マニー・パッキャオ vs ヨルデニス・ウガス | R I N G C H E C K !

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階級最強の一人 エロール・スペンス Jr. と戦って勝っても負けても引退か … と思われていた パッキャオ … 土壇場で相手変更 … しかもスタンスが逆の強豪という … それでも … エロスペとやるよりは勝負論があると思われた試合でしたが … 。





▼ マニー・パッキャオ vs ヨルデニス・ウガス







お互いのボクシングスタイルを見ると、 プロボクシングを象徴する存在でありながら、 日本のジムなどで基本として最初に習う所謂 中心一軸には全く依らず、 テイクバック/溜めを一切作らず、 ほぼ全ての挙動を多軸動作で行なう究極の変則サウスポー パッキャオと、 元キューバのトップアマであるのにも関わらず、 ほとんど多軸動作を使わず、 どちらかというと日本やメキシコのプロボクシングスタイルに近い、 しっかりとしたオンガードとリードを丁寧に突く基礎力の高い一軸ボクシングが信条のウガス、 スタイルウォーズとしても大変興味深い一戦でした。





ただ、 予想していたとは言えパッキャオの各チャートの目減りはやはり顕著で、 速いテンポでアタックを仕掛けるも、 クリーンヒットにもダメージにも繋がらない。 相変わらず手数/スタミナには驚異的な物がありましたが ( 12R通して計測するとウガスの倍以上の手数だった ! ) オンガード中心で強固なフィジカルを持ったウガスが崩れる事は無く、 逆にウガスはパッキャオのアタックを凌いでから自らのターンへと繋ぎ、 左ヘッドスリップしながらの右フック強打など、 印象打を要所で浴びせる展開が作れていました。 結果に関しては ほぼ納得の結果と言って良いかと。





しかしながら 結果は置いておいて、 パッキャオ、 42歳という年齢、 しかもブランク明けの試合がエキシビジョンでなく、 ガチのトップコンテンダーとの試合 … という点を考慮すると ( パッキャオだから これが当たり前になってしまっていますが ^ ) パッキャオこそ驚異の男 と唸らずにはいられません。 しかも対戦相手 変更前は、 階級最強の一人エロスペと当然のように大勝負しようとしていた訳です … パッキャオほどの選手であれば、 楽な相手を選んで大団円のラストを演出する事など訳もないはずなのに ! ! ! 同じ40代としても本当に頭が下がりますし、 心から敬意/尊敬の念しか出て来ないです。 パッキャオのような選手は 自分が生きている内は もう現れないと思います。





今後は、 個人的にパッキャオのキャリアを振り返って、 あれほど機動力の幅出しと多軸に依った変則なサウスポーでありながら、 何故あれほどの強打が出せるのか … これを探っていきたいと思っています。 多軸動作的に “ 手数 ” が出せるのは合点が行くのですが、 動作的に腰を据えて溜めの作れない多軸動作中に機動力を保ったまま放つ攻撃が、 何故 全弾あれほどの “ 強打 ” になるのか … そのメカニズムは まだまだ解明されていないし、 それが体系的に技術として定着していないからパッキャオ以外にパッキャオと同じ挙動/打法を擁するボクサーが未だに現れていない … たしかに先日の五輪トップアマ達でパッキャオの如き多軸動作を擁する選手は上位陣に居たは居たのですが、 その機動力と手数に加えて強打を擁する選手は一人も居なかった ( やはり強打となると ヒズニャク のように きっちり一軸回転でセットアップする選手が中心になるのは当然な訳で … )





… まぁ逆に言えば そうした相反する要素を覆し全てを手に入れている “ 超人 ” であるからこそ、 フライ級 ~ スーパーウェルター級までの実質8階級という 俄かには信じ難い気狂いじみた偉業を達成出来る神になれたのかも知れませんが … 。 かつて木村政彦氏の強さを称えた この言葉 ↓ 唯一無二という意味でパッキャオにこそ この言葉を捧げたいと思います ↓ ↓ ↓





「 パッキャオの前にパッキャオなく、 パッキャオの後にパッキャオなし 」















〇 結果:ウガス 12R 判定勝利 3-0 ( 115-113、116-112×2 )