旧東海道をブロンプトンで走破したときに利用したホテル | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

先月、旧東海道を完歩したときに利用したホテルをご紹介しましたが、今度は同じ行程をブロンプトンで走破したときに泊ったホテルをご紹介したいと思います。
これはDANさんとの旅だけではなく、ブログを書くために何度か訪ねたときのホテルも含みます。
同じ尺取虫方式であっても、徒歩旅と折りたたみ自転車併用旅では随分と様相が変わります。
何といっても、自転車の方が一日で走れる距離も、駅から宿までの距離も、徒歩に比べれば長くても大丈夫、つまりリーチが長いのです。
一日に歩ける距離はせいぜい40㎞ですが、ブロンプトンであればその気になれば4~5倍の距離を移動できます。
ゆえに、歩いたときにのべ21日かかった東京・日本橋~京都三条大橋間も、ブロンプトンはその半分の11日で済みました。
これは往復の交通費と宿泊費の大幅な節約になります。
だから私は旧東海道を完走したいと思った方には、徒歩よりも折りたたみ自転車を利用した尺取虫方式の旅をお勧めします。

(明治屋さん)
また、ブロンプトン利用の場合、駅から多少距離が離れている宿でもアクセス良く走り出し、すべり込みができるため、その街で宿泊できるホテルの範囲が広がります。
ということは駅前のホテルや旅館に比べて歩きではアクセスの悪い、その分サービスを良くして価格も下げているホテルを選んで宿泊するということも可能になってきます。
歩いているときも、駅からバスを利用して宿泊地までゆくということが可能ですが、早立ちが基本の尺取虫方式では、翌日の朝にバスが動くまでは出発できず、その分その日に歩ける距離が減ってしまいます。
その点、ブロンプトンなら始発列車にあわせて宿を出る時間を調整すればよいだけです。
また、駅からは離れているけれど、旧東海道からは近いという宿に泊まることもできます。
きょうび、車(マイカーのほか、タクシーや送迎も含む)があれば公共交通機関という足がなく、極端にアクセスが悪くても大概の宿にはたどり着けます。
しかし、車で来ているがゆえに泊まれない、或いは見過ごされる宿もあると思います。
たとえば前にご紹介した赤坂宿の大橋屋さんのように、車で乗りつけるには相応しくない宿のほか、経営規模が小さくて、ネットにも出てこない、一部のマニアに愛用されている宿が、山奥の温泉や登山客、釣り客のための宿だけでなく、都市部の古い街かどにもあります。
旅行会社に勤めていました、プライベートでもあちこちを旅してきた自分でも、「ブロンプトンと出会わなかったら一生泊まることのなかった(泊まろうとはしなかった)宿」というのは確実にあります。
だから旅好きの方で旅先でも自転車に乗ってみようと考える方には、ブロンプトンをつれてゆくことをお勧めしているのです。

(ブロンプトンで立ち寄る店は地元臭い店の方が似合います 浜松にて)
さて、日帰りできる範囲は掛川までで、これは徒歩と同じです。
但し、ブロンプトンの方がリーチ(1日に消化できる距離)は長い分、宿泊箇所は少なくなります。
実際にDANさんと走った時はただひたすらゴールを目指すという走り方だったので、宿泊は名古屋と亀山のみで、あとはゴールの京都でした。
連休を利用すれば、2泊3日で浜松から伊勢朝日、次の2泊3日で伊勢朝日から三雲まで走ることができ、そこから京都までは40㎞ちょっとしか残っていませんでしたから、新横浜から米原、草津乗り換えで来ても、走行自体は数時間あれば充分でした。
そのあと自分で取材する際は街道の史跡や寺社をじっくりと回ったため、宿泊料金の高い名古屋は避けて浜松と豊橋、亀山に泊まりました。
掛川から浜松までは峠もなく平坦な道が30㎞ちょっとなので、日帰りの範囲もそこまで伸び、浜松から尾張藩の外港にあたる宮(熱田神宮の南)までは約100㎞で観るべき場所が多く、始発列車の早い豊橋宿泊も活用して名古屋市内まで足をのばして、JRの新快速か名鉄の特急で往復していました。
名古屋はのぞみが停車する関係上他の駅よりも早く到着できますし、佐屋街道経由でも亀山までも100㎞を切るので、わざわざ都会で宿泊費が他の街に比べて高い名古屋に泊まる必要はありませんでした。
亀山もブロンプトンで走った2012年には既に「世界の亀山」の看板を下ろし、iPhoneのディスプレイ工場として規模が変わっていたので、同じホテルに一時期よりも安価に宿泊できるようになっていました。

(ここからはホテルアソシア豊橋です)
なお、これまでも書いてきたことですが、旧街道尺取虫方式の旅の場合は居心地が良すぎるリゾートホテルに代表されるような滞在型宿泊施設ではなく、ビジネスホテルや商人宿を選ぶようにしましょう。
あまりにくつろげる宿を選んでしまうと、灼熱の真夏や寒風の向かい風に曝される真冬など、部屋から出たくなくなってしまったり、早く部屋に戻りたくなってしまったりして、その分街道の移動距離とスピードがはかばかしくなくなります。
滞在型宿泊施設に泊まりながら旧街道旅を楽しみたい場合は、何時から何時までと時間を決め、鉄道で移動するなりして「おいしい区間」だけ走ることをお勧めします。
旧街道でなくても、古い道をみつけて程よい距離の街と街の間を移動するとか、廃線跡がサイクリングコースになっている区間を、かつての沿線の町々とからめて走ってみるとか、そこに鉄道があったら便利だと思われる区間を敢えて自転車で移動するとか、アイデアは沢山出てくると思います。
これも前に書いたことですが、例えば軽井沢に滞在してブロンプトンを楽しむなら、レンタサイクル向けに紹介されているコースではなく、中山道を佐久までとか、北国街道を小諸・上田までとか、碓氷峠の旧国道を横川まで下ってみるとか、浅間山の肩にあたる峰の茶屋や高峰高原からダウンヒルしてみるとか、自分が軽井沢に居住していて折りたたみ自転車を所有していたらどんな日帰り旅をしてみたいかということを中心に考えてプランをたてると良いと思います。

<ブロンプトンの鉄道併用尺取虫方式旅の際に実際に泊まったホテル>
・浜松ホテル明治屋
今は某ビジネスホテルグループに参画しているみたいですが、私が利用した2007年当時は地場系のビジネスホテルでした。
浜松は新横浜発6時のひかりに乗って静岡でこだまに乗り換えても到着が7時43分と遅いので、宿泊した方が早朝から歩けて距離が稼げます。
くわえて東海道本線の各駅がそれより東と西でほぼ列車乗り換えになる駅で、大概の豊橋行きは始発なので、尺取虫方式旅の拠点になりやすいのです。
旧東海道の沿道ながら、浜松駅北口から1.1㎞というやや離れたところに宿を定めたのは、駅にリンクしているJR系ホテルが高価だったことと、最上階に大浴場を備えているからでした。
浜松付近を歩いたのは秋から冬にかけてで、天竜川や今切れの渡し(浜名湖)を橋で渡る時や、周囲に高い建物のない道を西へ向かう際には偏西風に曝される(浜松は「ざざんざの松」でお馴染み、風が強いことで有名です)ため、冷えた体を温めるため、どうしても大浴場のあるホテルに泊まりたかったのです。
(だからといって舘山寺温泉は駅から遠すぎますし、旧街道からは離れすぎています)
前を歩いて通りかかった時、国道沿いにある旧館の佇まいに温かみを感じたのも決めた理由のひとつです。
https://hotelmeijiya.com/

豊橋(ホテルアソシア豊橋)
独りで浜松から安城までを詳しく訪ねる際に利用しました。
歩き旅の時に利用した豊鉄ターミナルホテルよりもさらに駅に近く(というか改札口の並びにエントランスがあって、部屋は駅ビル内です)に泊まったのは、たまたまキャンペーン期間中で同じJR東海系の浜松や名古屋(名古屋はマリオット系列ですから相応の値段がします)の同ホテルよりも宿泊料が安かった(同日宿泊の他のビジネスホテルより1500円程度高いだけ)ことと、豊橋駅の始発列車は東海道線の上下、名鉄ともに5時台からあって、それを利用するつもりだったからです。
かつ帰ってきたら改札口から部屋にブロンプトンをたたんだまま直行できるので、すぐシャワーを浴びれる(当時は7月)からという理由もありました。
実際に利用してみた感想は、ネット環境は充実しているから情報収集には事欠かず、ベッドが大きくてゆったり眠れる反面、尺取虫方式の旅に使うには少しグレードが高すぎるかなと思いました。
https://www.associa.com/tyh/

・名古屋(丸の内付近のビジネスホテル→おそらく現存せず)
DANさんとの旅でのみ利用しました。
名古屋は名鉄で豊橋方面へ戻るのも、津島線で佐屋街道方面へ行くのにも、近鉄名古屋線または関西本線経由で桑名、四日市、亀山方面に行くのにも、名駅付近に泊まれればもっとも条件が良いのです。
駅近くは当時太閤通口(西)側にしか安いホテルが無く、そちら側はあまり環境が良くないということで、敢えて桜通口(東)側で探すことにしました。
しかし、駅から徒歩圏の宿は予算が合わず、柳橋市場を抜けて堀川を渡り、名古屋市役所や愛知県庁のある丸の内付近(駅から1.8㎞程度)の宿に1泊素泊まり5000円程度の宿を見つけてそこに宿泊しました。
2010年の暮れに2泊したのですが、平日は役所やオフィス街への出張客を泊めている関係で、有名な繁華街にあたる栄付近のホテルよりも安く泊まれました。
名駅までは裏道を使ってもブロンプトンで10分程度と徒歩圏と大差ない時間的距離で、私は荷物を往復宅急便で送ったため、フットワーク良く動くことができました。

・亀山(ストーリアホテル→現・アパホテル三重亀山)
DANさんとの旅では、徒歩旅と同じ、駅よりも旧東海道に近いホテルエコノ亀山(駅から720m)を利用しました。
やはり一度利用していると勝手がわかるので安心でした。
しかしのちにひとりで取材の旅をしたときは、もっと駅に近い(480m)ストーリアホテルを利用しました。
以前と違って宿泊費が殆ど変わらないくらい安くなっていた(おそらくは亀山のビジネス環境が変化した)うえに、駅間近で列車の車窓からも見えたからです。
なぜブロンプトン利用なのに駅に近いホテルを利用したかというと、ひとつにはブロンプトンの場合、公共交通機関が無い坂下宿~鈴鹿峠~土山宿~水口宿~石部宿間を尺取虫方式で走ると、亀山から関西本線経由草津線で往復する形になり、関西本線は1時間に1本、全く列車が無い時間もあるため、万が一乗り遅れたら取り返しのつかないミスになるため、できるだけ早めに駅にゆくことを心掛けてここに決めました。
ふたつ目には、鈴鹿峠を越えるのはだいたい真冬ですから、上述した豊橋同様に、列車で帰ってきて駅からできるだけ近い宿の方が身体を冷やさずに済むという理由がありました。
亀山駅前の夜はお店が殆ど閉まっており、それこそホテルエコノの周囲までゆかねば夕食は食べられないのですが、日常遅い時間帯にものを口に入れる習慣が無いので、旧街道を日没までに走り終えてのち、水口や貴生川で早目の夕食を取り、まるで夜汽車のようになった関西本線で亀山まで戻ってきていたので、駅からはホテルの部屋に直行し、翌日の早起きに供えて身体を温めてすぐに寝たかったのです。
ホテルのチェーンに加盟して、また値段が高めになってしまいましたが、それができるということは、ホテルの部屋が広く、ファシリティも急ごしらえのビジネスホテル(のっぽなマンションタイプが多い)よりは良いという証拠でしょう。
このあたりは旅慣れていないと見極めにくいかもしれません。

(ご覧の通り、新横浜を6時に出ると、名古屋には7時半より前に到着します)
旧東海道はやはり東京大坂間にあってビジネスホテルの多い街が殆どですからこれで良いと思うのですが、他の街道、つまり中山道、甲州街道、日光・奥州街道などは、関東地方を出てしまったら宿泊はどうなるのだろうと感じました。
しかし、ブロンプトンを利用した尺取虫方式の旅は、宿泊施設に泊まる際も、歩き旅よりはずっと気楽でした。
なぜなら、徒歩ほど身体がボロボロに疲れませんし、ホテルを予約していてそこまで行かねばならないと分かっていても、街道から鉄道駅へはわりとすぐにアクセスできるため、旧街道のペースが狂っても、簡単に修正が効いたからです。
何よりも、連休がらみの週末とはいえ、普段スーツ姿のビジネスマンが利用しているホテルを、ブロンプトンをつれてカジュアルに利用するというのは、かつて仕事にしていた観光目的の旅とも大きく異なっていて、ホテルに戻ってきてベッドでストレッチしていると、「これだ、自分の求めていた旅は」という思いを強くしました。
今のビジネスホテルにはフィットネスルームがある宿も増えてきているらしいですが、仕事を終えてからそんなことしなくても、宿泊施設から出張先まで自転車で往復するという手があるのにと思ってしまいました。
もし私がかつてのようにスーツを着る仕事をしていたら、許される限りの範囲で自転車を利用するでしょうし、そうしたら頭の上にヘルメットを被っていたかもしれません。
(おわり)

(亀山は寒かったからか、時間がなかったからか、ホテルの写真が1枚も残っていませんでした)