ラストです。
2016-17シーズン、西日本大会は京都アクアリーナでありました。
SPは「タンゴ・デ・ロス・エクシラドス」。日野龍樹くんに次いでの2位通過でした。3Aクリーンがすばらしかったですが、それ以上に3Lo3Tの高さ幅がすばらしかったです。その素晴らしさから、会場内ですれ違った星くんに思わず声をかけたほどでした。
思わず、と言うのは、選手にはなるべくコンペが終わるまで声をかけないようにしよう、とその当時は思っていました。でも、良かったものは良かった、と伝えてもいいのかな?と思い、一言、「ショートの演技、すばらしかったです!」と伝えました。見ず知らずの私から声をかけられて面食らったと思うのですが、「ありがとうございます!」と笑顔で答えてもらいました。これが、星くんと話した最初だったと思います。
そして、翌日のFSはタニス・ベルビン振付の「ミッション」。この目で見るのは初めてだったのですが、リンクを大きく使うスケーティング、そして、ミッションの曲に身を委寝るかのように滑り、その滑りの中にとけ込むようにジャンプがある、そんな印象でした。ただ、ジャンプは調子が良くなかったので、FSは4位。でも、総合2位になりました。

表彰式は、望遠を思いっきり使いました(苦笑)
表彰式の場所は、柵があって隔離されていました。そして、横向き。これが精一杯でした。はっきり言って、まともな写真が一つもないです( ̄▽ ̄;)

表彰式後、3人は表彰式を見ていた人たちに向かって、深々とお辞儀をしました。
周囲の喧噪の中で言葉は聞こえなくても、3人の感謝の気持ちが伝わってきました。
そして、全日本2016は大阪の東和薬品RACTABドーム(旧なみはやドーム)であり、星くんはSP13位、FS12位、総合11位でした。SPは3Lo3Tが2Loでノーカン。出遅れました。FSはジャンプの構成を西日本より上げてきました。しかし、後半の3Loと3Fでfall。テクニカルが伸び悩みました。
実はこの頃、私は星くんのことでとても気になることがありました。
それは、ユニバーシアード2017の派遣でした。
このシーズンのはじめに、星くんはCSのスポーツ専門チャンネルJスポーツで放送されていた「KENJIの部屋」に出演しました。
振付師の宮本賢二先生からはいくつかプログラムを振り付けてもらっていた星くん。コーチである中庭健介先生の回に出演した際に星くんの回も決定し、全2回放送されました。
今でも、Jスポーツのサイトには、その回の詳細が残されています↓
【フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋】川原星選手エピソード1
【フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋】川原星選手エピソード2
その中で、今季の目標として、ユニバーシアードの出場と全日本8位以内(入賞)を掲げていたからです。
全日本後、ユニバーシアードの出場の公式発表を待っていましたが、なかなか発表されません・・・そこで、インカレには出場する星くんに、これは直接聞いてみたいな、と思いました。
インカレ2017は、北海道の苫小牧で開催されました。冬の北海道は何度か行ったことがありますが、苫小牧は初めてでした。
星くんはSP3位、FS12位で総合7位に入賞しました。SPの3Lo3Tの鋭さは今でも忘れられません。キレキレですごくかっこよかったのです。その一方でFSは、あららら・・・だったのですが。
男子の表彰式が終わりましたが、いかんせん、一度も話したことがなかったので、なかなか声をかけられませんでした。そして、星くんがロッカーへ戻るタイミングで勇気を出して声をかけてみました。そしたら、穏やかに初対面(?)の私に対応してくれました。
今でこそ書きますが、その時にユニバーシアードの出場は決まっていたことを教えても貰いました。私自身は、嬉しい、というより、ホッとした気持ちになりました。星くんの実力的には、ユニバーシアードの派遣は不思議ではなかったので、やっと聞けた、という安堵感があったことを覚えています。だから、「ああ、良かった!」と何度星くんに言ったでしょう。ただ、JOCの公式発表がその時点でもまだなかったので、私も当時の記事には一切書きませんでした。試合後の緊張感がほどけた状態だったのか、いろいろな話をさせてもらいました。その中に、SPの変更の話もありました。実は、私はその時のSP「タンゴ・デ・ロス・エクシラドス」がすごく好きで、いつも書いているのですが、StSqの音に合わせてトゥを突くところが特に好きなのです。ですから、2年間見せてもらったことはすごく嬉しかったのですが、今回が見納めだったのか・・・と思っていたら、思いがけず、スケヒロに出ることを教えて貰いました。となると、そこが「タンゴ・デ・ロス・エクシラドス」の最後・・・?ということで、スケヒロに行くことにしたのです。

インカレの記事でも上げたお写真ですが、再掲します。
その後、スケヒロ、そして2017-18シーズンに入ってからは飯塚杯2017、西日本2017、全日本2017、インカレ2018軽井沢、やまなし国体2018、福岡市民大会2018、全九州2018、と星くんを見に行く機会に恵まれました。
中でも、全日本2017武蔵野の森はSPが傑作でした。こちらはTVでも放映されたので見た方も多かったと思います。私は現地のショートサイドで見ましたが、3A、3Lo3T、3Lz、ジャンプは全てクリーンに見えました。スピンのレベル良し、StSqの音ハメ良く、すごく粋。片手のガッツ、ガッツ!で星くんも会心の演技だったのかな、と思いました。SP11位、FS14位の総合12位。星くんは、全日本の終了をもって引退を自らのtwitterで表明しました↓
https://twitter.com/seeei_1217/status/945208500468178954
今までの記事は、私がこれまで星くんに対して、その時その時に思っていたことを綴ってきました。こうやって遡ってみると、ただ1人のスケーターなのに、たくさんの思いをもって見てきたことに、自分のことながら驚いています。
そして、引退表明に寂しさを感じながらも、なぜか、私は、星くんに一種の煌めきのようなものを感じずにはいられませんでした。
こう言うと、異論をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、星くんが10歳でスケート始めてからずっと順風満帆だったか、と言えば、そうとは言いきれません。ケガなどで辛い時期もありました。ISUのチャンピオンシップに出場するために努力し続けたけどその思い叶わず、でもありました。
でも、やはり、他の人にはない経験を、星くんはしているのではないのだろうか、と思うのです。
ISUのGPシリーズのスケカナ2015にアサインしたこと、2年に1度のユニバーシアードに派遣されたこと、「KENJIの部屋」に出演したこと、台湾のナショナルのEXにゲストとして呼ばれたこと、PIW2016大分公演に出演したこと、倉敷ファン感には第1回からゲスト出演していること。ちょっといろいろ盛り込みすぎって言われそうだけど(苦笑)これらのことは、することを願っていても容易に出来ることではないと思うのです。
もって生まれた星の運命。ちょっとキザな言い方ですが、そのようなものすら感じるのです。
運も実力、と言いますからね。
そして、おそらく、スケートの実力だけではない、星くんの魅力もあるのではないだろうか、と思います。
全九州の時、私は、実は星くんに手紙と花束と気持ちばかりのお土産を持って行ってました。
しかし、競技が全部終わるまで私は会場にはいられませんでした。飛行機のお米県直行便のフライト時刻が全九州の終了より早かったからです。ですから、受付に預けることにしました。受付に預ける前に付箋に星くんの名前を書いていたら、その受付の奥の控え室から星くんが歩いてきました。競技の前だったので、私は声をかけるつもりはありませんでした。集中しているならその邪魔にならないようにそーっとして静かにしていようと思いましたし、気づかれたら軽く会釈をするぐらいに考えていました。荷物があったので場所は動くに動けなかったのですが。そんなことを考えながら、ボーッと顔を上げていたら、星くんの方から「こんにちは!」と声をかけてくれました。あわわ、声をかけられるなんて想定外。慌ててこちらも「こんにちはw」と返しましたが、その穏やかな笑顔は今でも覚えています。競技前なのに申し訳ないなぁ、と思いましたが、正直言えば少し嬉しかったです(*゚ー゚)ゞ
そして、こういう親しみやすさが、星くんの魅力なのかな、とも思ったのです。
手紙などを受付に預けた後、星くんの引退セレモニーとエキシビションが場内アナウンスされました。そして、花束を持ってきている人はリンクサイドに行けることも。
ああ・・・・・・!私も持ってきていたのにな・・・・・・少し心の中で泣きました(笑)
そして、その1週間後には、有志による星くんの引退記念パーティーも開かれました。親しい人たちだけのパーティーかと思っていたら、ファンの人も参加できるという・・・これはファンにとっては嬉しいですよね。星くんのInstagramにその時のことがアップされていました。
引退セレモニーや引退記念パーティーの様子やお写真を見たり聞いたりするたびに、本当に、星くんは愛されているなぁ、とすごく感じました。
でも、愛されるのも、なんとなくわかる気がしました( ´ ▽ ` )
私の星くん引退記事はこれで終わりです。
4回シリーズになるとは思ってもいませんでした。
刷り込み[0318 川原星くん引退①]
赤い袖口と、新潟のリンク[0318 川原星くん引退②]
サイドバイサイドの4回転[0318 川原星くん引退③]
でも、自分でも、とても充実した気持ちで書いていました。
そして、この記事が書いたことによって、次は真央ちゃんツアー新潟のことについて書けるかな、と思っています。
もちろん、そこにはプロスケーター川原星くんのことについても書こうと思っています。



Thanks!Mr.Sei Kawahara.
SeeYou!
未鳥