7月後半、遠州地方は連日暑い日が続いていた。とにかく厳しい暑さだった。
2020年8月に熊谷に並ぶ国内最高気温(41.1℃)のタイ記録を叩き出したのは浜松市。今年は、NHKニュースサイトを見ていると連日のように「浜松_船明」、「浜松_佐久間」、「浜松」がベスト8に顔を出している。
<7/31_NHKサイトより>
とにかく毎日が異常な暑さ。外を歩いていると頭がクラクラしそうになり、肌が直火で炙られているような錯覚に陥る日もあった。あと、なんだか熱気で息苦しいような感覚にも襲われた。
そもそも知らない人は船明(ふなぎら)がどんな場所か分からないだろう。船明は浜松市天竜区の中心部から少し北に位置する。山間部の入口であり、天竜川に作られた船明ダムがある所だ。ちなみにその上流に秋葉ダムがあって、佐久間は更にその北側でやはり天竜川に建設された佐久間ダムがある土地柄だ。
次の地図に船明ダムと秋葉ダムが載っている。佐久間ダムは天竜区のもっと北側で水窪に近い位置にある。
<天竜区南部の観光地図より抜粋>
※天竜川の中下流域について触れたブログ
今年は日によって奥三河の「新城」も高温ランキングに入っているので、確かに沿岸部の浜松市街や豊橋よりも、船明、佐久間、新城の方が酷暑になっているのだろう。
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ただ、NHK「虎に翼」の主人公のように「はて?」と唸るような疑問は尽きない。気になることがいくつも湧いてくるのだ。
・どうして遠州地方が埼玉・群馬並みに暑いのだろうか?
・天竜川~大井川の中東遠エリア(掛川etc)はそこまで暑くないのか?
・そもそもどこで観測しているのか?
気温を観測しているポイントは以下の通りだった。
遠州: 佐久間、天竜(船明)、菊川、浜松、磐田、御前崎
駿河: 井川、川根本町、清水、静岡、静岡空港(牧ノ原)
東部: 御殿場、富士、三島
伊豆: 網代(熱海)、稲取、松崎、石廊崎
<観測所配置図>
<遠州の観測地点(2)>
※出典(地図・表ともに)
https://www.data.jma.go.jp/shizuoka/shosai/shisetsu_we/shisetsu_we.html
このサイトで確認する限り、遠州地方で降水量を観測している箇所(上表参照)は春野や三倉(森町)など他に5地点ほどあるものの、気温に関しては「佐久間、天竜(船明)、菊川、浜松、磐田、御前崎」の6地点のみだった。
という事は菊川、磐田、御前崎など沿岸部に近い「おもいふかき」中東遠エリアは猛暑のレベルが若干トーンダウンしているようだ。ただ、山間部の春野や三倉で観測していれば同じような記録的な気温が報告されていたのかも知れない。森町三倉は昨年歩いた天方城址より更に北の奥まったエリアだ。
※参考:おもいふかき遠江とは
では天竜川以西の酷暑は地形的な理由によるものなのか。新城と佐久間は山がちな土地で、船明と浜松は西側に山を背負っている。山と言っても決して高くない湖西連峰や湖北の山々なので言い切るのも控えめにしたい。
この三河と遠州の県境エリアの登山についてはつい先日のブログで書いているのでご参照。
※参考:県境エリアを陣座峠まで歩いた件
改めて、7/31の高温地点ベスト8(冒頭の写真)を眺めてみよう。九州の2地点はサッパリ土地勘がないが、三重県と埼玉県なら分かる。
三重県紀北町で2022年にシーカヤックしており、そこは西側が熊野古道の伊勢路が続く山地になっていた。三重県桑名市も北西部に多度山や養老山地を抱えている。埼玉県寄居町は東西それぞれに山が連なっていて、何年か前に鐘撞堂山(西)、今年は外秩父縦走路にある大霧山(東)に登っている。山沿いエリアにあっては暖かい空気が滞ってしまい高温になるのだろうか?
※参考:カヤックしたのは紀北町
2020年8月に最高記録タイをマークしたのは8/17だった。そう考えると、まだまだ酷暑は長そうだ。
<2020年8月のNHKサイト>