EU危機と中国不動産バブル崩壊はリンクするか?


問題点整理

・財政政策(どれだけ借金をし、税金を如何に使うか)はその国の政府が責任を持ち、金融《ユーロ管理》はEUの中央銀行で統一的に行っている。

借金についてはGDPの3パーセント以内という縛りはあるが、事実上有名無実化している。


個別の国家の放漫財政の後始末をEU全体《大半はドイツ》がしなければならない構造を是正する仕組みが見えていない。


・ギリシャに10兆円以上をつぎ込み、EU全体の危機対策として82兆円以上が用意された。しかしこれは見せ金である。

これらのかなりの部分が個別の国に実際に使われる事態となれば、EU経済は2番底に向かう。

EUの枠組みも危機にさらされるであろう。使えないお金で事態が解決すれば幸いであるが。


・中国の不動産バブル崩壊は今年中に始まる様相である。中国最大の不動産業者が『完全なバブルだ』と語り、又『今年中に20パーセントの値下がりがあるだろう』という業者の発言も報道された。


政府は不動産値上がりを抑えるまで金融を引き締める姿勢を示している。(景気対策としての緩めの金融政策との矛盾)

1部地域では建物への課税《これまではなかった》も導入された。


バブルが崩壊すれば、中国富裕層と中間層上部など不動産とかかわる層の消費が冷え込むだろう。

近年、外国企業が中国を《生産拠点であるばかりでなく》市場として位置づけなおし、こぞって進出している。そこへ市場の収縮が起こる。


・各国の財政出動も息切れしてきた。出口戦略《財政出動や金融緩和による景気刺激から経済の自律回復へつなげる》を検討しなければいけない時期に、EUのひとつの爆弾は破裂し、それが鎮火しないうちに第2の中国バブル崩壊爆弾の破裂する様相である。


しかも鎮火のための水《借金による国の財政出動》も枯渇しつつある。


今年も平穏な年ではなさそうである。



経済火種顕在化。


 ギリシャなどPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)だけでなくアイルランド、東ヨーロッパが国家破綻の可能性を抱える。


問題はEUの金融と財政が統合されていないことである。

EUは国家は主権を有する形での緩やかな統合が実態である。

各国の経済的リスク回避のために財政赤字はGDPの3パーセント以内という基準を設けた。しかし昨今この基準が有名無実化してきた。


そこを市場がついた。ギリシャはグローバル化に一周遅れの状態で大きな政府を作ってしまった。


ここが同じ大きな政府でも、オランダやフィンランドとの違いである。

一周遅れを取り戻すのは、国民合意を前提としてもかなりの時間とエネルギーを必要とする。しかし25パーセントが公務員というギリシャ国民はゼネストを打とうとしている。既に死者も出た。

ポルトガル国債評価も格下げされると伝えられた。

誰がお金を出すのか。IMFとドイツ(実質上)である。ドイツ国民は近く実施される選挙で負担に反発する可能性が高い。なぜなら、ドイツが突出した負担を負わなければならないからである。




 中国不動産バブル破裂現実化へ。既に指摘してきたように中国は不動産バブル状態であり、問題はいつそれが破裂するかということが課題となっていた。

現実化のステージに入った。


根拠

①不動産取引が大都市で大幅減少。北京では4月から82パーセント減。

理由は、政府が2軒目の不動産購入の頭金を50パーセントに引き上げ、金利も引き上げた。北京などは別途に実質上2軒目の購入を認めない措置をしているという。


②中国銀行が自己資本積み増し。

将来の不良債権処理に備えてであると言われている。

政府(共産党)の指示で、景気刺激策として緩めの融資が半ば強制されてきた。

そのかなりの部分が不良債権化する可能性が高いということである。


③5月5日の上海株式市場は昨年9月以来の安値を付けた。

世界の経済機関車の故障である。



以上の状況を受けて市場は敏感に反応しつつある。

中国の不動産バブルの崩壊は多くの貸し倒れをうみ、金融機関の貸しはがし、貸し渋りを生み出す。結果として金融機関の企業融資活動の足かせとなる。日本が経験してきた悪循環の始まりである。


世界の第1機関車(中国)の失速により、世界景気は決定的影響を受ける。中国の不動産バブルを消化するまで(織り込むまで)株価は下げる。





はっきりさせましょう。


現在の日本の選択肢は一つしかない。

政府事業のムダの排除(事業仕分けが着手)とサービス、空港、港湾利用の高コスト構造等の改革、規制緩和、官から民へ、国から地方へという形で筋肉質の日本への改造を少なくとも3年でメドを付けなければ1000兆円の国債時限爆弾が起動する可能性が高い。


日本の個人資産は1400兆円といわれるが高齢化に伴い急激に縮小する。

さらに国債の信用に疑問符がつけば国内資金は外国へ向かう(キャピタルフライト)。1400兆円までは国債が発行できると思ったら大間違いである。


猶予は長くても3年である。


したがって日本丸をアメリカ型の自由競争の徹底した社会にするか、北欧型の福祉社会を目指すかは現在の課題ではない。


日本は先進国の中で一周遅れなのである。

筋肉質国家を作った後に上記の問いが現実的に俎上に上る。


民主党の先生方もその辺が分かっておられないようで対応がちぐはぐになっている。


必要なことは筋肉質体質を妨害するものは蹴散らしてでも進むしかないのである。

時間がないのである。

そんな認識を何人の先生が持っておらられるのだろうか。


本がずぶずぶと沈んでいくという実感は、上記のような処方箋にもとづく対応が進まず迷走しているからである。


民主党まだ利権に染まっていないのだから、是非是非現状を正確に把握して対応をお願いしたい。


まずはK切りからはじめるべきである。


最後は歴史の風を背にした勢力が力を持つ。しかしそれが破綻に間にあうかどうかは国民の力量で決まるということだろう。


破綻を選ぶのも国民自身である。