担任との会話。


「彼は何か嫌なことがあったときの表現が幼稚なときがありますね。あれはどうしてなんでしょうね」

「本気で伝えたいって気持ちが強くなるとコントロールが利かなくなるようですね。痛みに関しては、ちょっとはたかれたくらいでも、引っ叩かれたように痛みを感じるそうですよ。」

「ああ、それは辛いですよね。」

「コントロールきかないってことは他にもあって、彼は友達と一緒に適度に調子に乗るとか、じゃれあうというのはできないようですね。周囲は空気を読んで、さっとやめたりできても、彼はいつまでもやってしまう。」

「そういう傾向があるんだってことは分かっていても、強く注意してしまったりしていつもいつも反省しています。」

「親の私でもそうですよ。叱るのは仕方がないことです。こちらも本気で伝えようとしてのことですから。ただ、詳細はやはり感情的には伝わらないので、静かなところで落ち着いて、できれば紙に書いてやるとしっかり伝わるかもしれませんね。

そうそう、彼は行動にムラがありませんか。あるときは小5くらいの算数をスラスラ解いてみせる。あるときは簡単な足し算さえできない。これは日本語教室の先生も、卓球場でも言われていることですが、私はこれがとても気になります。」


「ああ、彼の能力を知っているからどうしてって周囲はつい思っちゃいますよね。だけど、それに関しては本人が一番辛いと思いますよ。結局、そこが生きにくさだと思うんです。頑張りたいのに頑張れない、普段できることがあるときはできないってことは辛いですよ。ヤル気を出せとか、集中しろと言われても、本当にできなくなってしまうんだからしょうがないっていうか。」


***

他にも「イヤーマフを使ったら効果があったので、イヤーマフを用意してはどうか」といった提案もいただいた。調べたらけっこう種類があった。

漢字練習帳を2学期に1度も提出していないことが判明。これから少しずつやっていって、2学期中に皆がやった分だけ追いつこうねと話し合った。

「頑張りたいのに頑張れない」「それが生きにくさ」という言葉はしみじみその通りだと思った。
まず、運動会での様子を話した。

皆が体操服&リュックで登校する中、私服&ランドセルで登校。
「皆、リュックに水筒とか入れるんだから。私が家から持っていくよ」と言っても「いらない」と拒否。
帰りもわざわざ体操服から私服に着替え、いつもと同じ自分のお気に入りの道を下校。

「集団行動の音頭も、皆が前に行く中で彼だけ後ろに下がり、皆が腕を上げる中で彼だけ手があがっていませんでした。よくこれで先生方はお叱りにならなかったなと思いました。それとも練習はしっかりやっていて、本番ではやらなかったのでしょうか」と話したところ、練習の時から「音頭をやりたくない」「皆で何かをやるのは苦手だ」と話したいたとのこと。

「彼は本当によくやっていると思います。感覚過敏なお子さんなので、このがちゃがちゃした環境はとても疲れると思います。疲れたと言ったら、学校は休ませてあげてください」と言われた。

また、カウンセラーの先生が今朝KKに会ったところ、まるで旧知の仲のような親しさで宇宙の話をうわーーーっとしてきたそうだ。分かる、分かりすぎる。
彼は自分の脳内にある、自分の興味あることを突然アウトプットする。相手が分かっていなくても、またそういう話をする空気じゃなくても、言わずにはいられない。
それが自分に好意的な相手であれば、彼は「物知りの面白いヤツ」になるし、自分に好意的ではない相手であれば「いきなり変な話をしてくるヤツ」になるのだろう。

また「彼はよく見ている」という話題も出た。
彼のクラスでよく手が出る男の子がいる。あまりに暴力が過ぎるので、親御さんが学校に来て過ごしているそうだ。だけど、KK曰く「この男の子がおとなしくなったら、別の男の子がいばるようになった」。「前よりずっと、(先生がいない時の)会話が意地悪になっている」。「先生に隠れた場所で無視されてるお友達もいる。できるだけ話しかけるようにしてるけど…可哀想」。「僕と○○が言い合いになった後、必ず××が僕を蹴ってくることに気付いた。絶対に○○が××に命令してる」など。

「あの子は分かりすぎるんです。いろんなことが分かりすぎる。だからすごく疲れると思います」とカウンセラーさんに言われ、深く頷いた。
なんだかんだ色々合って、KKを療育センターに連れて行ってからだいぶたつ。
昨年の4月に連れて行ったのだから、時の流れは早いなあとしみじみ思う。

もとより落ち着いた環境で伝えられたことは分かるが、集団の中での指示は分からないと教師に言われていたけれど、私はそれが聴覚障害のためだと理解していた。

けれども今は、それがアスペルガー特有の傾向だったことが分かる。
KKの苦しみも、努力も分かる。
心と身体がバラバラで、いくら頑張ろうとしてもどうしようもないという困惑も分かる。

昨日KKがスイミングをやめたいと私に話した。
彼が私の期待に応えるために、習い事や勉強を頑張ろうとしているのかもしれないと思い始めていたので、彼の「やめたい」という訴えは嬉しかった。
スイミングをやめた場合のデメリットや、続けた場合のメリットも伝えたが、意思は変わらなかった。

「やめたい」という自分の気持ちや希望を私にきちんと伝えられるのであれば、彼の「やりたい」も本物だ。

1月頃から寝入りばなや明け方に激しく咳き込むようになり、耳鼻咽喉科を巡った末に小児ぜんそくであることが分かった。
咳そのものも心配ではあるけれど、可哀想なのは吸う酸素量が少ない為に激しい頭痛が頻繁に起きてしまうことだ。
特別練習中に「ああ!」と頭を抑えて突然泣き出してしまうこともあった。
縄跳びも苦しさに涙を流しながら跳ぶ。
疲れやすく、練習中に地面にへたっと座ってしまう。

強くなりたいと思ったって、筋力、体力、集中力が十分になければ技術を身に付けられない。
叱られることが増え、惠達自身落ち込むことが増えた。

「あの子の強くなりたいという気持ちは理解できるけど、私自身は何も手伝ってあげることはできない。苦しんでいる我が子を目の前にして、何も助けてあげることができないのが切ない」とある方に話しているうちにこらえきれず涙がこぼれてしまった。

「当たり前じゃない。お母さんはKKを強くしてあげることはできないよ。KKは自分で強くなっていくんだから。強化はコーチに任せて、お母さんはただ傍にいてあげて。それだけで十分。」と、笑いながらその方は言った。そしてKKに向き合い「KK、お母さんはお前のために泣いているんだよ。お前はお母さんの涙を絶対に忘れてはいけないよ。お前はしんどくなると、すぐに一所懸命にラケットを振ることを諦める。それじゃいけないよ。もっと必死にやらないと。」と話した。KKは神妙な顔で聞いていたが、どこまで分かったんだか。


KKと私は話し合って、高地トレーニングを行っているのだと思うことにした。
酸素量が少ない中で、ゆっくりでいいから与えられた課題はすべてこなしていく。


現在のKK
縄跳び
前連続410回
後ろ連続100回
二重跳び2回

カット
フォア…切れるようになってきた。低い軌道を描いて台に落ち、はねてその場に停まる。
バック…切れない。距離感がつかめず、球から遠い場所に立ってラケットを振るため所謂ボールを迎えに行く状態になっている。

つっつき
基本姿勢に戻ることを気をつければフォア、バックともに切れる。

2月中に頑張りたいこと
縄跳び前連続500回
二重跳び連続5回



6時起床
母親の朝食準備中に縄跳び開始
朝食準備完了後「縄跳び連続何回跳べるかなチェック」
朝ご飯30分(時間が余れば絵本読み聞かせ)
クラブへ移動
朝練
8時登校
2時45分下校・帰宅
食事20分(最近はがっつり丼ご飯+汁物+おかず2品ほど)
宿題と好きなワークブック2ページ分
クラブへ移動
体力トレ
4時~7時15分クラブトレーニング
100%ジュースとおにぎり2個ほどを食べながら帰宅
7時45分食事(母親の二倍は食べる)
8時15分お風呂
8時45分就寝(すぐに眠れないときは読み聞かせタイム15分)


9月・10月・11月で頑張ったこと
・筋肉増量のための体力トレ
・管理栄養士の指導による食事量増加計画


12月に頑張りたいこと
・カット・ツッツキ後に基本姿勢に戻る動作
・後ろ向きにスキップ
・縄跳び後ろ飛び連続100回