巨大ロボット読本 (宝島社文庫)
648円
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2003年5月9日第1刷発行
少年の心をガッチリつかんだ巨大ロボットたち!かつて少年たちは、リモコン操縦次第で悪にもなる鉄人28号に憧れ、マジンガーZでは機体に乗り込みスーパーロボと一体化。ガンダムとパトレイバーで、リアルロボはついに量産化される。そして世紀末に登場した、エヴァンゲリオンで意志を持つまでになってしまった。ロボットは巨大化し、やがて神になる。奇想天外、進化の歴史を徹底考察。
第1部 巨大ロボットの黎明(鉄人28号)
第2部 巨大ロボット・武装闘争史(マジンガーZ、グレート・マジンガー
ゲッターロボ)
第3部 モビルスーツ創世紀(機動戦士ガンダム)
第4部 巨大ロボット経済原論(機動警察パトレイバー)
第5部 巨大ロボット神化論(新世紀エヴァンゲリオン)
この本は面白かった。
ロボットの歴史から経済学を論じることができる。
このことに気づき、さらに経済の面から解説できる「空想科学漫画研究所」ってすごい!
特に面白いのはガンダムだ。
(画像は、壁紙アレコレから)
ガンダムに登場するモビルスーツは、規格に基づく量産タイプの産業ロボットを由来とするのだ。
ザクは自動車で言うと、世界初の量産型自動車T型フォードに例えらえるという。
ザクは統一規格によって、量産ラインに乗った初のロボット。
自社工場のみならず、それは下請けにも及んだだろうと推測される。
ザクの量産化につながったのは、地球の人口爆発や、深刻化する大気汚染の問題を一気に解決するため、宇宙に移住するスペースコロニー計画だ。
このスペースコロニーは空前絶後の公共事業だと本書は言う。
スペースコロニーは直径4~5㎞、長さは45㎞もある。
重量も3000トン以上に及ぶ。
これを月周回軌道に何基も建設する(ガンダムの世界は意外に狭く、月周回軌道のことなのだそう)。
宇宙にこれだけ強大な建造物を造るには、地上のノウハウなんて通じない。
宇宙空間における新たな建築工法が必要となる。
それがパワードスーツによる建築だった。
宇宙空間での建造は、人間をはるかに超えるパワーと、より高い安全性、何よりも経済性が求められた。
そのために、パワードスーツが量産ラインに乗らなければ話にならない。
試算すると何万体も必要となる。
もちろん機械だから作業中の事故などで故障することもあって、補充(ストック)も必要となる。
このパワードスーツの量産は、関連事業も含めて特需を生んだはずだ。
投資が投資を呼び、株の高騰につながり、空前絶後の〝スペースバブル〟が生まれた。
宇宙科学漫画研究所の試算によると、その経済効果は120兆円という天文学的数字となる。
ガンダムのフォルム(シルエット)はその好況感を反映しているという。
ザクは不況型…。
↓↓↓
▷デザインは好況時には四角くなり、不況時には丸くなる(P.134)
デザイン界の格言だそう。
車がそうで、日本の車市場もバブルの頃にはスポーツカーを中心に角ばったデザインが流行ったが、不況時には曲線を生かした丸みを帯びたデザインの車が人気がある。
同じように、ザクはジオン公国が地球連邦化からの独立を画策したため、地球連邦から経済封鎖を受けた(まるで今のイランや北朝鮮のよう…)から、経済にだ打撃を受け、危機的状況になる中の開発、量産となって丸みを帯びた」。
逆にガンダムは、スペースコロニーの宗主国的立場の地球連邦だから経済的に優位にあり、高水準だったから好況的デザイン(角ばったデザイン)となった。
本書は、ほんとにおもしろかった!
ガンダムワールドの経済観は、大学の授業でも使えるのではないか。
ビジネススクールの題材にしようかなと思ったのでした。
拙著
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