

じゃあ僕も行こうかなぁ。涼ちゃんに聞いといてくれる??



メール受信画面を涼子に見せると、涼子は自分の携帯を取り出してピコピコ操作。


さすが女子大生、、、見事な手捌きです。


で、送信したメールを僕に見せる。



題名:だ~め

本文:

今、ケンちゃんと大事な話し中。帰れ帰れ。



ひ、ひどい。


「おいおい、ちょっとそりゃ酷すぎくない??大介可哀想じゃん!!」


「そんな事どうでもいいの。」


「よくないだ、、、」


「い~の!!」


涼子は僕の言葉を一切シャットアウトするように言った。


僕は完全に気圧されちゃって、ちっちゃく「、、、、、はい。」って返事する事しか出来なかった。





涼子は僕がシュンとしているのを確認すると、一息ついて続けた。


「ウチの両親、私とケンちゃんが付き合ってると思ってるよ。」


「・・・・。」


「まぁ、勝手な思い込みって言っちゃえばそれまでなんだけどさ。私が男の子を家に連れてくるの初めてだし。」


「・・・・。」

「ケンちゃん、ママに気に入られてるし。顔。」


えぇっ!!


そんなサラッと衝撃の事実を伝えられても困るよ!!って大きく動揺している僕を無視して涼子は続けた。


「で、どうなの??」


「何が??」




「察しなさいよ!!」




またまた、涼子の恫喝。


ちょー恐い。


思わず、「ひっ」って悲鳴が僕の口から飛び出す。


「いやいや、そんなにビビらないでよ。正直凹むじゃん。」


「あっ、ゴメン。」


「で、どうなの??ケンちゃん的には。」


どうって言われても僕は涼子のことは何でも相談できたり、何でも言い合える親友だと思ってる。


涼子の気持ちがどうであろうとその気持ちは変わらないと思う。



それに、、、、



僕は麻里ちゃんが好きだ。




でもさでもさ、こういうのってはっきり伝えていいものなのかな??


相手のプライドを傷つけちゃわないかなぁ。


とかめっちゃ考えたんだけど、やっぱり正直に答えるのが一番だよなと思った。


「僕は、、涼子の事は親友だと思ってる。恋愛感情はないよ。」


と言うと、涼子は「はぁ~」と大きく溜め息をついた。


そして、急にケタケタ笑い出した。



??


何が起こった??


僕がキョトンとしていると、涼子がひーひー言いながら説明してくれた。


「あ~、笑った笑った。だよね?だよね?そりゃそうだよ、ケンちゃんにはちゃんと好きな人いるもんね?勢いで『涼子の事が好きだ』なんて言われなくてよかったよ。」


どうやら僕は試されてたようだ、何かココまでの流れを思い返すと急に恥ずかしくなって耳が赤くなるのが分かる。


「ママがさ、『ケンちゃんは何時になったらちゃんと付き合う許可をもらいにくるの??』って聞いてくるからさ~。」


と、そこまで言うと涼子は急に真面目な顔になって言った。


「でもさ、ここまではっきりフラれると凹むねぇ~。」


涼子の寂しそうな顔を見たら何かフォローしなきゃと思って、


「ご、ごめん。でもさ、、、」


ってあたふたしたら、またまた笑い出すお嬢さん。


「あはは~、騙された?騙されちゃった??私がそんな事で凹むと思う??ケンちゃんは優しいなぁ~。」


と言って、涼子は僕の頭をナデナデした。




「はいはい、悔しい悔しい。」


不貞腐れてると涼子は僕の首に腕をまわした。



「えっ??どうしたの??」



「ううん、なんでもないよ。ただ、ちょっとだけでいいからさ、こうしてていい??」



そう言う涼子の腕は微かに震えてるような気がした。




僕は声に出さずに首だけを縦に振った。






涼子は僕の首元に顔を埋めて泣いた。

学園祭③

涼子の家は大学の自転車用の出入門(勝手口??)から出て2~3分のところにある。


以前にもお邪魔した事があるんだけど、何て言うか、、、、


とてつもなくゴージャスな家だ。


家というより邸宅って言った方が正しいかもしれない。


そんな感じだ。







行商用に使っていた発泡スチロールの箱は大学のゴミ置き場に捨てた。


1個余ったホットドッグは涼子と半分半分にして食べた。


冷め切ってたけど結構美味しかった。



「ただ~いまぁ~」


「お邪魔しま~す」


と言って、涼子宅に入ると涼子ママがぺたぺた足音を立てて出迎えてくれた。


「おかえ、、、あらっ、ケンちゃんこんにちは。ってどうしたの?ビショビショじゃない??

 もぅ、こんな雨の中何やってたの??はいはい、服脱いでさっさとシャワー浴びちゃいなさい!!」


思い切りまくし立てられちゃって、僕は「あっ」とか「うっ」とかそんな言葉しか出てこない。


「ほら、早く!!」


さらに涼子からも急かされて、言われるがままの情けない僕であります。。。








シャワーを浴びると脱衣所に男物の服が置いてあったので着替える。


多分、弟クンのだと思う。


ぴったりだった。







リビングに向かうと、涼子・涼子ママ・涼子パパが楽しそうにお喋りしてた、、、談笑ってやつです。


「ピッタリじゃない、似合ってるわよ。着てた服だけど、洗濯して今乾燥機に入れておいたわよ。

 でも、今日は泊まっていくんでしょ?泊まっていきなさいよ。」


と、またまたお母様にまくし立てられてタジタジの僕であります。







お母様とお父様は僕と涼子は付き合ってると思ってる、、、たぶん。


お付き合いの許可とかした覚えは全然ないんだけど、僕の事は普通に『ケンちゃん』って呼ぶし。


そう言えば、男の人を家に呼ぶのは初めてだって事をいつか涼子が言ってたっけ。


今までに5回遊びに来た事があって、その内の3回は泊まった。


毎回↑な感じでまくし立てられてそのままの流れってやつで。


お父様はいつもニコニコ笑顔を絶やさない。


そしてただ一言、「いらっしゃい」と言って出迎えてくれる。







僕が泊まるのは涼子の部屋だ。


1つベッドの上で寝る。


初めはドキドキしたけど、、、もう慣れた。


ってかね、、、、


ベッドがでか過ぎて、『1つベッドの上で寝る』って感じがしないんだ。


それに、、やっぱり僕は涼子をそういう目で見ることはできない。


涼子はどういうつもりなのか分からないけど。





ブルブルッ


ブルブルッ





ポケットの中の携帯が震える。


取り出すと、大介からのメールだった。


題名:お疲れ~

本文:

お疲れ、雨スゴイね!!全部売れた?こっちは全部売れたよ!!

ケンちゃんもこの辺で切り上げて、銭湯入って帰ろ~じぇ~。





僕はそのメール画面を見て何て返信しようか考えていると、涼子が僕の手から携帯を奪うと、素早くピコピコ操作して僕に返した。


「送ったよ。」


涼子は無表情でそう言うと、冷蔵庫から牛乳を取り出してそのまま直接飲んだ。


メール送信画面には、


題名:Re:お疲れ~

本文:

今、涼子の家にいる。


と表示されていた。

学園祭②

学園祭。


それは、まさに天国だった。


特にウチの大学はドラマのロケなんかでも時々使われたりする結構オシャレなキャンパスなので女子には人気がある。


ただでさえ綺麗な女の子が多いのにイベント盛り沢山ということもあって、


「えっ、ここガールズ・コレクションの会場??」


って錯覚してしまうくらいだった。


で、思わずキョロキョロしてしまう僕がいたりするワケで。。。。


隣の大介も珍しくキョロキョロしていた。






僕と大介は初め2人で仲良くホットドッグの行商をしていた。


しか~し、学園祭ってやっぱり開放感があるからなのかな??


女性も積極的で、見ず知らずの人から声を掛けられる。






僕でさえ、「どこのサークルぅ??」とか「何学部??」とか散々声を掛けられてしまった。


僕でさえだよ???


じゃあ、、、、ジャニーズ系の大介は???


気になって気になって、そっと振り返ると。。。。




何だか、物凄い体つきをしたお兄さんに囲まれていました _| ̄|○

正直、この時ほど他人に対して『勝った!!』と感じた瞬間はなかったです。


一瞬、目が合った大介から「助けて!!」の声が聞こえてきたような気がしますが、気のせいでしょう。。

巻き添えになるのはゴメンです ヽ(´ー`)ノ




さてさて、そろそろ本気で売り捌かないといつまで経っても帰れない。


売れ残ったら自分で買い取らなきゃいけないらしい。

と、僕の目の前を一滴の水滴が落ちて、地面が濡れた。



空を見上げると、僕の顔に水滴が当たった。



雨だ。



本格的にヤバイと思い、声を出して必死の売込みを始める。


でも、そうそう買ってくれる人なんかいない。


それでも頑張った甲斐があったのか、残り1本になった。





キャーーーー





近くで女の子達の悲鳴が聞こえる。


雨脚が一気に強まった。


僕は空を見上げた。


髪も、服も、、ビショビショだったけど何となく気にならなかった。


目を閉じて顔に当たる水滴の心地よさを感じた。





!!!





僕の顔に雨の感触が消えた。


目を開けると、視界が紫色で包まれていた。




一本くださいなぁ~


聞き慣れた声だった。


僕はその格好のまま言った。


「お客さん、もう冷めちゃって美味しくないですよ??」


紫色の傘を持った知り合いはクスクス笑いながら言った。


じゃあ何か温かいものでも作りますかねぇ~♪何かご希望は???


僕は正面を向いた。


涼子は、「よっ、お疲れ!!」と空いてる方の手を挙げた。



「持つよ」と言って僕は傘を受け取って、2人で涼子の家に向かった。

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