俺が今対峙しているのはまさに『狼男』だった。変化した犬千代の速度には歯が立たなかった。後の前をあわせることも出来ず、狼の爪牙をぎりぎり芯を外すことしか出来なかった。もうおそらく俺には『奥の手』しかなかった。
「おいおい、お荷物さんよぉ、その程度か?俺の攻撃をよけ切れてないぞ!!反撃しないのか?」俺は反撃しないのではなく、反撃が出来ないのであったそう、『反撃をするために』そして、俺の手元にある水球にありったけの力をこめていた。ころあいを見て俺は上空へ飛ぶ。「よぉく見ろよ、コレが俺の奥の手だよ!!」俺の手元の水球は半径1,5mほどになっていた。「ここまででかい水球だと、いくら狼でもぺちゃんこだぜ?」そうして俺は水球を下に放つ。『ボゴ』と地面をえぐる。
「やるじゃねぇかよ!!俺の脚じゃないと避けらんなかったぜ。」びしょびしょになった犬千代は息を切らせながら言う。そして「これで俺の勝ちだな」と言いながら俺に対して走ってくる。犬千代は爪を立て、今にも俺に対し振りぬこうとしている。俺には避ける体力はなかった。犬千代の爪が今振り下ろされようとしている。