「まったくお前等は、実力がある程度わかった時点で止める事が出来んのか?まず、犬千代!!アンタね、途中からムキになって、我を忘れてたでしょ?しかも負けるし。次、樹!!アンタ、何フラフラになるまで戦ってるのよ?今から任務なのよ?頭悪いでしょ?」と陽炎の的確な指摘が飛ぶ。犬千代は納得しなかったらしく「んな、負けてね・・・」犬千代が言い切る前に陽炎がピシャリと「黙れ!!負け犬!!」犬千代はショックを受けている様子だった。「ま、負けてねぇょぉ・・・。」とごにょごにょ言い続けていた。


 その後、陽炎から任務の説明を受けた。今回の任務は『ある盗賊を全滅させること』らしい。二つ山を越えた里に行くらしい。伊賀の国主より報酬が出る故、里の貴重な収入源となる。今回の任務は少数精鋭での任務らしい。俺は『精鋭』と呼ばれたことで少々浮かれている俺に陽炎は釘をさすようにこう言い放った『決して浮かれるな。盗賊団はともかく、そいつらの頭はおそらくこの里の抜け忍がやっているとの噂も流布されておる。気をつけろ。』


 その日のうちに山を二つ越え、日が暮れる前に眠りに付いた。そして2,3時頃、俺たちは任務を執行することになる。里に降りてからは花能力である『超聴力・超視力』を駆使し、夜が明けるまでにアジトを突き止めた。


 「1、2の、3!!」陽炎の合図で俺らは盗賊のアジトの塀を越えて潜入する。見張りが二人いたが、花の手裏剣で一瞬にして事切れた様子だった。人が死んだにもかかわらず、俺の動揺は少なかった。


 そして俺らはアジトへと潜入することになる。しかし、そこはもぬけの殻であった。俺らが急いで外に出たときにはときすでに遅し。日本刀で武装した集団が俺らを囲んでいたその数約50人。「くそ」陽炎が小さく歯軋りをし、こう続ける「犬千代、花、樹。好きなだけ暴れろ。」


 「へへ、面白れぇ、やってやんよ。」犬千代はニヤリと微笑み、上を脱ぎ『狼男』となる。敵の大群に襲い掛かろうとする犬千代を俺は止める。「おい、犬千代、良い策がある。もちろんお前主体で俺は補助だ。乗ってみねぇか?」狼男はニヤリとしながら「へへっ、お前の策と俺の力か!!やってやるよ!!」そして俺は「犬千代、行くぞ、目ぇ瞑れ!!」俺と犬千代の『策』が炸裂することとなる。

 犬千代はもう眼前に迫り、その鋭い爪を振り下ろした。しかし、その爪は俺に届かなかった。彼は俺を眼前にして転倒したのだ。「何、す、滑りやがった!!」犬千代は自分が転倒した地点に目をやった。彼は確かに見た、そこに『氷』が張ってあるのを。「な、なんでこんな所に氷が?」と犬千代は独り言のようにつぶやく。俺は「おいおい、そんなところにも氷がついてるぜ?」というと、犬千代は辺りを見渡す。彼は見つけた、灯台下暗しとはまさにこのことだろう。体の半分が、じぶんが転がっている地面と氷で繋がっていた。


 これが俺の奥の手だった。『氷』俺の水遁の一段階上のようなものだ。巨大な水球はあくまで『フェイク』つまり、『巨大な水球が俺の奥の手である』と犬千代に思わせるための。真の水球の意味は一帯を水浸しにすることであった。結果は見ての通り、犬千代の動きを止めたのであった。

 

 俺は水で棒のようなものを作り、凍結した。つまりこれは『氷の刃』だ。犬千代に『それ』を突きつけ、俺はこう叫ぶ「おい、これでも俺はお荷物かよ?」犬千代はこう返す「強いじゃねえか、全然凄えよ!!」俺は犬千代に手を差し出し、犬千代はその手を取ろうとする。その瞬間俺と犬千代の顔面に鉄拳が入る。そのまま二人は逆方向に2,3m飛んだであろう。


 「お、おい、なにすんっすか、陽炎さん?結構今良いとこだったでしょ?友情芽生えそうだったじゃん?」犬千代も続く「そうだ、なんで殴るんだよ!!」陽炎は俺と犬千代を軽く睨む。俺と犬千代が縮み上がる中、陽炎は「限度というものがあるだろ?」と静かに口にし、俺ら二人を正座させる。そして恐怖のお説教タイムの幕開けとなる・・・・・・。

 俺が今対峙しているのはまさに『狼男』だった。変化した犬千代の速度には歯が立たなかった。後の前をあわせることも出来ず、狼の爪牙をぎりぎり芯を外すことしか出来なかった。もうおそらく俺には『奥の手』しかなかった。


 「おいおい、お荷物さんよぉ、その程度か?俺の攻撃をよけ切れてないぞ!!反撃しないのか?」俺は反撃しないのではなく、反撃が出来ないのであったそう、『反撃をするために』そして、俺の手元にある水球にありったけの力をこめていた。ころあいを見て俺は上空へ飛ぶ。「よぉく見ろよ、コレが俺の奥の手だよ!!」俺の手元の水球は半径1,5mほどになっていた。「ここまででかい水球だと、いくら狼でもぺちゃんこだぜ?」そうして俺は水球を下に放つ。『ボゴ』と地面をえぐる。


 「やるじゃねぇかよ!!俺の脚じゃないと避けらんなかったぜ。」びしょびしょになった犬千代は息を切らせながら言う。そして「これで俺の勝ちだな」と言いながら俺に対して走ってくる。犬千代は爪を立て、今にも俺に対し振りぬこうとしている。俺には避ける体力はなかった。犬千代の爪が今振り下ろされようとしている。