赤毛のアンは子どもの頃から大好きだ。にんじんから色々な本を読んだし、アニメも映画も。
何回読んでも何回観ても、最初が一番好き。
誰にも必要とされない、絶望のアンが、自分と重なってすぐに入り込める。
アンくらい想像力が有ったら良かったけど、そこまで夢見がちではなかったし、おしゃべりでもなかった。
言葉が出てこない代わりに涙が出るタイプだった。
アンくらい現実逃避は出来たけど、マシューには逢えなかった。
ずっと思っていたな。
マシューみたいな人が、身近に居てくれたら良かったのにって。
最近、ずーっと忘れていた昔のことを、急に思い出したりするから、もう死ぬのかなって思ったりして、断捨離を急いでみたりもするけど、よく考えたら全然徳を積んでないし、なんなら若い頃には、人に言えない悪いことをいっぱいしてきたので、そんなに簡単にポックリは逝けないかも知れないな。
きっと疎まれながらうっかり108歳まで生きちゃうんだろう。
何しろ煩悩がいっぱいで。
それか、苦しんで苦しんで死ぬのかな。
亡くなった妹が昔、その人の色が見える人に見てもらったら、真っ白だったんだよって、教えてくれたことがあった。
真っ白なんて、そんな人居るわけないじゃん、よっぽどお幸せでよっぽど能天気なのかって当時は思ってた。
私なら真っ黒か、どよんどよんのおどろおどろしいキッタナイ色なんだべなーとか。
恐ろしくて、そんな人には見てもらえないなって考えたりして。
でも、今思えば、妹は本当に善い子で、裏表もなくて、なんの躊躇もなく他人に手を差し伸べられる正しい人だったから、全く汚れることなく、真っ白のまま徳を積んで、さっさと逝ってしまったんだろうな。
生きているときより、毎日欠かさず花を供えて、酒を供えて、話しかけて、ずっと近くにいる気がする。
ダメなお姉ちゃんでごめんねっていつも言っている。
私は、あなたが生まれるずっと前に不幸が過ぎて、ただただ愛に飢えていて、あなたの事は羨ましくてたまらなかった。
そしてあなたのその幸せを守りたくて、自ら離れて居たんだよって。
弱くてずるいお姉ちゃんでごめんね。
姉も私に似たようなことを話してくれたことがあった。
私と姉は小さい頃生き別れて、まあそりゃーてんでに波乱万丈に生き延びたので。
で、私はちっともなんにも恨んだこともなかったし、ただただ会いたかったし、むしろそんな風に思わせてしまって申し訳ないと思っていたから、きっと妹も同じように思って天国でそんなことないよ!って言ってくれてるんだろうと思う。
人はそれぞれ、気がつかないうちに誰かを傷付けたりもするけど、自分が思うより誰かを悲しませて居なかったりもする不思議。
そんな事をよく考える。
急に寒くなって、太鼓の仕事もなくて、ぼんやり考え事をする。
そんな秋。