Mrs. Harris Goes to Paris | Have a cup of tea

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新年早々、能登の大地震による震災や、羽田空港の飛行機炎上事故など、ショッキングな出来事が立て続けに起こり、今年の災難はほんとこれで終わりになってほしいと切に願いつつ、年のはじめの映画鑑賞はプライムビデオで以前から見たかった映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』を観た。

 

ストーリーは、1950年代、大戦で未亡人となったミセス・ハリスは家政婦として働いているが、賃金を出し渋る金持ちで浪費家の夫人宅で美しいドレスを見て魅せられ、それがオートクチュールのDiorだと知る。夫を亡くして気落ちしていた時に、心がパッと明るくなるような美しいドレスを目にして、パリのオートクチュールメゾンで自分のドレスをオーダーメイドで手に入れたいという夢を抱く。どうにかこうにかして資金を集めて、期待と不安を抱えながら初めてパリへ渡り、クリスチャン・ディオールのメゾンを目指すのだった。

 


映画だから当然だけど、家政婦さんの役柄とはいえ、主演の女優さんは品があり美しい。彼女が意を決してパリに着くと、労働者たちが安い賃金や不当な扱いを受けているという抗議デモをしていて、○○大統領辞めろー!などどシュプレヒコールが響いている。家政婦のミセス・ハリスも同じような立場だ。金持ちで浪費家の夫人は家政婦さんの賃金を出し渋り、高いドレスや調度品にはお金を使っている。また、訪れたオートクチュールメゾンのデザイナーやお針子さんたち、経理担当者も、富裕層相手がメインだけど、彼らは、自分の望み通りの服が仕上がるまで代金を一切払ってくれなくて、要求も高いので、作り直しなども多いようで、メゾンの財政が危機にあるという。そんな労働者側が弱い立場であることが描かれていたのが印象に残った。また、映画なので、え?と思うところが・・。特に、小柄でスレンダーなミセス・ハリスが特注で手に入れたドレスを、仕事先の女優志望の体格の良い女性に貸してあげるシーンなど、二人の体形が全く違うのに、サイズは?着れるの?とツッコミを入れたくなった。そこはミセス・ハリスのやさしさ、気前の良さを表現するシーンなので、ツッコミは不要なのだ。また、自分は高級ファッションにあまり関心がないからか、この作品では現実的なエピソードのほうが印象深かったが、対象がオートクチュールのドレスでなくても、例えば何か手に入れるのが困難なものに憧れを抱き、年齢に関係なく、それを目指して努力し奮闘する、夢を叶えることの素晴らしさを伝えるような映画だった。

 

 


余談:この映画も公開時に観たいと思っていたのだが近場で上映なくて、、、それを思い出したきっかけが、おなじみのThe Divine Comedyことニール・ハノンが昨年12月から毎週BBCラジオで放送しているラジオショー(EUROPOP The Neil Hannon Show)を聴いていたときだった。ニールもこの映画を観たらしく、作品名を出して最初の方に流れるジュリエット・グレコの曲(リンク)を紹介していたのだった。