リヴィッド | 毎日がメメント・モリ

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映画レビュー、イラスト、好きなもの、日常。
ホラー映画メインですが、ほとんどの映画は美味しく拝見いたしております。
イラスト禁無断転載。

 

 何やら話題のホラー作品で、面白いと聞いたので借りてみました。内容に関する予備知識は無し。

 開けてみたらおフランスのホラーでした。おフランスのホラーと言うと「ハイテンション」とか「屋敷女」とか、最近は意外にえげつない映画が多い印象なんですが、両方共観てないけど。このテの映画はもう「ソウ」の1と「ホステル」辺りでいささか食傷気味になり、それ以降のは観てないんですな。元々ホラージャンルの中でも然程好きな方じゃないし。

 しかし、これはどうなのや?と思いましたら、冒頭のタイトルからなかなか良い雰囲気で始まります。
石の十字架や彫刻が乱立する西洋墓地の風景です、音楽も割と良い感じです。監督のインタビューによると、前の「屋敷女」とは全く違うものを目指した、って「屋敷女」の監督さんだったんかい。もっとヴィジュアルにこだわったゴシック・ホラーを創りたかったと言う様なお話でした、それは素晴らしいじゃないですか。
 しかし、内容的にはナゾが多いんですな、そしてナゾのまま終わってしまうので、そこがダメな人も結構いらっしゃると思います。

ダリオ・アルジェントの「サスペリア」へのオマージュもあると言ってました、あれは素晴らしい方のアルジェントですね。

 主人公は訪問介護ヘルパーの仕事を始めたばかりの女の子リュシー。先輩のウィルソンに付いて、介護先の老人宅を巡ります。しかし、ある一軒のお屋敷の前で「ここの患者はあなたには無理だから、待ってらっしゃい。」と言われます。でも、好奇心旺盛なリュシーは屋敷の中に入って行きます。大きな、古い邸宅です。

 

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そこには、昔、有名なバレエ教師だったジェセルが植物人間状態で眠っていました。

 

 

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そこで、ウィルソンから、ジェセルが莫大な財産をこの屋敷のどこかに隠しているらしい話を聞きます。
ここで、何でも無い様な一場面。ウィルソンから部屋の中にある本棚から好きな本を選んで、と言われて、選んだところ、中から蛾が舞い出て来るんです、これが後々重要になって来ます。
その夜、恋人のウィリアムに話したら、彼はその宝を頂きに行こうと言うんですね、どうせ、持ち主は植物人間状態なんだから、と。で、その友人のベンとウィリアム、リュシーは夜中、屋敷に忍び込みますが、リュシーは本当は気が進まない、何度も中止させようとしますがウィリアムは聞きません。

 

 

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様は、その屋敷の中で色々と惨劇が起こる訳ですが、フランスの映画関係者に不評だったのは、この植物人間状態であるはずのジェセルと夭折したと言われる彼女の娘のアナが、何者なのかわからないと言う点だったそうです。


ヴァンパイアの様でヴァンパイアで無く

 

 

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ゾンビの様でゾンビで無く

 

 

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マッドサイエンテストの様でマッドサイエンテストで無く

 

 

 

得体の知れない手術室(ドアが無い!)や、そこの現れるナゾの3人の少女たち。

 

 

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とにかく全てナゾなので、観る人によっても印象が違うでしょうが、私が感じたのは「恐ろしい母」でした。
全てを慈しみ、子を守り育てる母では無く、支配し破壊する残酷な母です。ジェセルは正にそうである様に思われます。厳格なバレエ教師だったジェセルは娘のアナにも支配的で、自分の手の内から離そうとせず、アナを苦しめます。

 

 

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そして、恐らくアナのための肉体として捕らえられたリュシーとアナはお互いに共鳴し合い、彼女たちは共犯者となるんです。
実はアナの母親は自殺しており(この母親役がベアトリス・ダル。出番は少ないですが、流石の存在感です。)やはり母親に対しては何か屈折した想いを持っていたのではと思われます。
現実的に話は始まりますが、血が流される中盤、そしてホラー映画らしからぬ幻想的で美しいラストシーンに入ります、ナゾはナゾのままです。

 

 

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リュシーは左右で目の色が違う虹彩異色症なんですね、猫で言うところのオッドアイです。フランスでは古くに「違う目の色は魂の入り口と出口」と言われていたそうです。

 

 

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このタイトルも、監督曰くの「特別に意味を持たせた訳では無く響きが美しかったから。」(一応、言葉としてはちゃんとした意味がありますが)と言うのが一番この映画を言い表してるかも知れません。

ちょっとゴア以外が観たいな〜と言う期待も込めて、映像は美しいし、なかなかの佳作と言いましょう。

 


††ジュリアン・モーリー &アレクサンドル・バスティロ監督作品
リュシー/クロエ・クルー
アナ/クロエ・マルク
ウィリアム/フェリックス。モアティ
デボラ・ジェセル/マリ・クレール・ピエトラガラ
ミセス・ウィルソン/カトリーヌ・ジャコブ
†††2011年 フランス
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