ねぇ ちょっと座りなさい

そのノート
ぎゅって抱えてるのね

どうしたの?

……え?
あぁそうか

テストの点 思ったより
よくなかったのね

クラスのできる子と比べて
自分だけダメに見えちゃった

「私 全然だめだ」って思っちゃった顔

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昔ね
字もあまり読めなくて
勉強も得意じゃなかった
慧能さんというお坊さんがいたの

その人が
はっきり言った言葉がこれ

本来無一物

ほんらいむいちもつ
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これ 今の言葉にすると こういう意味

生まれたときあなたは

点数も成績も順位も
持ってなかった

でもそれで
困ってなかった

つまりね

最初からあなたは
何も足りないわけじゃない


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テストってね
今の一部分だけ
切り取って見るものなの

今日の集中
今日の気分
今日の体調

それ全部
乗ってくる

だから
点数はあなた全部じゃない

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慧能さんが 言いたかったことって

人は何かを持ってるから
大事なんじゃない

できるからえらいんじゃない

ここにいる
それで
もう十分だってこと


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できる子に
気を取られちゃう日はある

比べちゃう日もある

でもね
あなたの良さはテスト用紙に
書ききれない

笑い方 考え方 好きなこと

全部点数じゃ
測れないの

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今日はね
点数の話しなくていい

これでも食べて 元気出しなさい

遊べておいしいお菓子で元気を回復しましょ

 

明日も
あなたはあなたのままで
学校に行けばいい

それで花丸よ

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慧能禅師(えのうぜんじ 638-713)は

 

中国禅宗の第六祖で

 

禅宗史上最も重要な人物の一人です

 

貧しい薪売りの出身で文字が読めませんでしたが

 

『金剛経』を聞いて悟りを開きました

 

第五祖弘忍のもとで修行し

 

「本来無一物」という偈で深い悟りを示して

 

後継者に選ばれました

 

「頓悟(とんご)」つまり悟りは一瞬で開けると説き

 

南宗禅の祖となりました

 

その教えは『六祖壇経』にまとめられ

 

後の禅宗に決定的な影響を与えました

 

日本の禅宗も慧能の系統を受け継いでいます