最近ニュース報道で頻繁に見聞きする「ヒョウ(豹)」と言えば、ドイツ語で「ヒョウ」を意味する「レオパルト」と名付けられたドイツ製主力戦車「レオパルト2」に他ならないのではないでしょうか。
NATO加盟諸国が自国に保有する「レオパルト2」をウクライナに供与し始めています。
岸田首相がウクライナを訪問したと、ニュースで伝えられていました。
そこで今回は、猛獣の「ヒョウ」の英語(ドイツ語)名について、自分の経験をもとにして記してみたいと思います。
タミヤ(当時は田宮模型)から1969年に発売されたホワイトパッケージ(ボックスアートが白バック)の1/35スケール・モーターライズのプラモデルに「ドイツ陸軍パンサー中戦車」があり、発売から3年ほどした頃、小学校高学年の時に作りました。「豹戦車」と訳されてもいました。
ホワイトパッケージのボックスアート
1963年の米国映画「ピンクの豹」(The Pink Panther)は「ピンク・パンサー」シリーズの第一作で、「ピンク・パンサー」と呼ばれるダイヤモンドをめぐるコメディです。
この映画を見たのはテレビの映画劇場で、ずいぶん後のことですが、映画のオープニングに登場するアニメのピンク色のヒョウ<ピンクパンサー>はよく知られていました。
アニメ化もされたピンクパンサーのDVD
以上のようなことから、「ヒョウ」は英語で「パンサー」であると単純に思ってしまいました。
当時は小学生で英語の知識は乏しく、ましてやドイツ語などわからない状態でしたから、こうした断片的な知識で勝手な判断をしていたのです。
後に「パンサー」はドイツ語では「パンター」と知ることになります(一時期、「パンテル」と表記していた戦記シリーズもありました)。
ところが、戦後に西ドイツで開発された戦車の名が「レオパルト」で、これもドイツ語で「ヒョウ」を意味することを知りました。英語では「レパード」になることも知りました。
「ドイツ陸軍パンサー中戦車」と同時期に発売された「西ドイツ陸軍レオパルト中戦車」のボックスアートを見つけたので、お見せします。
ただし、「レオパルト」ではなく「レオパルド」となっています。
これだとイタリア語「Leopardo:レオパルド」の発音になってしまうのですが…
そこで「Leopard:レパード(レオパルト)」と「Panther:パンサー(パンター)」について調べてみたのでした。
黄色に黒い斑点のあるヒョウ柄のヒョウが「Leopard:レパード(レオパルト)」です。
体毛が黒くなった黒変種(メラニズム)のクロヒョウ(Black Leopard)やクロジャガー(Black Jaguar)が「Panther:パンサー(パンター)」です。
ただし、米語では、「ピューマ(Puma)」も「パンサー(Panther)」と呼びます。さらに、ピューマ(Puma)には、「クーガー(Cougar)」や「マウンテンライオン(Mountain Lion)」の別名があります。体毛は黄褐色で、斑紋はありません。これらの黒変種は発見されていないようです。
黒いヒョウやジャガーであることを明確にしたいときは、「Black Panther」と言うようです。
なお、イギリス英語では「Panther」が一般的なヒョウを指すとも書いてあって、ややこしいですね。
ヒョウとクロヒョウ
クロジャガー
今回、英語のサイトも見てみました。以下のように書かれていました。
The truth is that a panther is not a single species, but is a term that is most often used to describe a black jaguar or a black leopard.
Don’t forget: the word panther either refers to a black jaguar or a black leopard!
最後に、「ピンクパンサー」は架空のキャラクターですが、ヒョウ柄を持っていないピンク単色なので、「レパード」ではなく「パンサー」になるのだろうと理解できました。
さらにオマケとして、ミリタリー模型から「ピンクパンサー」を紹介します。
第二次世界大戦中の北アフリカ戦線で活躍したイギリス軍特殊部隊「S.A.S.」が、1970年頃から植民地の反乱鎮圧などに使用した砂漠用特殊車輛です。砂漠に溶け込む全面ピンクの塗装から「ピンクパンサー」と呼ばれたのです。