夏場の街道自転車旅について(その1) | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

先日「真夏のブロンプトンによるポタリングに際して」と題して、夏のブロンプトン散歩についての工夫と注意点を書きました。

今回はポタリングではなく、街道尺取虫方式の旅を行うに際してのお話しです。

旧街道を先へ先へと少しずつ進める尺取虫方式の旅も、一日の走行距離をあまりにも少なくしてしまうと、その分トータルののべ旅行日数が嵩み、往復の交通費がどんどん負担になってゆきます。

かといって、わき目もふらずにゴールを目指すというのは、ブロンプトンで旅するにはあまり向いていない、その辺の加減が難しいという話をこれまで何度かして参りました。

しかし、そのバランスをとるのにもっとも好都合なのが夏季です。

日の出から日没までの時間が長く、また太陽の上がり下がりする角度が冬場とは違うため、、その前後の薄明の時間も長いのが夏ですから、日の短い時期より時間をより有効に使えるのです。

しかし、だからといって朝から晩まで休憩もとらずに自転車で走り回っていたら、熱中症にかかる心配があるのも、夏の特徴です。

反対に、自宅から遠い場所に交通費をかけて来ている以上、ご近所ポタリングのように、朝だけ走って家へ帰ってしまう(ホテルへ引き上げてしまう)のは勿体ないからと、少しでも先へ先へと進もうとするのが旧街道の旅における心情ではないでしょうか。

旧東海道の旅に際しては、静岡県内で同行者が暑気によってダウンしてしまったことがありました。

幸い、無料で内部を開放している旧家があって、そこでしばらくの間涼むことによって事なきを得ましたが、あのような施設がなかったら、涼しくて横になれる場所といったら街中にはネットカフェしかなかったと思います。

そこで、今回は旧街道尺取虫方式の旅を朝から夕方までブロンプトンで夏場に行として、その際の注意点や工夫を書き出してまとめてみました。

1.前日の睡眠はきちんと取る

スキーやスノボもそうですが、運動する前夜の寝不足はけがの元です。

前の日の夕方まで仕事して、夜行のバスや列車に乗って、或いは一晩中ハンドルを握り続けて、深夜から明け方にかけてスキー場について、4~5時間仮眠をとっただけでリフトが動き始めると同時にゲレンデへ出て、午前中はコンディションの良い中を夢中で滑ってお昼を食べて、そこまではよかったけれど、食後に急に眠くなったのに、明日の午後には帰るから勿体無いと、ボーッとした頭でリフトに乗り…そんなときが最も事故遭遇、受傷率が高いそうです。

これを自転車尺取虫方式の旅に直すと、前の晩おそくまで起きていて、一番列車に乗るために3時起きして、列車の中で昨夜の睡眠時間を伸ばそうとウトウトするも降車駅が気になって熟睡できず、眠い目をこすりながら自転車に跨って走り出し…という状況でしょう。

しかも、道路はゲレンデと違い、交差点に一時停止標識や信号機もあれば、そこに走っているのはトラックや車のほかにバスや歩行者と、速度も動きも方向も質量もまちまちのもので、不用意に接触したら大きなダメージを受けるか与えるかするのが必至です。

ですから、寝不足のまま旧街道の旅をするくらいなら、前の晩に現地入りしてビジネスホテルなどに1泊したほうが、ずっと安全です。

安全はお金や時間には代えられません。

知らない土地で運動する以上、それはコストではなく、習慣にしたほうがよいもののうちではないでしょうか。

2.暑さ対策をしておく

夏の運動というと、体に熱をため込まないような服装をするわけですが、道路上を時には40㎞/h超の速度で走るわけで、競技会のように薄着になったり、肌を多く露出させたりするわけにも参りません。

また、道路上は照り返しも強く、オーブンで焼かれているような気分になります。

当然、一日走っていれば日焼けします。

日焼けといえば、かつては健康美でしたが、いまや火傷であると正体がはっきりしています。

学生時代に夏のプールで監視員をしていたから知っていますが、火傷は限定的な範囲であっても、かなり体力を消耗します。

下手をすると、1日~2日、熱を出して寝込んでしまうこともあります。

体力のある20代ですらそうでしたから、今一気に日焼けしたら確実にダメージを受けるでしょう。

だから、私は上半身が半袖でも、腕、首、顔には必ず日焼け止めを塗り、下半身は長ズボンです。

(それでも焼けてしまいますが)

ジャージのような薄手の素材は、とくに下半身にはつけないようにしています。

熱中症対策として、ヘルメットか帽子を着用し、目に浴びる光から来る頭痛をさけるため、鬱陶しくてもサングラスを着用するようにしています。

靴は夏場に限っては、通気性の良いジョギングシューズを履いていますが、山道などが予想される場合は、夏用のトレッキングシューズを使用します。

運動靴では、登山道でブロンプトンを押し歩きするのに、体が支えられないものですから。

ということで、参考になるのは夏のスポーツウェアというよりは、夏山登山の格好だと思います。

旧東海道は箱根やさった峠、宇津の谷峠、鈴鹿峠など、山道押し歩き&背負い歩きは一部ですが、甲州街道や中山道は、その割合がぐんと増えますし、そういう場所へ行けばハイカーとも出会います。

彼らを参考にすると良いでしょう。

3.虫除けや動物対策など

前項で想定した山道ですが、旧東海道に比べて甲州街道や中山道は、山深さの度合いがぐんと増します。

そこでは夏場にメマトイやアブやブヨ、ヤマビルやスズメバチとあまりありがたくない虫たちに遭遇することも想定しなければなりません。

私が実際に見たのは鈴鹿峠のヤマビルだけですが、あれは動物の詰めの間に潜んで何十キロも移動するとききましたから、いつどこに出るのか油断がなりません。

日中日蔭で常にじめじめしているような沢筋や山の斜面から湧水がでているような場所、落ち葉が厚く堆積しているような所は要注意です。

メマトイは、いちど纏わりつかれると、自転車に乗れない山道が続く限り延々と目の周りを飛び回ります。

そして隙あらば目に飛び込んできますので、コンタクトレンズをしているような人には厄介です。

対策は帽子のつばやサングサスにハッカの入った忌避剤(釣具屋さんに売っています)をかけておくか、メンソレータムを瞼にぬるだけでも効果があるといわれています。

スズメバチは、襲ってくる前に警告(頭上で顎をカチカチならしながら環状に飛び回る=それ以上巣に近付くと攻撃するぞというサイン)がありますから、気が付いたらそれ以上進まないことです。

スズメバチは黒い色を攻撃する習性があるので、山へ行くときは黒色のシャツや帽子を避け、整髪料も成分に反応して攻撃してくることがあるので、つけてゆかない方が良いでしょう。

山の中で出会う動物といえば、猿、猪、鹿など花札でお馴染みの動物に加え、カモシカや熊ですが、いちばん鉢合わせしたくないのがクマで、次が猪でしょう。

旧街道では殆どありませんが、先般も会津で猿の群れに出会ったように、車が走るような林道でも平気で出没します。

但し、向こうさんも人間と積極的に関わり合いにはなりたくないはずですから、こちらの存在を先に知らせるべく、私のフロントバッグには鈴が2つついています。

服装は肌の露出が少ない方が良いのでしょうけれど、真夏にブロンプトンを背負って歩くのは山の中でも暑いので、上述のように上半身は半袖で、腕には虫よけを塗っています。

(その2へつづく)