空を裂いた閃光は、丈太郎の罠にてがんじがらめにされた白の元に落ちた。「んー、これが効かないんだなぁ・・・。もしコレが奥の手だったら、貴方が僕に勝つ可能性は皆無ですよ♪」にこやかに言い放つ白を見て、丈太郎は恐怖を覚える。「お、俺の最高傑作をこうも簡単に破るなんて・・・・。」


 腰を抜かした丈太郎に白はゆっくりと歩みを進める。その瞬間丈太郎はとっさに口から糸を吹きかけるものの白は手に電気を纏わせ、一瞬にして糸を焼き切る。その動作の一瞬の隙をつき、丈太郎は周りの木の間に張り巡らせてあった弾力性のある糸に飛び乗り、上へ、上へと逃れていく。白はその様子を見上げ。「跳ねよ、雷、奴の動きを止めてみせよ。」とつぶやく。


 白の足元より電流いくつかが固形化して現れる。それらはまるで生き物であるかのように木と木の間あいだを跳ね上がり、丈太郎を捕らえる。「グヘッ!」と言った丈太郎は上空で一瞬制止する。「落ちろ、雷。」白がそういった瞬間、雷刃が丈太郎に突き刺さる。


 上空で雷に打たれた丈太郎は感電し体を痙攣させる。彼は煙を上げて地面へと落ちていった。気絶した丈太郎の首から白は首飾りを剥ぎ取る。これによって樹の組は2人目の失格者となる。「多分、さっきの轟音は風雅だから、これで2人の差だね。」そういって白はその場を後にした。


 その頃、犬千代と花の前には京香の姿があった。「花、下がってくれ。どうしてもコイツは俺が倒す。善鬼のときの俺の力、あの謎を姉ちゃんに聞かないといかねぇ。姉ちゃんなら知ってるはずだ。」そういって犬千代は花を下がらせた。「あらあら、見ないうちに男らしい振る舞いが出来る様になったじゃないの。」と京香は犬千代に微笑みかける。


 京香は背負った袋より、二匹の動物を取り出す。小さな虎と鷲で、ミーミーと可愛らしい声を上げている。その二匹は光に包まれ京香の胸元に入っていく。すると、京香の腕と足より黄色と黒の体毛と鋭い爪が生え、背中には大きな羽が生えた。「そう、これが大野家の力。動物たちの力を借りるの。でも、貴方の能力は別のものよ。私が知っている限りの事は教えてあげる。ただし、私に勝てたらね。」そういって『二人の獣』の戦いが始まる。 現状【5対7】

 向こうの方でしていた轟音が静まった。決着が付いたのであろう。天理 丈太郎は我関せずと言う様子で座り込んでいた。彼の戦いは後を制することに真髄を置く。彼の能力が、口より硬質や粘質などの様々な糸を吐くことであり、吐いた糸を自分の周りに張り巡らせ、かかった獲物を仕留めるという先方が彼の定石であった。


 「きゃん!」という女の声が聞こえ、罠を張ったところまで重い腰を上げて確認へと急ぐ。案の定、敵が捕まっていた。丈太郎は「ぐへへ・・。」と下品な笑いを浮かべ、自分の罠に捕まった相手のくの一、お宮を見つめる。お宮は「不覚・・。」と言い、体をジタバタさせるが、より深く絡まるだけで逆効果であった。「おおっと、それ以上動くと他の罠も発動しちまうぜ?」と丈太郎は忠告するがお宮はかまわずもがき続ける。『ガコン』と音が鳴り、硬質化されて槍の様になった糸がお宮の肩を貫く。「ぎあっ」短く叫ぶお宮に対し丈太郎は「お前の負けじゃ、グフフフ・・・・。」と、首飾りに手をかけようとした瞬間、お宮の口から刃物が飛び出し、丈太郎は手の甲を貫かれる。


  「無様じゃな。それは私の傀儡じゃ」罠の外よりお宮が声をかける。しかし丈太郎は強気に「おぬしはソレを絡め取られ、戦う術を持たん、それ以前にここに入っこれんだろ?」と笑ってみせる。


 「それがそーでもないんだよ、僕ならコレくらいは余裕に解除できますよ。」と、綺麗な顔をした雷堂 白が丈太郎の後ろに歩いてやったきた。もちろん、後方にも罠を張り巡らしたはずだ。こんな若い男がかすり傷一つなしに罠を抜けてきたと言うのか。信じ難いという気持ちを胸に丈太郎は左手の小指をくいと曲げる。


 白に一本の糸がつく。その瞬間、おびただしい量の糸が白へと纏わり付き、絡まっていく。白は何もする事が出来ぬままに絡め取られてしまった。「伊賀の雷神もこの程度じゃなぁ・・・。」と丈太郎が高笑いをあげた瞬間。一筋の閃光が空を裂いた。

 敵組の頭である御手洗風雅はただ一人風に乗って森を進んでいた。すると『ヒュン』と言う風を切る音が聞こえて風雅は静止した。彼の眼前を通り『かまいたち』が地面に喰らいつく。風雅は空を見上げる、そこにいるのは羽を生やし、槍を握った一体の天狗。その天狗はゆっくりと口を開いた。


 「轟 隼人だ。会いたかったぞ風雅。俺が真の風使いだと言うことを教えてやる。」という隼人に対して「ふざけるな、羽があるだけじゃ、羽からかまいたちを作れるぐらいじゃ、風邪使いとは言えねぇ・・・・。見せてやるよ『本物』の力をな・・。」


 風雅は一瞬にして上空に舞い上がり、隼人との距離をつめる。隼人がやりにて突きを放つが、紙一重のところで風雅はよける。そして風雅が左手を前にかざした瞬間、早との腹部に衝撃が走る、『衝撃波』だ。一瞬よろめいた隼人に、風雅は空中で一回転し、右足を隼人の後頭部に打ちつける、「ガッ」隼人がたじろぐ間も無く風雅は右に左に拳を放つ。


 満身創痍となりながらも隼人は風雅の着物の襟を掴み地面へと向け力いっぱい投げつけ、落下する風雅に対し全力で羽を羽ばたかせかまいたちの連撃を放つ。彼のしたらへんの森の一体は、無残にも切り刻まれていた。「流石の風雅もここまでやればいきておるまい・・・。」と安堵のため息をついたのも束の間、「おい、殺しは無しだというのを聞いてなかったか?まぁ、偽者が本物を殺すのは無理だがな。」と冷ややかな声が背中で聞こえる。


 背中の声は「かまいたち・・・。」と自分が慣れ親しんだ技の名を口にする。その瞬間、背中に激痛が走り、彼の意識はそこで途絶えた。地面に落ちた無残な天狗の首に風雅は手をかけ、首飾りをちぎり取る。現状【6対7】