初電に追い付かれるまで走る | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

東横線の上り(渋谷方面)一番列車は次の3本の列車があります。

1.元住吉駅4時59分発 各駅停車和光市行き

2.菊名駅5時03分発 各駅停車和光市行き

3.元町・中華街駅4時57分発 各駅停車和光市行き

正確に言えば、元町・中華街駅はみなとみらい線なので、東横線直通の一番列車ということになりますが、みなとみらい線を運行する横浜高速鉄道株式会社は第三セクターながら東急が大株主ですし、同線は単一路線で東横線と一体化されているので、同じに考えてよいでしょう。

こうして比較してみると、もっともはやく走りだすのは元町・中華街駅からになりますが、当然もっとも渋谷から遠い始発駅になりますので、菊名駅までは一番列車ですが、菊名~元住吉間は2番列車、元住吉から先は3番列車になります。

自分の最寄り駅は日吉なので、ひとつ先の元住吉駅まで行かないと、初電(始発列車)に乗れないので、この意味でもブロンプトンは重宝しています。

ブロンプトンが無ければ、家から30分も歩く羽目になりますから。

みな副都心線が東武東上線に乗り入れる和光市駅行きですが、これは近い地点で折り返しにした方が、逆方向も高密度で運行ダイヤが組めるからでしょう。

すべて各駅停車ですが、これは東横線がそれほど長い距離の路線ではないうえに、そんなに急いでいる人、つまり需要がないからだと思われます。

では、東横線上り急行の始発に限ってみるとどうでしょう。

同じように列記してみると、

1.武蔵小杉駅5時34分発 急行志木行き

2.かしわ台駅5時00分発 急行渋谷行き

3.海老名駅5時14分発 急行渋谷行き(相鉄線内は特急)

4.武蔵小杉駅5時55分発 急行川越市行き

となります。

初電と、もっとも早い時間に動き出す優等列車に30分以上の差があると、終点渋谷までの東横線内はもちろん、その先の副都心線内も初電に乗ったほうが早く到着するので、なるべく早く目的地に着きたい場合は、あえて遅い時間帯の急行に乗る必要はありません。

面白いのは、はやい時間帯の急行に限ってみると、武蔵小杉駅始発の2列車(1と2)以外の急行は、相鉄線からの直通運転列車ばかりで、みなとみらい線の元町・中華街始発の急行は、同駅5時56分発までありません。

これは東京から遠方の駅から利用する人たちの方が、速達性のある列車を欲している、つまりそれだけ早く都心に着きたいということなのでしょう。

それから、上記の列挙形式では分かりにくいのですが、東横線内の武蔵小杉~中目黒間に限って言えば、3と4の急行列車は続いて運転されています。

つまり、その区間に限って言えば、急行停車駅は急行列車が連続して来るし、各駅(普通列車)のみが停車し、急行が通過する駅に関しては、2本通過する列車が続くのです。

自分のような折り畳み自転車と鉄道を併用して利用する人間にとって、こうした変則ダイヤはちょっと注意が必要です。

たとえば、日吉駅から代官山駅に向かおうとして、3の列車に乗ったとします。

日吉駅5時48分発のこの列車は、同駅で目黒線に乗り換える人が結構いるし、この時間帯の列車なので、座れることが多いのです。

代官山駅は各駅停車のみがとまりますから、この列車に乗ると、中目黒で降りて各駅停車を待たねばなりません。

しかし、続いてくる列車も急行列車ですから、6時04分到着の中目黒駅では6分間待たねばなりません。

6分あったら、いくら中目黒から代官山まで上り坂でも、ブロンプトンで走ってしまった方が早いですし、目的地が代官山駅から離れていたら、ここで1本列車をやり過ごして待っているよりも、走ってしまった方が早く着くのです。

これと同じことが、休日の8時台でも起きるので、私はミサに間に合うように、そして運動にもなるので、中目黒から坂をのぼってブロンプトンで走ることがよくありました。

こうしたタイムトライアルを続けていると、それまで登れなかった急坂も、登れるようになることが多いのです。

なお、所要時間がもっとも短い特急は、元町・中華街駅6時15分発(特急渋谷行き)までなく、その時間帯になると、平日なら各駅まで路線バスで出る人たちも乗客に加わって混みだすので、できるだけ空いている列車にゆったり乗りたい私としては、あまり食指が動きません。

今回は時刻表マニアの書く文章になってしまいました。

朝一番の話に戻します。

上記のように、私は乗る電車を細かく選んで乗っているので、こだわりがあります。

元住吉駅4時59分発の和光市行き初電に乗るのは、同駅始発だからブロンプトンを置いて座る、ロングシートの隅、しかも下車駅でエスカレーターにもっとも近いドア口の席に座れるからにほかなりません。

前に新宿三丁目まで通っている際に、混雑した電車にどうブロンプトン(当然カバーを掛けています)を持ち込むかについて書きましたが、初電ならそんなことを悩む必要もありません。

ゆったり座ってゆければ、本を読むことも、メッセージをしたためることも可能です。

しかし、鉄道併用の自転車通勤として考えると、サボりでもあるのです。

その分早く起きて家を出て、都心までブロンプトンで走ったほうが、はるかに有酸素運動になりますから。

そして、こうも毎朝どちらかを選択する立場に立たされると、オール・オア・ナッシングは良くないという考えにたちいたりました。

要するに、運動して走ってゆくか、楽して座ってゆくかのどちらかにしてしまうと、人間は易きに流されやすい生き物なので、運動習慣が付きにくいということに気が付いたのです。

そこで、採算分岐点ならぬ、ブロンプトンに乗ったほうが(目的地に)早く着くか、初電に乗ったほうが早く着くかの時間分岐点を測ってみたところ、どうも元住吉駅前を初電の30分前(すなわち4時29分)に通過できるかどうかにかかっていることがわかってきました。

つまり、元住吉駅の近くをブロンプトンで走り抜ける際、4時半より前であれば、新宿三丁目までなら、ブロンプトンで走ってしまった方が早く着くけれども、4時半以降であれば、そこで朝ごはんを食べるなりして初電を待って、座れる電車に乗っていった方が早く着くということが、感覚として分かったのです。

これは概略であり、その人の体力、通勤経路、走る時間帯、その日の天候(とくに風の向きと強さ)によって多少は前後にずれるので、そこはある一定期間自転車で走ってみないことには、各人にとって最良の分岐点はわかりません。

また、自転車で走るにしろ、電車に乗るにしろ、通っているうちに要領がよくなり、通勤時間を短縮できる場合がありますから、この分岐点はどんどん動くと考えた方がよいでしょう。

しかし、現在の私にとっては元住吉4時半が分かれ目なのです。

そして、いつもより遅くに家を出るということ、「もう今日は電車に乗ればいいや」と思うことは、前の日に夜更かしして睡眠時間がとれなかったとか、週の後半で疲れがたまってきてすぐにベッドから起きられなかったとか、何らかの理由があることが多いのです。

むかしの自分だったら、そんなに朝早くの列車に乗ったら、睡眠不足を補おうとして確実に車内で寝ていたと思います。

しかし、私は最近、ペダリングを変更してからはとくにですが、たとえ寝不足で走るのがいつもより多少遅くても、そして途中で初電に追い付かれてしまい、乗車する羽目になっても、数キロでもいいから朝食の前にブロンプトンで走ったほうがよいと思うようになりました。

その時間帯は夏でも日差しがなくて涼しく、また車道も歩道も、つまり人も車もほとんどいないので、自分がいちばんよいペースを守ってブロンプトンで走ることができるのです。

往きは電車だったからと、バランスをとろうとして夕方の復路で同じように走ろうとしても、信号待ちにはバスや車が並び、また商店街は人でごった返しているために、朝のように走ることはかないません。

いっそのこと、朝に既定の運動量をこなして、帰りは立ってでも電車に乗って帰ったほうが、身体のリズムとしては楽です。

ということで、先日試しに元住吉駅を4時40分ごろ、つまり始発電車が動き出すまで14分しかないのに、そのまま駅にゆかず、渋谷方面にブロンプトンで走ってみたのです。

4時台に多摩川を渡り、環八も越えたのですが、目黒線の奥沢~大岡山駅間の踏切(大岡山1号踏切)で奥沢駅4時58分発目黒線上り始発電車が通過するのにつかまってしまいました。

つまり私は、呑川の暗渠を走っているあたり、都立大学駅手前付近で5時を迎えた為、そこからは元住吉駅4時59分発東横線上り始発電車に追いかけられる格好になりました。

時計を気にしながら柿の木坂交差点で環七を渡り、碑文谷公園をかすめ、学芸大学駅、祐天寺駅前をすぎて中目黒まできたとき、ここから乗車しないと、いつも利用している始発電車に追い抜かれてしまうと思い、おとなしく自転車をたたんでカバーをかけ、ホームにあがって有酸素運動して乱れた息を整えていると、ほどなくして件の電車がやってきました。

この時間ですから、渋谷駅からは座れましたが、東横線の運賃に加えて、副都心線の運賃も払う羽目になり、全区間をブロンプトンで走るより、運動量も少なくなってしまったわけですが、それでも運動できただけ満足でした。

ペダリングを変更し、回転数をあげて、その分じっくり走れたので、いつもよりは少ない距離で心拍数をあげることができたのも大きかったように思います。

もしあのまま、元住吉で朝ごはんを食べて、そこからこの同じ列車に座って乗ってきていたなら、こんなに頭の中はすっきりしていなかったでしょうし、罪悪感というか、サボってしまった感も相当なものだったように思います。

それがいつしか、「もうこんな運動習慣はいいや」と、諦める原因になるのなら、無理しない程度に家から中目黒駅まで走れたわけですし、この日の目標消費カロリーも達成できたわけですから、むしろよくできた朝だったのだと思います。

同時に、「あと10分はやく家を出よう、そのためには…」と考えることもできました。

こうして、年齢をとってゆくにもかかわらず、運動の工夫が今できる自分は幸せだと感じた朝でした。