ねぇ ちょっと座りなさい

その本
今日も読み込んでたでしょ

どうしたの?

……え?
あぁそうか

毎日
育児書を開いて
必死に正解を探してるのね

ここはどう声をかける
これはやっちゃダメ
この時期はこうあるべき

ちゃんと読んで
守ろうとしてる

ほんと
よく頑張ってるわ

---
 達磨さんの話 聞いてもらえる?

禅の世界に
達磨さんが遺した

こんな言葉があるの

教外別伝
きょうげべつでん
 

意味はね

本当に大事なことは
教科書やマニュアルには書いていない
心から心へ直接 伝わるものなんだ
ってこと

---

今のあなたにとっての 教科書は 育児書よね

でも
目の前にいるお子さんは
世界にたった一人

誰かが書いた
「平均的な正解」に
当てはまらないのは

むしろ当たり前で
その子がちゃんと意思を持って
生きている証拠

---

育児書どおりに いかない時ね

「こうすれば泣き止む」
って書いてあるのに泣き止まない

それ 失敗じゃない

今のあの子にとっての正解が
そこになかっただけ

正解はね育児書の中じゃなくて

* あの子の瞳
* 繋いだ手の温かさ
* 抱き上げた時の重さ
* そして あなたの直感

その中にちゃんとあるの

---
 文字情報を ちょっと横に置いてみて

一回本を閉じて

ただ目の前の子を
まっすぐ見てみて

言葉にならない
「あ 今は
こうしてほしいんだな」

その感覚 それが
直指人心
 

言葉を超えて心を見るってこと

そして
あなたとあの子だけに
通じる感覚

それが
以心伝心

どんな専門家の言葉より
今はそれが正解よ

---

あなたは
「立派な母親マニュアル」を
完コピする修行をしてるんじゃない

あの子と二人で
言葉を超えた絆を
作ってる最中


迷うのは
ちゃんと向き合ってる証拠

---

分からない日が
あっていい

自信なくなる日が
あっていい

あなたからは もう伝えてる

これでも食べて 元気出しなさい

 

 

あなたの子は

マニュアルの外で
ちゃんと育ってるから

--------------------------------------

達磨大師(だるまたいし)は

 

5-6世紀頃のインド出身の僧侶で

 

中国禅宗の初祖とされています

 

南インドの王子として生まれ

 

仏教を学んだ後に中国へ渡りました

 

少林寺で9年間壁に向かって

 

坐禅を続けたという伝説で知られ

 

「面壁九年」の逸話は有名です

 

「不立文字(文字や言葉に頼らず)

 

教外別伝(直接心から心へ伝える)」

 

という禅の核心を示しました

 

その教えは日本にも伝わり

 

禅宗の基礎となりました

 

赤い衣と鋭い眼光の「だるま」として

 

今も日本文化に親しまれています

 

 

なんだか

この世の終わりみたいな顔をして
どうしたの?

……え?
あぁ
そうか

インフルエンサーやってて

炎上しちゃってから
フォロワーの数が一気に減って

今後どうやっていったらいいのか

分からなくて って感じなんだ

---
今もめっちゃフォロワーがいる

良寛さんの話 聞く?

昔ね本当に ほんっとうに
何も持たずに
生きてたお坊さんがいたの

**良寛**

その人が
こんな歌を残してる

盗人に取り残されし窓の月

---
この歌の意味はね

 

良寛さんが寝てると

家に盗人が入って来たんだけど
何にもなさ過ぎて 引いてたのね

寝たふりしながら

「あ 盗人引いてんな 

手ぶらで帰すのもアレだな」

と思った良寛さんは

 

寝返りを打って 布団を盗みやすく

してあげたの

盗人は布団を盗んで出て行った

 

家には本当に何にも無くなった

いや待てよ 窓を見ると大きな月

 

盗人も月までは盗めず

残してくれていったのぅ

ありがたいことだ

 

そんな気持ちを歌ったの

 

つまり

失ったものばかり
見がちだけど

残っているものも
ちゃんとある

って話

---

あなたにとっての

「窓の月」って何だろう

まだ無名の頃から支えてくれて

「失望しました」とか言わずに

いまでも残って励ましてくれる

濃いフォロワー?

 

あなたが生まれた時から

支えてくれている家族?

 

いや もっと単純に

* つらい中でもクスッと笑えたこと
* 気づいたら聴いてる好きな曲
* 飲み物のあたたかさ

数字にならない
ものでも人でもない

あって当たり前すぎて

気に留めたこともなかった

ずっとあなたの中にあって

なくならないもの 減らないもの

 

そんな「窓の月」に今は

甘えて支えてもらいなさい  

見えない月は
ちゃんとあなたを照らしてる
---

今日はね
スマホをそっと伏せて
これでも食べて 元気出しなさい

牛乳との相性バツグンよ

 

 


盗まれてないものに
気づけたら
今日はもう十分よ

--------------------------------------

良寛(1758-1831)は

 

江戸時代後期の曹洞宗の僧で

 

詩人・書家としても知られています

 

越後(新潟県)の名主の家に生まれ

 

18歳で出家しました

 

厳しい修行を経て悟りを開きましたが

 

寺を持たず生涯托鉢で暮らしました

 

粗末な庵で清貧の生活を送りながら

 

子どもたちと手まりをついて

 

遊ぶ姿で親しまれました

 

漢詩や和歌に優れ

 

自然体で飾らない書は

 

「良寛様」と呼ばれ

 

今も多くの人を魅了しています

 

晩年は尼僧・貞心尼と心を通わせ

 

美しい歌のやりとりを残しました

 

欲を持たず自然のままに生きる姿は

 

「無欲の聖者」として

 

今も尊敬されています

 

 

ねぇ ちょっと座りなさい

そのノート
ぎゅって抱えてるのね

どうしたの?

……え?
あぁそうか

テストの点 思ったより
よくなかったのね

クラスのできる子と比べて
自分だけダメに見えちゃった

「私 全然だめだ」って思っちゃった顔

---

昔ね
字もあまり読めなくて
勉強も得意じゃなかった
慧能さんというお坊さんがいたの

その人が
はっきり言った言葉がこれ

本来無一物

ほんらいむいちもつ
---

これ 今の言葉にすると こういう意味

生まれたときあなたは

点数も成績も順位も
持ってなかった

でもそれで
困ってなかった

つまりね

最初からあなたは
何も足りないわけじゃない


---
テストってね
今の一部分だけ
切り取って見るものなの

今日の集中
今日の気分
今日の体調

それ全部
乗ってくる

だから
点数はあなた全部じゃない

---

慧能さんが 言いたかったことって

人は何かを持ってるから
大事なんじゃない

できるからえらいんじゃない

ここにいる
それで
もう十分だってこと


---
できる子に
気を取られちゃう日はある

比べちゃう日もある

でもね
あなたの良さはテスト用紙に
書ききれない

笑い方 考え方 好きなこと

全部点数じゃ
測れないの

---
今日はね
点数の話しなくていい

これでも食べて 元気出しなさい

遊べておいしいお菓子で元気を回復しましょ

 

明日も
あなたはあなたのままで
学校に行けばいい

それで花丸よ

--------------------------------------

慧能禅師(えのうぜんじ 638-713)は

 

中国禅宗の第六祖で

 

禅宗史上最も重要な人物の一人です

 

貧しい薪売りの出身で文字が読めませんでしたが

 

『金剛経』を聞いて悟りを開きました

 

第五祖弘忍のもとで修行し

 

「本来無一物」という偈で深い悟りを示して

 

後継者に選ばれました

 

「頓悟(とんご)」つまり悟りは一瞬で開けると説き

 

南宗禅の祖となりました

 

その教えは『六祖壇経』にまとめられ

 

後の禅宗に決定的な影響を与えました

 

日本の禅宗も慧能の系統を受け継いでいます