ブロンプトンをバックパックしてハンターカブに乗ってみました | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

私たちの生活の中で、個人の乗り物を背負って歩くということは、通常なかなかありません。
自分の場合、小学生の頃からスキーをやっていて、独りでスキー場へ行く際には電車やバスを乗り継いでゆくことが多く、スキーケースに入れた板とストックを背負って歩くという行為は馴染みがありました。
他に思い出すのは、同じく季節もののサーフボードでしょうか。
しかし、ショートならいざしらず、ロングボードをもって電車には乗れませんし、歩くといっても短い距離でしょう。
仕事柄、江ノ島から稲村ケ崎近辺へしょっちゅう行くのですが、大概は自転車や原付に専用のキャリアをつけて運んでいます。
でも、スキー板もサーフボードも乗り物とはいえ、道交法上の車両ではないから、道路の上は走れません。


もうひとつ、思い浮かぶのが、スケートボードとキックボードです。
まずはスケートボードです。
私が渋谷、原宿、新宿界隈をブロンプトンで走っていると、ときおりスケートボードに乗った人を見かけます。
彼らは駅の近くまで来ると、肩に背負ってスタスタ歩き、そのまま改札口に消えるので、自転車と違って電車に乗るにあたってケースは必要ないようです。
(マナーとしてケースに入れる人はいます)
調べてみると、ローラースケートと同じ扱いで、交通のひんぱんな道路における使用が禁止(道路交通法76条4項3号)されているのですが、逆に言えば、交通がひんぱんでない道路では使用ができることになります。
「ひんぱん」に明確な基準はないものの、「およそ他の歩行者や車両等との交通の危険が生じうる程度の交通量」ということですから、朝の4時5時であれば余程の幹線道路でもない限り大丈夫ではないでしょうか。
ただ、ブレーキもハンドルもついておらず(当然車両には該当しない)、もちろんペダルも無いから自転車のようには走れませんし、殆どの人はヘルメットを被っていないので、安全性からはだいぶ自転車に劣るのではないでしょうか。


次にキックボードですが、非電動製品は公道上においては上記スケートボードと同じです。
では電車に乗せるときはどうでしょう。
これもスケボーと同じ「遊具」のカテゴリーに入るので、できればケースに入れた方が良い、折りたためるものであれば、袋に入れなくても大丈夫ということらしいです。
電動キックボードは、性能上の最高速度が20㎞/h以下の車種とそれ以外で分けられ、2022年4月に成立した道路交通法改正により、前者は「特定小型原動機付自転車」となり、免許は不要になります。
(施行は2年以内を目途)
この特定小型原動機付自転車は、電動アシスト自転車以上、原動機付自転車未満という微妙な位置で、運転免許は不要なものの、16歳未満は乗車できず、ナンバープレート取得は必須で、軽自動車税もかかります。
自賠責保険加入は必須で、任意保険は任意、ヘルメットは努力義務にて罰則はなし、通行可能帯は自転車と同じ(つまり自転車専用レーンや歩道走行のルールも自転車と同じ)、と非常に微妙な立ち位置です。
まだ電車等に持ち込めるかどうかは分かりませんが、ナンバープレートがついている時点で、折り畳み可能でケースに入ったとしてもアウトのような予感がします。
速度が20㎞/hのキックボードは、原付と全く同じ扱いになるので、ヘルメットは必須になり、車道しか走れません。


因みに折りたためる電動アシスト自転車は、専用ケースに完全に収納できるのであれば、電車に持ち込むことは可能です。
やったことが無いのでわかりませんが、ブロンプトン以外の折りたたみ自転車でもかなり苦労するのに、あれに電動アシストユニット分の重量と容積が加わるとなると、駅での持ち運びなどかなりきびしい状況になるのではないかと考えられます。
地方などへゆくと、バリアフリー対応していない駅の方が多いですから。
重量に関しても、電動アシストであれば多段ギアは必要なくなるのかもしれませんが、電動アシスト機能付きの折りたたみ自転車は、通常の電動アシスト自転車に比べて、電源ユニットも小さいので、走行可能距離のわりには充電時間も長いので、毎日決まった道を通勤・通学するのならまだしも、あちこち旅行及び散歩に行くのはどうかなと思います。
何よりも、距離当たりの運動量が減ってしまうので、その分長距離走行しないと同程度の有酸素運動をしたことにならないというのも、健康のために自転車に乗っている身からするとどうなのかと思ってしまいます。


そう考えると、ブロンプトンを畳んで運ぶという行為自体は、それほどバランスは悪くありません。
畳みやすい、展開しやすいことから、背負うための袋に自転車を出し入れするのがそれほど大変でないなら、背負わなければならないシチュエーションがある旅においては、走行性能との比較から、上記スケートボードやキックボードよりも有利だと思われます。
以前、箱根の石畳道等で使用してみた背負子では、畳んだ自転車を積んだり降ろしたりするのも大変でした。
ということで、漸くですがキャラダイスさんのブロンプトン用Carrying Bagを購入しました。
これはサドルバッグながら、畳んだブロンプトンを完全収納して、バックパックとして背負うことも、肩掛けしてショルダーバッグとして使うことも可能です。
耐久性、防水性に優れているということで、現地宿泊施設に予め宅急便などでブロンプトンを発送する時にも役に立ちそうです。
私はブロンプトン純正のキャリイングバッグ(キャスター付きソフトケース)を持っていますが、残念ながらサドルバッグにはならないので、往路に宅急便で送ったら、復路も同様にせねばならず、しかも大きなバッグとは別に、現地で電車に載せるためのカバーが必要になります。
その点、この製品はサドルバッグになるので、走行しているときはサドルに下げておいて、背負って歩く以外でも、電車やバス、飛行機に乗る際にもこの中に入れてしまえばすべて解決です。


先日、ハンターカブ(Honda CT125)の荷台にブロンプトンを積んで四苦八苦しながら横浜のローロさん迄行ったことは、ブログに書きました。
てっきり自転車は預けてくると思ってたところ、すぐに治ってしまい、また不安定な荷台にブロンプトンを括りつけて帰るのかと暗澹とした気持ちになっていたところ、こちらの購入を勧めていただき、帰りはこのバッグにブロンプトンを入れて背負った状態で、ハンターカブに跨り帰ったのですが、バッグの底がちょうどオートバイのリアボックスの上に乗ったので、それほど息苦しくもなく、肩こりになることもなく、40分の道のりを安心して帰ることができました。
ただし、このオートバイの乗車姿勢はせいぜい2時間前後までで、たとえば一日かけてツーリングをして長野県までハンターカブで行く場合は、別途荷物として送った方がよいと感じました。
(車なら積んでゆけば問題ありません)


今後はこのバッグにブロンプトンを入れたうえで背負い、二宮金次郎みたいに本を読んでみる(ながらは危ないから歩きません)、旧街道を走ってみる、じゃなかった歩いてみる、山歩きして峠を越えてみる、新幹線、在来線、高速バス(乗り降りの手間も含め)を利用してみる、索道(リフト)に乗ってみる、手漕ぎボートに乗ってみる、自転車(ブロンプトンを含む)に乗ってみる等、色々試行錯誤しながらレポートしてみたいと思います。
それにしても、10㎏以上の荷物を背負って色々やってみようだなんて、もともと楽するために買ったブロンプトンが、いつのまにか自分に負荷をかけて運動するためのギアになってきていて、あの太った身体でフーフー言いながら歩いたり自転車に乗ったりしていた10年以上前の自分の目論見は、完全に外れてしまったのでした。

しかし、これは嬉しい誤算というもので、もしもあの時にブロンプトンに出会わなかったら、私は今頃生活習慣病で自転車どころではなかったかもしれませんし、遅かれ早かれ脳内にもよからぬ物質が蓄積してゆき、もともと認知が歪んでいたところに、さらに機能低下という追い討ちがかかって、運動はおろか、読書もできなくなっていたかもしれません。
周囲で「楽して金を儲けりゃいい」とばかりに自分を甘やかした結果、今後戻りできないところまで来ている人がたくさんいるので、自分は恵まれていると思っているし、上述のような大人気ない実験を嬉々としてできること、それが誰にも迷惑をかけずに自分の滋養となっていることに感謝しています。
(そのうち染野介染太郎さんたちみたいに、傘の上でブロンプトンを回すことにならなければ良いですが…)
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」といいますが、人間はいくつになろうが、「苦楽生死均しく感謝」だと思います。