犬千代はもう眼前に迫り、その鋭い爪を振り下ろした。しかし、その爪は俺に届かなかった。彼は俺を眼前にして転倒したのだ。「何、す、滑りやがった!!」犬千代は自分が転倒した地点に目をやった。彼は確かに見た、そこに『氷』が張ってあるのを。「な、なんでこんな所に氷が?」と犬千代は独り言のようにつぶやく。俺は「おいおい、そんなところにも氷がついてるぜ?」というと、犬千代は辺りを見渡す。彼は見つけた、灯台下暗しとはまさにこのことだろう。体の半分が、じぶんが転がっている地面と氷で繋がっていた。


 これが俺の奥の手だった。『氷』俺の水遁の一段階上のようなものだ。巨大な水球はあくまで『フェイク』つまり、『巨大な水球が俺の奥の手である』と犬千代に思わせるための。真の水球の意味は一帯を水浸しにすることであった。結果は見ての通り、犬千代の動きを止めたのであった。

 

 俺は水で棒のようなものを作り、凍結した。つまりこれは『氷の刃』だ。犬千代に『それ』を突きつけ、俺はこう叫ぶ「おい、これでも俺はお荷物かよ?」犬千代はこう返す「強いじゃねえか、全然凄えよ!!」俺は犬千代に手を差し出し、犬千代はその手を取ろうとする。その瞬間俺と犬千代の顔面に鉄拳が入る。そのまま二人は逆方向に2,3m飛んだであろう。


 「お、おい、なにすんっすか、陽炎さん?結構今良いとこだったでしょ?友情芽生えそうだったじゃん?」犬千代も続く「そうだ、なんで殴るんだよ!!」陽炎は俺と犬千代を軽く睨む。俺と犬千代が縮み上がる中、陽炎は「限度というものがあるだろ?」と静かに口にし、俺ら二人を正座させる。そして恐怖のお説教タイムの幕開けとなる・・・・・・。