交通系ICカードにコンビニでチャージができることを今さら知った自分 | 旅はブロンプトンをつれて

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ブロンプトンを活用した旅の提案

今の若い人たちは、「きっぷ」なんて見たこともないという人もいるし、「チケット」といえば通じても、「切符」では何のことかわからない人もいるかもしれません。

ちなみに若いころにユーレイルパスをつかって欧州を旅していた自分にはたまにしか使うことがありませんでしたが、ドイツ語で切符は”Karte”(カルテ)といい、鉄道の乗車券だと接頭語がついて、”Fahrkarte”(ファーカルテ)になります。

あれ、病院のカルテと同じ?と思ったら、実は紙片やカードなどを総称して”Karte”と呼ぶので、ハガキやレストランのお品書きも「カルテ」で通ってしまいます。

診療記録については、ドイツ語では”Krankenblatt”(クランケンブラット)、病歴録という意味でなら”Krankengeschichte”(クランケンゲシヒテ)といいます。

むかし医療ドラマで患者さんのことを「クランケ」と呼んでいたから、お尻に”blatt”(シート)や”geschichte”(お話)がついたと思えば覚えやすいでしょう。

これでドイツ語の単語7つ覚えました。

フランスではもうちょっとややこしくて、同じ鉄道切符でも”ticket ”(英語と同じチケット)と”billete”(ビレット)があります。

フランス語って独特の発音だから、日本人が聴いても「チケ」とか「ビレ」にしか聞こえなかったりします。

そして、”billete”は株券などの有価証券や旅行小切手、お財布から出す紙幣、そしてバスや地下鉄の切符を指します。

これに対してフランス語で”ticket”といったら、コンサートや映画館での入入場(館)券、鉄道や飛行機の乗車券や航空券、それに交通違反のキップなどを指します。

交通系においては、”billete”がラテン語系からきた言葉で、日本語本来のきっぷや、お金を支払ったことによる利用券という意味合いが強いのに対し、”ticket”は英語からきた言葉で、輸送パスや許可証という意味になります。

だから地下鉄の一日乗車券を見せてくださいといわれたときは”billete”だったのに、中長距離列車に乗ってユーレイルパスを見せる段になって”ticket”、今はないかもしれませんが、空港のカウンターで航空券を見せる時には”ticket”だったのに、セキュリティの先の搭乗口でボーディングパス(搭乗券)を見せる時には”billete”と呼ばれたりするのです。

もっとも自分は若かったこともあって、こういう知らない言語の微妙なニュアンスも旅の楽しみのひとつでした。

そしてその当時欧州でも日本でも、よほどの都会でない限りきっぷの自動販売機なんてありませんから、窓口の人に口頭で伝えなければ切符は買えませんでした。

よく昔の文学に、「廣島まで三等一枚」なんて話しているのが出てくるでしょう。

でもこれってよく考えたら大変なのです。

まず、地図音痴の人で地名が覚えられない人は「どこそこまで」が言えません。

ましてや直江津へ行くのに、信越線回りの列車でゆきますか、それとも上越線経由でゆきますかなんていわれても何のことだかわからないでしょう。

(信越線回りは設定列車が少なく、なかなか座席がとれませんでした)

北東北へ行く際の寝台列車も、常磐線まわりと東北線まわりがあって、それぞれに名前があったから、「それ常磐線経由だけどいいの?」などといわれてもどこが違うの?でしょう。

窓口の人は(貨物輸送などの都合で)、なるべく常磐線経由の列車に誘導したい事情があったのでしょうけれど、その当時の常磐線って単線区間がやたら多かったから、特急のくせに止まったり発車したりを繰り返し、客車タイプはそのたびに「ガチャガチャガチャン」と大きな音をたてるので、音に敏感な人はよく眠れなたっかのです。

それは自動販売機になっても変わりませんでした。

乗車券の値段をあらかじめきいておかないと、いくらのキップを買ったらよいか分からなかったし、目的地を探そうにも、地図音痴なら路線図の中からその駅を探すことができません。

そこで「あいうえお順」の駅名表が駅の自動販売機上に掲示されていましたが、あれとて漢字が読めない子どもや外国人にとっては役に立たなかったはずです。

そういえば、外国人にとって覚えやすい駅名は、「品川」とか「三田」、「十三」など見てくれが単純な漢字の地名とききました。

たしかに”shinagawa”とか”jyuso”と表記されるよりぱっとわかるし、後者はそのまま発音したら「呪詛」になってしまいます。

きっと漢字を象形文字風に見ているからでしょう。

これは日本人が海外にでたときも同じで、たとえばウィーンのトラム(路面電車)など、長い地名や、同じような名前が停留所名で続くと、どこで降りていいか分からなくなり、大概乗り越してしまうのでした。

だからあらかじめバスの運転手さんに「ムセオン、ムセオン」(博物館)と連呼して、どこで降りるか知らせてもらうようにしていた人も多くおりました。

旅慣れてくれば、大概それとわかる地元の人が降りるから、勘で分かりますし、私は地図を広げながら街をみるのが大好きでしたから、そうやって初めての街を把握していました。

だから、どこに降りても文句の言われない一日乗車券やユーレイルパスは重宝していました。

それでもスイスの登山鉄道や一部の私鉄など、パスをみせて割引をきかせながらも、窓口氏と口頭でやり取りせねばならない箇所では、とくに当時の東欧圏などの場合苦労しました。

土地のことばをメモにまとめて、一生懸命指し示しながら鉄道切符を買ったことなど、一度や二度ではありません。

だから、交通系電子マネーが発達した現代は、すごく楽になったと感じる反面、あの苦労がなくなって、なんだか寂しくなりました。

日本の国内旅行だって、田舎の小さな駅での駅員さんとのやり取りは楽しかったのです。

きっぷを購入するときだけではなく、出札の際にも、お客の少ないときには「どこへ行ってきたの」「どうだった?」「あそこは~でしょう」など雑談ができたし、その会話から「こんどはどこそこへ行こう」という貴重な情報を仕入れることができました。

いまはタッチ式の入改札機がぽつんとあるだけで、大概は無人駅ですから。

そうそう、とびしま海道のかつてのフェリー乗り場にブロンプトンで乗り付けた時、昔の航路時刻表と航送運賃表がそのままになっているので、面白がって眺めていたら、地元の老人が話しかけてきたことがありました。

日常であれば不審な場面なのですが、なぜかこのターミナルが賑わっていたころの面影を彷彿とさせてくれたので、印象深い経験になりました。

サイクリストの聖地といわれるしまなみ海道やとびしま海道に行くときも、ただ走ることに主眼を置くだけでなく、たまにはかつての地元の足で、今残っている渡し船に乗船してみるのも面白いのです。

瀬戸内だったらさほど揺れないし、折り畳み自転車だったら畳んでカバーをかけたら手荷物扱いですから、それこそ乗船券だけで乗れます。

私が行ったときは、まだ交通系のICカードは使えなかったから、乗船キップでした。

なお、私はきっぷに思い入れがありすぎるせいか、あまり交通系ICカードのことを知りません。

ブロンプトンで駅に寄せる場合、たとえば後ろから追いかけてくる一番列車に乗る場合や、出発ぎりぎりまでご飯を食べていたい、お風呂に浸かっていたい場合など、ぎりぎりになることも多いのです。

そんなとき、いつも自転車で走ってばかりいるものだから、カード残額が極端に減っているのを知らないでいて、改札で足止めを喰らうことがあります。

でも、発車迄2分を切っているような場合、チャージする間中気が気ではありません。

ローカル線の旅だけでなく、通勤時の早朝の列車は、一本逃すと15分、下手をすると20分以上次の電車まで待つことになりますから。

こんなときのために、あらかじめコンビニなどで交通系ICカードにチャージができたらいいのにと思っていたら、しっかりできるとネット上に書いてあるのでした。

それも、レジだけではなくコンビニにある銀行ATMで。

実際にやってみると、駅よりは多少時間がかかるものの、面倒くさいというレベルではありません。

これなら買い物の列を止めずに、機器が空いているときを見計らってこまめにチャージできそうです。

コンビニなら、田舎にいっても大概の場所にありますし、他の用事のついででも可能です。

それに地方のコンビニの中には、古い酒屋さんなどが転換して営業している店もあり、そういうお店(大概はロードサイドではなく、古い街中にあります)なら、かつて駅で仕入れた情報を入手できるかもしれません。

いまは某銀行のように、そのうちに「手数料をいただきます」などとならないことを祈るばかりです.